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颯HAYATE★我儘のべる
欲望と愛情の間で 13【完】
いや、プロポーズというか何なのか。理解に苦しむがプレゼント攻撃が始まった。
「社長~、またですよ。道明寺さんから花です。今度は・・・新店舗オープンでもするんですか、胡蝶蘭です。」
つくしはため息をついた。社内は道明寺から送られた品々でいっぱいだった。
中でも花が一番多く、バラと向日葵など季節感がまったくない状態で社内を彩っている。鉢植えから切花まで多彩だ。
いい加減にして―――。
T/S・Mデザインの社内は天然の芳香剤で満たされていた。そして、花の到着から1分とたたずに電話がかかる。
「社長、道明寺様からお電話です。」
もう、これも毎日の恒例行事だった。おそらく、配達時間を指定しているのだろう。その時間になったらキチンと電話がかかってくる。その内容もいつも殆ど同じだった。
『牧野、届いたか?今日はどうだ、俺を許せそうか?』
ようするに、つくしが「許せそうもない」と言ったから、この攻撃が始まったわけだ。
花やプレゼントで許せることではないのだが、きっと道明寺は謝り方を知らないのだと思う。
「いい加減にしてよ・・・もう花も何もいらないから。置く場所もないわよ!」
『お前が俺を許してくれるまではやめるつもりはないぞ。』
―――許しているって。
類に行動を見てから、といったものの・・・つくしは迷路にはまったような気になっていた。
許していることをどう司に伝えたらいいのかわからないのだ。自分の中にもう蟠りなどないが、どう言ったらいいのかわからない。
こんなことなら、あのときすぐに道明寺に会うべきだった―――。
後悔したところで、今さらどうしようもない。―――つくしはまだ素直になれない自分に呆れ、盛大に肩を落とした。
『な、今日暇か?アイツらと一緒に飲みに行かないか?』
アイツら・・・つまりF4ってことよね。
「飲みって・・・どこに?」
『メイプルのラウンジじゃダメか?。』
「時間は?」
『俺が空くのが20時だから・・・その頃で。アイツらもその時間で言っておくから』
電話は言いたいことだけ言うと切れてしまった。それにしても、言っておくからって・・・今では彼らも学生ではない。自由になる時間は短い。
道明寺が『何時に来い』と命令したところで、簡単に来られるような身分じゃないだろう。
相変わらずの横暴さに呆れ果てていた。―――反省、しているの?そんな疑問が頭をよぎる。
つくしは諦めの盛大なため息をついた。道明寺と知り合ってから、ため息が癖になった気がする。
つくしがメイプルホテルのラウンジについたとき、既に花沢類は来ていた。
「花沢類だけなの?」
「総二郎は少し遅れるって。茶会が少し伸びているらしいよ。あきらはもうすぐ来るって連絡があった。司は知らない。」
「そう。」
つくしはそれだけ言うと、自然に花沢類の隣に腰掛けた。
「司から毎日プレゼントされているんだって?」
「知っているの?」
「そりゃぁね。で、プレゼント攻撃の成果は上がっている?」
「―――うんざり。」
「ぷっ!・・・それなら成果は上がっているってことだね。」
「どういう意味。うんざりしているって言っているのよ?」
「うん、わかっているけど?・・・あ、あきらが来た。」
類の視線を追うと、確かに美作あきらの姿が見える。類は手を軽く上げて、自分のいる場所を示した。
「よ、久しぶりだな。牧野も元気そうじゃん。」
「アンタは相変わらず、軽い感じね。でも、元気そう。」
「・・・その『でも』はどこにかかるんだよ?」
「さあ、何となく言った言葉だから意味はないんじゃないの。」
「相変わらず、何気に失礼なヤツだよな。」
「・・・なんか、美作さんが社長って会社を潰しそう・・・」
「ホンットに失礼なヤツだな。うちの会社は全うにやってるっつうの!まだ、親父も引退しないみたいだしな。
俺の代になるのは、もう少し先みたいだな・・・。双子が大学を出るまでは自分が引退するわけにはいかないそうだ。
俺はまだまだ専務の地位にいなくちゃならないみたいだ。類や司のようにはいかないさ。」
残念そうに言っているが、内心は親が元気でいることも、まだ責任ある立場につかなくていいことも嬉しいようだ。
「親が元気でいるってことでしょ、いいことじゃない。」
「まあな。お前んちは?」
「元気にしているわよ。相変わらずだけどね。私と進が一人だちしたおかげで随分楽なんじゃない?私たちも多少は仕送りしているしね。」
「「仕送り?」」
類とあきらは不思議そうな顔をしている。―――まさかと思うけど、仕送りって言葉を知らない?
