raskiのマジックとミステリの部屋

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クロースアップその2


『Classic mathemagic』Raymond Blum 他
 『クラシック・マセマジック』というタイトルですが、マジックを扱っているのは70ページくらいでほかは、パズル、クイズなどを扱っています。マジックとパズルは、基本的には別物ですが、どちらも楽しめます。

 扱っているマジックは、観客が選んだものを当てるトリック、すばやく計算するトリック、魔方陣とその利用などです。数学が苦手でもおそらく大丈夫。私が言うんですから。パズルなんかも、マジックの合間に出してみたら楽しいかもしれません。

 数学マジックというと、マーティン・ガードナーの『数学マジック』がバイブル的な存在となっているようですが、それより簡単な本として紹介しておきます。

 巻頭では算数や数学にまつわる用語が解説されていて、もしかしたら何かの役に立つかもしれません。偶数=even,奇数=oddなどはマジックの本によく出てきます。

『Great rope and ring tricks』 Bruce Smith
これもスターリング出版から出されているマジックの本のうちの1冊。マジック・ライブラリーというシリーズのようです。ブルース・スミスは、このほかにも『グレート・コイン・トリックス』や『グレート・ハンカチーフ・トリックス』などを書いています。

 この本では、比較的簡単にできるロープマジック(ロープとは、ひものことです。縄ではありません)、あまり準備が要らないロープマジックが解説されています。絵をたくさん使って解説しているので、ロープマジック初心者でも十分に勉強することができます。字を読むのが面倒・・という人にも向いています。テキストが少ない分野なので重宝するのではないかと思います。

 解説されているマジックにはどんなものがあるかというと・・・

one handed knot・・・・・片手だけで結び目を作るマジック。2種類の方法を解説。基本的なロープマジックです。

The equal unequal ropes・・・・いわゆる「教授の悪夢」。ロープの長さが一緒になったり、違ったりします。

Knotty bracelet・・・・・結び目の中にリングが入ってしまいます。やや練習が必要。

The captive knot・・・・ロープの両端がふさがっている状態で、観客の作った結び目を消します。

 基本的なことから学びたい人に勧めます。目次が大雑把なことは少し残念です。あと、サイズは小さい本です。

Hocus Jokus 50 Funny Magic Tricks Complete with Jokes
Steav Charney
 マジックにおいては笑いこそが重要であると考える著者による子供向けテキスト。笑わせることに焦点を当て、キャラクター、スタイル、ショーマンシップ、せりふなどなどについて、本文の4分の1ほどを割いて議論しています。著者の使っているギャグ、実践のせりふも収録されています。

 子供向けということもあり、キャラクターとは何かなどは、わかりやすく書かれています。著者の見解に反対するとしても、読む価値はあります。演出論を扱っているテキストは意外と少ないのでそういった意味でも貴重な文献です。文章もジョークがかなりきいていて面白い。(ただし、コメディーマジック的な要素を求めない人にはあまりお勧めはできません)

 肝心なマジックのほうはというと、演出が工夫されているものもあるにはあるのですが、あまりこれといったものないような気がします。キーカードとそれを使ったカードマジックがよくできているというくらいです。

 トリックを覚えるためよりは、演出や理論を磨くために読むべきテキストだと思います。



Self-Working Paper Magic: 81 Foolproof Tricks Karl Fulves
カール・ファルヴスのセルフワーキングマジックシリーズのうちの1冊。新聞紙、名詞、折り紙など紙を使った簡単に演じることのできるマジックが81紹介されています。道具を自分で作って演じるマジックもあります。

 これは、というマジックがたくさんあるので多めに紹介してみます。

Pendragon rings・・・・・チャイナリングを紙の輪で行ってしまおうというアイディア。音の効果はなくなりますが、ユーモラスなタッチが加わります。

Houdini haund・・・・紙袋で作った犬がカードを当てます。私が作ったらウサギになりました。

Snapper・・・・紙で作ったアヒルが観客の心を読みます。ヘンリー・ハーディンの原理を使用しています。

Rabbit ears・・・・紙で作ったウサギの耳が動きます。子供向けマジック。カード当てにも応用可能。

The buddha papers・・・・小さなものを消すための道具の作り方。

Soup to nuts・・・・・選ばれたメニューの合計金額を予言します。

Inside out・・・・縦じまの箱が横じまになります。

The captain's shirt・・・・・・新聞紙一枚でさまざまな帽子を作ってストーリーを演じます。

 紙だけを使っていても、メンタルマジック、変化のマジック、アニメーションのマジックなどいろいろなものを演じることができます。



『Classic magic tricks』 Bob Longe et el
 ボブ・ロンジ、チャールズ・バリー・タウンゼンド、デヴィッド・ノーレスの3人による共著です。以前に出された本からの再録なので、ネタの重なりが多く見られます。

 内容は、メンタルマジック、コインマジック、指のマジック、道具を使ったマジックの4部構成です。

 メンタルマジックでは、数字の記憶術、速攻計算術、魔方陣の作り方、時計のマジックなどが解説されています。また、『ワールド・ベスト・コイン・トリック』より、「Row Row」、裏と表を利用した「Clockwork」「Head or tail」など、多数のメンタルコインマジックも紹介されています。

 コインマジックの章の内容は『ワールド・ベスト・コイン・トリック』から再録したものです。コインの消し方と出現の方法が主です。こうしてみると、消したコインをいかにして出すかということが重要であるとわかります。1枚のコインを出すだけでも、観客の耳から出したり、咳とともに出したり、鼻から出したり、(これは『Now you see it now you don't』 by Bill Tarrに解説がある)といろいろ工夫することができます。

指のマジックでは、短くなる小指、360度回転する手首などがあります。またその中で、いくつかのロープマジック、輪ゴムマジックの基本が解説されています。

 道具を使ったマジックでは、物を取り出す箱の作り方、ニールの『モダン・コンジャラー』をイメージさせるようなお皿を使った曲芸(もっとも、ニールのに比べて、だいぶ基本的ではあるが)、お化けのトリックなどが紹介されています。

 いろいろなジャンルのマジックを学びたい人にお勧めします。ただし、カードマジックはなぜかありません。

Mathematics, Magic and Mystery  Martin Gardner

マーティン・ガードナー氏による、数学マジックの集大成にして名著です。もちろんこの執筆以降、新たな数学マジックは生まれているわけですが、それらの根本となる原理、そして十分実践的なマジックが収められています。カード、コイン、さいころ、図形、純粋な数字と内容は多岐に渡っていますがどれも即席で演じられることが強みです。(さいころなどはあればですが)

 この本に含まれているトリックのいくつかは、ほかの本でも見ることができます。しかし、これほど一気にそろったものはなかなかの壮観です。数学マジックに興味がなかった人でも、いくつか引っ張り出してレパートリーを増やすことができるでしょう。



The keystone card discovery・・・・観客の言った数字のところからカードが現れます。ちょっと失敗したように見えて・・・。チャールズ・ジョーダン氏のトリック。

Matching the color・・・裏表をばらばらにしてカードを混ぜ、二つの山を作ります。すると、2つのやまの表向きのカードの枚数が一致しています。

Naming the position of the card・・・カードを好きな場所に移動させます。

これらのカードトリックは、私の思うところでは古典の位置におかれるべき名作です。

Digital roots・・・・計算の結果を予言するトリック。見た目はとてもシンプルで、応用範囲の広いトリックです。

Predicting sum・・・・予言トリックですが、速攻計算術としても使えます。




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