櫻と蝣深の仲良し姉妹部屋

櫻と蝣深の仲良し姉妹部屋

死して永遠


彼に逢わせてやると
でもあたしは聞こえない振りをした

彼に逢ったら甘えちゃう事を知ってるから

あれは夏の午後
蝉が五月蝿くて嫌気が差してた
何もする気になれない位暑くて

でも急に降り出した雨が気温を下げた
鳥肌が立つ程寒かった

今思えばあれは貴方の涙だったんだね

あたしは何も気付かず呑気に映画のDVDを観てた
意味の解らない映画で転寝しちゃってた
そして夢を視た
貴方の夢を
貴方はあたしにこう言った

「俺向こうでやりたい事が有るんだ
本当に御免
解ってくれ
俺は一生君を愛してる
君の為に唄い続けるよ
約束する
だからさよならしよう
俺達の未来の為に
俺達はずっと一緒だよ
待ってるから」

言い終わった所で目が覚めた
悪い夢なんて思わなかった
あたしには愛の告白に聞こえたから

数分後に鳴った電話は彼の親友からだった

「何?如何したの?
今ね、夢であの人に告白されちゃった」

電話の向こうでは笑いながら泣いてる様に思えた
次の瞬間あたしは蒼褪めた

「あいつ・・・今・・・病院に居るんだ・・・死んだ・・・・・・」

あたしは直ぐに病院に掛け付けた
其処には綺麗な顔で眠ってる貴方の姿
あたしは笑いながら言った

「また馬鹿な事してあたしを驚かそうとしてるんでしょ?
もう引っ掛からないんだから(笑)」

貴方は顔色一つ変えず返事をしなかった

死んだ?
彼が?
そんなの在る訳無いじゃない

手を握った
とても冷たい手だった
そして手首には大きな傷跡
骨が見えてた

あたしは傷口を舐めた
貴方の血液をあたしの中に取り込んだの

貴方を感じる

行かなきゃ
貴方があたしを待ってる

あたしは貴方の病室の窓から飛び降りて紅い華になった

彼の優しい笑顔にまた逢えた
ずっと一緒だよ

永遠を手に入れるなんて素敵ねってあたし達は笑い合った

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