「仕送りって何?」
やっぱりかよ!? つくしは心の中で思い切りツッコんだ。
「働いて得たお金の一部を送ることよ。アンタたちには縁のない話よね・・・」
「「・・・」」
何も言えずにいる二人にまたツッコみたい心境だった。学生時代は親の金で遊び回っていたんだもんね。それも桁が違う金額で。
つくしは回顧し、ため息をついた。F4といるとため息が何度も出てしまう。
「牧野は今、司のプレゼント攻撃にうんざりしているんだって。」
類が突然、話を切り替えた。
「お、じゃあ効果ありだな。」
さっきも同じことを類が言っていた。うんざりしているのに『効果あり』とはどういうことかと首をかしげた。
「でしょ。司にそういうつもりはないんだろうけどね。」
「だろうな。アイツはただ牧野に許してもらおうと必死なだけだからな。」
「・・・アンタたち、何を言っているの?」
つくしが問うと二人は顔を見合わせて意味深な笑いをした。なんだか嫌な感じだ。
「あのな、牧野つくしって女は素直じゃない。道明寺司って男は行動的だが鈍感だ。その二人が進展するにはどうすべきか。
司は攻撃あるのみで贈り物をして牧野を陥落させたいわけだろ、だけど鈍感だからもう許されていることに気がつかない。
一方で牧野は最初から許しているが少しだけイジワルをしたかった。そろそろ『もういい』と言いたいが今更素直に言えない。
だから・・・牧野がうんざりしているってことは効果ありだろ。お前って素直になれないけど、キレやすいよな。」
この最後の言葉には納得がいかない。キレやすいのは道明寺の方だ。
「牧野はイラ立ちが極限まで達したら、本音を爆発させるよな。」
つくしが反論しようとしたのがわかったのか、遮るようにあきらは言葉を続けた。
―――確かにそういう傾向がある。今までもそれで失敗しているような気がする。
「つまり、爆発させてしまえば何らかの進展があるんじゃねぇの?」
「それが進展と言えるならね。そう聞いて私が意地にならないとでも?」
「う~ん・・・なるかもしれない。だけど、それはそれでおもしろい!」
完全に他人事だ。
「ホンッとにあいかわらず・・・よね。」
「何が?」
「そういうところが、でしょ。」
あきらの問いに答えたのは、静かに二人の会話を聞いていた類だった。つくしの意見も同じだったのだが。
「あれ、司じゃない?」
類が見ている方向を見ると確かに司の姿が見える。なぜか総二郎も一緒だった。
「よお、待たせたか?」
「そうね。でもたいした時間じゃないから。」
「つまり、待たせたってことだよな。」
つくしの返答に呆れたように総二郎が椅子に腰掛ける。司も当然のように類とは反対のつくしの隣に腰掛けた。
「司、牧野は司のプレゼントにうんざりしているんだって。」
いつものように、類が突然話を切り出す。つくしは少しだけ慌てたが、ここは司がどうでるのか見てみたかった。
「何!?お前、花が嫌いなのか?それとも、香水か?それとも・・・」
以前に贈ったプレゼントのどれがいけなかったのだと、司は必死でつくしを問い詰めていた。
「いや、そういうことじゃないのよね。」
「じゃあ、どういうことだ!?」
「司・・・ようするに牧野は毎日毎日贈り物されてウザいって言っているんだろ。」
呑気に言った総二郎に司は怪訝な目を向けた。絶対にウザいってわかっていない・・・。
「贈り物もたまにならいいが、毎日になるとうっとうしいものだぞ。」
「そうそう。ものには限度ってものがあるよね。」
F3の会話に司の眉は更によっていく。
「お前ら・・・おもしろがってねぇか?」
「「「おもしろがってる」」」
「てめぇら・・・・っ!!!」
「司も牧野もそろそろいいんじゃないの?牧野ももう十分でしょ。」
