迷鴎亭 ★BAKERY FESTE★

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2008.12.08
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『おまけのこ』を読んだ。『しゃばけ』に始まる長崎屋の若だんなシリーズの第4作(短編集)だ。最近これの次の『うそうそ』がドラマ化されて話題になっている。私はドラマは見ていなくて、原作を読んでいるだけ。
表題作「おまけのこ」は、短編集の最後に収録されている。「おまけのこ」とは、この作品の中で大活躍する鳴家(やなり)という妖(あやかし)のことである。
鳴家は、たぶんネズミぐらいの大きさで、小鬼の姿、どこの家にもいるらしい。物語中では「きゅわきゅわ」とか「ぎゅわぎゅわ」と鳴く(普通の言葉も話す)。「飼ってみたい」と私はすぐ思うのだが、飼うものではなく(笑)、住み着くものである。若だんなが住んでいる長崎屋のはなれにも、大勢が住んでいる。
その鳴家の1匹が、ある事件があって屋敷の外に放り出されてしまう。川を流されたり、烏につかまったり、冒険の果てにどこかの家の屋根に落ちた鳴家は、そこの家の鳴家たちに出会う。
帰り道もわからず鳴いていると、探しに来た若だんながその声を聞き分けて「うちの子」だと言う。いっしょに来た奉公人たち(彼らも妖である)は、鳴家の声なんかが聞き分けられるものとは信じないが、若だんなは確信している。
見つけた鳴家のそばには、その家の(外見はそっくりの)鳴家たちがいたが、若だんなは「いなくなったうちの子だよ。間違いないよ」と言い切る。じーんとくる場面である。ちっぽけで大勢いる鳴家だが、若だんなにとっては一匹一匹が同居している生き物として大事な存在なのだ。
このシリーズは、解説の谷原章介さんが書いているように、「気付くことの物語」だといえる。登場人物たちは「他人に言えない悩みや劣等感を抱えながらも、ある日、自分の心に向き合う方法が少しだけ分かってくる。」一つ気付いても、人の心は複雑で、次々にわからないことが出てくる。わからないことやどうにもならないことに、一つ一つ素直な気持ちで向き合っていく若だんなは、とても好感の持てる主人公だ。
今、『うそうそ』を読み始めたところだ。どのように物語が展開するのか、楽しみである。





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Last updated  2008.12.08 18:10:31
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