全生より~野口晴哉

大人の真似をして慎重を知り、
決断を失い実行力を弱くして、
小児のうちに老人のように腰が抜けてしまった。

そして絶えず見られようとする焦りのために、
自分を見せるだけでは足りなくなって、
他人を排することを知った。

告げ口、悪口、意地悪は、みんなこのために発生したのだ。

転んだら泣かないと済まない子供、
誰かに助け起こして貰わぬとおさまらぬ子供は、誰が造ったのだ。

余分に庇って、子供を強くすることを考えず、
自分の感情を満たすことのみ追った親だ。

同情を集める技を体得した子供は、いつも弱さをのみ振り回す。


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