両方の事情を知っている類は諭すようにつくしを見、そして司へと視線を移した。
つくしは類の言いたいことを理解したし、先へ進みたいという気持ちもあった。だが意地っ張りな性格が災いし、それを素直に言葉にできない。
そんなつくしの性格も類は理解していた。
「司、贈り物をするばかりじゃなくて、もう一度プロポーズすればいいのに。」
「・・・あ?」
「だって贈り物だけしても仕方ないでしょ、それに伴う言葉がないと意味がないじゃない。」
つくしが素直になれないことを見越しての言葉。つくしは友の有難みを実感していた。
「それは当然だな。」
「そうそう、言葉は大事だぞ。」
総二郎とあきらが類の言葉に相槌を打つ。だが、なんだかおもしろそうに見えるのは間違っていないだろう。
「それもそうだな。」
司は簡単に納得すると、善は急げとばかりにつくしの肩をつかみ、自分の方を向かせた。
一つ咳払いをすると、真剣な目でつくしを見据えた。こんな真面目な顔をした『道明寺司』を見るのは久しぶりかもしれない。
苦悩を滲ませた目、疲れた目、憎しみの目・・・色々な目を見てきたが、こんなに真摯な目を見たのは何年ぶりだろう。
「つくし・・・俺と結婚してほしい。過去は消せないけど、まだ何もない未来は明るいものにしたい。それができる相手はお前だけだ。
お前が俺の運命の相手だ、出会ったときから俺は牧野つくしだけを愛している。」
F3が静かに見守る中、司の真剣な告白がつくしの心を捉えた。自然と涙が溢れてくる―――。
「牧野、返事はどうするの?」
類が笑顔で顔を覗きこんでくる。その顔はいかにも幸せそうだ。つくしの幸せが嬉しいという言葉に嘘がない証拠だろう。
「そうだぞ牧野、断るならサッサと断ってしまえ」
「そうだ、そうだ」
楽しそうに言うのは総二郎とあきら。それに対して司が渋い顔で睨み付けているが気にするような二人じゃない。
「牧野?」
終いに司もしびれを切らし、返事を催促してくる。いかにも緊張しているその顔を見て、つくしは思わず噴出してしまった。
道明寺のこんな表情、なかなか見られないわよね・・・
「おいっ! 真剣に言っているのに、なんで噴出すんだよっ! 失礼なヤツだな。」
「―――その失礼なヤツと結婚したいと言っているのは誰よ?」
「・・・うるせぇ、それで返事は?」
それは当然決まっている。本当ならもっと前に言えたはずの言葉だ。
簡単にして、とても短い言葉―――――。
「はい」
「だから?」
「・・・司、牧野が今言った『はい』はOKってことじゃないの?」
「そうだろうな」
「当然だろ」
F3がそれぞれに呆れたように言う。
「え、えええええっ!?」
「自分でプロポーズして、返事を急かしておきながらOKだと驚くのかよ。」
またまた呆れたように呟いたのは総二郎だ。あきらと類は苦笑している。
「い、いや、OKは当然だ。別に驚いたわけじゃねぇ!!」
簡単にOKの返事を貰えるとは思ってもみなかったようで、司は驚き慌てていた。だがそれを指摘されるとおもしろくないらしい。
どれだけ歳を重ねても道明寺司は道明寺司なのだと実感した。牧野つくしが愛した道明寺司だ。
「で、でも・・・牧野、さっきも言ったが過去は消せない。俺を許せるか?」
「司ってば、さっきはつくしって呼んだくせに、もう牧野になってる」
「う、うるせぇ!!!お前らは黙っていろ!」
「「こわ~・・・」」
つくしはどう言えばいいのか少しだけ考え、そして口を開いた。
「この間、花沢類に言われたの。過去を許せないから前に進めないのはおかしいって。道明寺を愛しているのに、許せないのは間違っているって。
それに過去が許せないというなら、今、私が道明寺に対してしていることはどうなんだって言われた。
結局、私も自分の気持ちばかり考えていて・・・道明寺がその時にどう感じたかなんて考える余裕がなかった。
