カガワちゃんの毎日。

カガワちゃんの毎日。

ぐわちゃんのわんわん物語



たしか20歳くらいの頃、
淀屋橋から中ノ島付近(大阪のキタあたり)を歩いていた時のこと。
それは本当に暑い夏の日だった。
中ノ島には、人知れず画廊がたくさんあって、梅田や淀屋橋から
そぞろ歩いても、けっこうおもしろかったのだ。
じりじりと、うだるような暑い日で、
ふとむこうの通りをみると、雑種と思われる、茶色くてふさふさとした犬が一匹、てくてくと歩いていた。
遠目であったが、その犬は
ハッハッハッハッ。。。。と舌を出して、歩いていた。
人間でも、こうも暑くてつらいのに
あの毛皮ではさぞかし。。。と思った私は
「わ-。。。。あつそう-。。。だいじょうぶ-??」と
思わず声に出して、言ってしまった。
そのとき、犬が
ゆっくりと、私のほうをふりむいたのだ。
じっと見つめるその目は、まるで
「ん~?ねえちゃん。オレのことか-?」とでも、いう感じであった。
私達は、しばらく見つめあっていたが
その沈黙に耐え切れなくなった私は
「えっと。。。その。。。」などと、口ごもりながら
所在なげに、頭を掻いた。
犬はやさしい目をしていた。
そして、おもむろに自分の行く方向を向くと、そのまま何事もなかったかのように、去っていった。

わたしは
「すごいな-。人間の言葉がわかるんだなあ-。」と思った。


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: