億万長者の幸福論 観念をふっとばせ!

富の分配メカニズム


●富の分配メカニズム

 (前略)

 それと同時に、「チープ革命」も厳粛と進行中で、表現行為のためのコスト的敷居は年々低くなり、道具は誰にでも使える方向に進化するから、表現者は増加の一途をたどる。

 グーグルと「チープ革命」が相乗効果を起こす形での「本当の大変化」はこれから始まるのである。

 これからは、文章、写真、語り、音楽、絵画、映像・・・・・ありとあらゆる表現行為について、甲子園に進むための高校野球予選のような仕組みが、世界中のすべての人に開かれているのが常態となるだろう。

 そしてそれは、詰まるところ「プロフェッショナルとは何か」「プロフェッショナルを認定する権威とは誰なのか」という概念を革新するところへとつながっていく。

 (中略)

 しかし表現者としてプロフェッシュナルであり続けるためには、常態となった甲子園地区予選を戦い続けることを余儀なくされる「自由競争・継続競争の時代」になる。

 プロフェッショナルをプロフェッショナルと認定する権威は、既存メディアから、グーグルをはじめとするテクノロジーに移行する。

 それに関わる「富の分配メカニズム」も全く新しいものに変わる。

 テクノロジーがその時々の「旬なプロフェッショナル」をネット上から常時選び出し、彼ら彼女らの知的社会貢献を自動算定し、広告費等を原資に、個々にきめ細かく応分な報酬を自動分配することになろう。

 生活コストの安い発展途上国の若い人たちの中には、知的生産活動をネット上に後悔することの対価としてグーグルから送られてくる毎月の報酬で生計を立てる人々も増えている。

 そういう夢物語のように思える諸々のことを実現するための技術の洗練は、私たちが想像できるレベルを大きく超えてしまった。

 これが事の本質である。



                        梅田望夫


ウェブ進化論



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