でも言われて初めて考えてみて・・・許すとか許さないとかじゃない、それぞれが自分の幸せと相手の幸せを考えた結果なんだって思った。
NYでの別れは私のことを考えてくれたのよね?そして今回のことは自分の幸せを考えたんでしょう?」
つくしは道明寺と再会して初めて落ち着いた気持ちで話していた。
「NYの・・・あの頃、お袋が俺を脅迫したんだ。お前と別れないとお前と家族を破滅させるってよ・・・。
俺としてはお前を守るつもりでいたんだ。それがあんなにお前を傷つけるとは思ってもみなかった。
凄く後悔したがお袋は有言実行なヤツだし、俺は諦めてアイツと結婚したんだ。間違いだったが、そのときは仕方がないと思っていた。
お前と再会して・・・男と一緒に楽しそうにしているお前を見て、そんな権利もないのに怒りが湧いてきたんだ。
前にも言ったが、嫉妬したんだな。お前が俺以外の男と幸せそうにしているのが許せなかった。俺も幸せになりたかった。
それには絶対に牧野つくしが必要だったんだ。俺を幸せにできるのは牧野つくしだけだから。」
正直な言葉だった。以前にも聞いたことだが、新たな気持ちで聞くと別の感情がこみ上げてくる。
素直になれなかった自分が聞いたとき、そして今、道明寺に対して素直になった自分が聞いたときでは全然違う。
なぜ、こんな真摯な言葉を聞いても許せないと思ってしまったのか。自分の方が傲慢だったのだろうか。
つくしは零れる涙を拭うこともせず、司を見つめていた。F3はただ静かに二人を見守っている。
「牧野、頼むから俺と結婚してくれ。」
「―――道明寺がしおらしく『頼む』なんて言う日がくるとは思わなかったな・・・」
「お前に関しては弱いんだよ・・・俺は」
「牧野、司が頼むなんて激レアだよ。それに頼みこんで結婚なんて十分弱味になるんじゃない?」
「わかっているわよ、だから『はい』って返事したじゃない。」
つくしがそういうと、たったの数分前のことを忘れていたらしい男どもは間抜けな顔で『あ・・・』と呟いた。
「そうだったね、牧野ってば返事していたんだ。今ならまだ取り消せるけど。」
「類!!余計なことを言うんじゃねぇっ!!」
司は慌てて類を止めるが、つくしには口に出した言葉を取り消すつもりなどない。
類のお陰で自分らしく、そして素直に道明寺司に接することができたのだ。今ここで冗談にも取り消しの言葉など吐くつもりはない。
「取り消したりしないよ。」
つくしは笑顔で答えた。その笑顔を見た4人はまるで学生時代に戻ったかのように気持ちが明るくなった気がした。
F3は皆、二人の行く末を案じていたし、そして何とか二人に幸せになってもらいたかった。そうなることで自分たちの将来も明るい気がしていた。
高校時代に思い描いていた未来、どうせ政略結婚をして会社を継ぎ、発展させていくことが仕事なのだと思っていた。
この二人を応援し、その想いを成就させることで自分たちの未来にも幸せがあるんじゃないかと考えるようになった。
誰も俺たちの未来を決めていない。親がそうだったからと言って、俺たちが同じ道を辿る必要はないだろう。
俺たちもいつか―――誰か愛する人と結婚し、そして暖かい家庭を築きたい。それが社の発展にも繋がるだろうと考えるようになった。
自分が幸せだからこそ、仕事もうまくいくに違いない―――。
「やっとお前らも春が来たってことだよな。長すぎだよ。」
「本当だよな。」
「もういっそ、ずっとこのままでもいいかも・・・なんて考えちゃうよね。」
「だからお前は黙っていろ!! 類!!!」
「花沢類ってば・・・本当は喜んでくれているくせに。ありがとう、花沢類のおかげだよ。」
つくしが微かに涙ぐみながら、そう言うと司は眉を寄せた。
