まっぺいの下町ラジオ

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(1)脅威の小島 シンガポール4



この経済恐慌は、マレーシア、韓国、インドネシアなど、80年代から90年代前半にかけて急速に成長を遂げた多くの国に飛び火した。
もちろんこの時、日本も非常に大きな影響を受けた。
ただでさえ悪かった景気に追い討ちをかけるように、近隣諸国が一気に足を引っ張った形になった。

私が渡米したときの為替レートが、$1=¥115ぐらいだったのが、1ヶ月で$1=¥145にまで落ち込んだ。
当時は、かなり参った。
せっかく送ってもらった仕送りも、数日で目減りしてしまうのだ。

そんな当時、韓国からの留学生の友達が、「韓国の経済が悪いから留学を止めて国に帰らないといけない」とぼやいた。
だから私は、日本だって同様だと答えたが、彼女は、
「この一ヶ月で、$1=800ウォン(韓国の通貨)から$1=1600ウォンになった。」というのだ。
青天の霹靂だった。
自国の通貨の価値がわずかひと月の間に半分になってしまうということは、わたしの想像の範疇を完全に超えていた。

更に驚かされたのが次の日、学校でインドネシアからの留学生にこのことを話したときだ。
彼は笑いながら、「ルピア(インドネシアの通貨)はこの一ヶ月で6分の1だよ」。
どんなに日本の円が落ち込んだと言っても、たかだか20%のダウン。
日本国内にいたときには、知ってるつもりでも、やはり日本のことしか知らなかったのだ。
Japanese Yenは不景気とはいえ、相当強いということを実感した。

余談が随分伸びてしまったが、このアジア大恐慌の中、日本同様何とか持ちこたえた国が他に2つあった。
一つは、大恐慌の後韓国に代わってたくさんの留学生をフィラデルフィアに送り込んできた台湾。
そしてもう一つが、まさか1年半後に自分が来る運命になるとは思いもよらなかったシンガポールである。

確かに、ここ数年はシンガポールも不景気だと言う。
しかし、駐在5年のある方の話によると、この5年間で、シンガポールドルの上下は30%。
全く、安定していると言わざるを得ない。
一体、この小さな島のどこにそんなエネルギーがあるのか。
シンガポールに関して、今のところ私の興味は尽きるところを知らない。

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