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よびりん2004さんComments
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徳島県上勝町(かみかつちょう)は、過疎化が進み田舎特有の負け意識が充満している町だった。
若者たちは都会に出て行き、山や畑で働く60代から70代の男衆たちは朝っぱらから一升瓶をさげて農協や役場に集まり酒を呑んで、くだを巻いている。
仕事はない、カネはない、でも、暇はある女性たちは、嫁や誰かの悪口をずっと、大げさでなく朝から晩まで話していた。
そんな上勝町の農協に、農業大学校を卒業したばかりの当時20歳の 横石知二さん
は就職した。
横石さんも町の人からは「よそ者」と煙たがられた。
農協の指導員である横石さんは農家と共に必死に努力し、いくつかの農作物を町の新しい産業へと育てていった。
新たに作り始めた野菜やスダチを大阪へ出荷するようになり、横石さんは大阪の市場へ納品のために足を運んでいた。
その帰り横石さんは難波にある「がんこ寿司」に入店して晩御飯を食べようとした。
斜め前のテーブルで大学生ぐらいの若い女性3人が楽しそうに食事をしている。
すると、その中の一人の子が、出てきた料理についている赤いモミジの葉っぱをつまみあげて、大喜びした。
「これ、かわいー、きれいねー」
「水に浮かべてみても、いいわねー」
「持って帰ろう」
葉っぱをグラスに浮かべたり、アイロンされたハンカチに挟んで葉っぱを持ち帰る彼女たちを見て、横石さんは不思議に思いながら、自分の料理にも付いてきた葉っぱを持ってしみじみと眺めた。
「これが、かわいい?」
「こんな葉っぱが?」
「こんな葉っぱ、上勝の山に行けばいくらでもあるのに…」
そう思った瞬間、横石さんはひらめいて、興奮を覚えた。
「そうだ、葉っぱだ!」
「葉っぱがあった!」
「葉っぱを売ろう!」
「葉っぱなら軽いから、女の人やお年寄りでも扱いやすいし、
何より上勝の山にいくらでもある。」
横石さんは上勝町に飛んで帰り、このアイディアを話したが、
「タヌキやキツネであるまいし、葉っぱがおカネに化けるんだったら、そこらじゅうに御殿が建つわ!」
呆れたように大笑いして、まともに取り合わななかった。
やっと4名の女性だけが「やってもいいよ」と同意してくれて、
「彩」(いろどり)とブランド名を名付け、上勝町の葉っぱを つまもの
として販売し始める。
そして今では…、
上勝町の「彩」事業は、高齢者ばかりの上勝町で 2億6000万円のビジネス
に発展した。
葉っぱを売って年収1000万円を超える高齢者も多くいる。
横石知二さんは、
ニューズウィーク日本版 「世界を変える社会起業家100人」
に選ばれた。
「がんこ寿司」の創業者である小嶋淳司会長が、徳島で行なわれた講演会でこんな話をした。
「がんこグループの全店舗には、年間800万人のお客様が訪れる。」
「そのお客様みんなが、料理に付いてくる葉っぱを目にされる。」
「しかし、その葉っぱを見てそれを事業にしようと思い立ったのは、
横石さんだけだ!」
ここには書ききれませんが、
横石さんは、上勝町をここまでするために大変な犠牲をはらっています。
「気づき」の感性もすばらしいですが、田舎の町をここまで変えたヒミツも惜しみなく書かれています。
ぜひ、お読みになってみて下さい。