「俺の幸せは牧野が幸せになることだからね。牧野が幸せなら俺は嬉しい。」
「・・・ありがとう。」
「どういう意味だ?お前ら、一体何を・・・」
司はわけがわからず、苛立った声で二人を正すが、二人は笑顔で見つめあったまま何も言わない。当然ながら、それがまた司を苛立たせる。
「司は知らなくてもいいことだよ。いいじゃない、牧野と結婚できるんだからさ。」
「そうそう、司も細かいことは気にするなよ。」
「幸せになれるんだからいいじゃないか。」
F3が三人とも少し捻くれたような祝福をくれる。それがつくしにはわかっているが、司にはわからない。
「そういう問題じゃねぇ!!!」
司の怒声に三人は顔を見合わせ、盛大にため息をついた。
「・・・じゃあ、どういう問題なんだっつうの。」
「類がなんで牧野に『ありがとう』なんて言われるんだよっ!?」
「そりゃ、牧野が類に感謝しているからだろ。」
総二郎が火に油を注ぎそうなことを発する。間違っていないのだが、道明寺司という男にそういうことを言えば・・・どういう解釈をするのか想像すると恐ろしい。
「だから、なんでだよ!? ・・・まさか、お前ら・・・」
「まさかって何?牧野と俺がデキてるとか?」
「やっぱり、そうなのか!?」
司がそう言った途端につくしのコメカミがピクリと動いた。漫画の世界なら額に青筋が立っているだろう。
「その『やっぱり』はどういうこと?」
食いしばった唇から吐き出された、搾り出すような低い声。
司がハッとしてつくしの方を向くと・・・怒りに震える牧野つくしの顔があった。目は燃え、額には完全に青筋が浮かんでいる。
「アンタ・・・私をどういう人間だと思っているわけ・・・?」
「あ、いや・・・その・・・」
「結婚前から疑っている人と結婚なんてできるわけないでしょ!」
つくしはそう言うと、立ち上がり、椅子を倒す勢いで歩きだし、サッサと帰ろうとしている。
ラウンジの店員もホテルの従業員もつくしの血相と歩くスピードに驚きつつも声をかけられずにいる。
「ま、牧野、違う!!!待ってくれ!!!」
司は自分の失言を実感し、慌ててつくしの後を追っていった。
「ホンッとにあいかわらずだよな。」
「だな。アイツらは一生、あんな感じなんじゃないか?」
「そうかもね。でもそれが二人の幸せなんじゃないの?」
「「・・・かもな」」
類の言葉に総二郎とあきらが同時に頷いた。ああやって些細なことで喧嘩をしながらも、きっと彼らは二人で幸せにやっていくのだろう。
まるで二人の将来が目に見えるようだ―――。三人は知らず知らずのうちに笑顔になっていた。
「長かったよな・・・」
「そうだな」
「う~ん、長かったけど短くもあったよね?」
類がそう言うと二人は笑顔で同意した。長い人生の中で8年程度の別離、大したことではない。
二人にとっては大人になる大事な期間だったのかもしれない、そして実際に成長したと思う。
辛い別れだったかもしれないが、それがあったからこそ絆というか繋がりが更に深くなったのかもしれない。
三人はそう思いながら、それぞれに小さく頷いた。
「なあ、アイツら・・・いつ結婚できると思う?」
「すぐだろ」
「気持ちが通じ合ったんだ、あれぐらいの言い合いなら昔もあったし。」
「そうだな。じゃ・・・アイツらの結婚式の準備でもしておくか。」
総二郎が楽しそうに二人に言うと、二人も笑顔で「そうだな」と同意した。
「でもさ、何するの?」
「「決まってる。F3プロデュースの式だろ。」」
類の疑問に総二郎とあきらが声を揃えて言った。
司とつくしはきっと嫌な予感がしているに違いない―――。
FIN
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