★ 季節を感じながら・・・ ★

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それから・・・(1)



退院1日前に、夫婦で病理結果をききました。

「最初の診断通り、非浸潤性乳管がんでした」

入院中は病院スタッフの方々にお世話になりながら、快適ともいえる17日間でした。入院前の数日間の不安は、入院したことでむしろ安心感さえありました。

私は、小さな町の総合病院のいわゆる一般外科医(消化器系)のもとで手術を受けました。
 医師はもちろん、看護師、その他のスタッフに感謝と敬意すら感じています。病棟担当の若い医師は、毎日朝、夕方と患者一人一人に声を掛けていただき、暖かな空気も感じることができました。
 私自身の乳癌に対して、出来うるベストの治療をしていただいたと思っています。

 だけど、乳がんの治療、対応に対しては「乳腺専門医」「乳腺科」と大きな違いがあるのはまちがいありません。
同じ結果しかあり得なかったのだとしても、そこに行き着くまでの経緯、納得の仕方など・・・など・・・

退院後に夢中で読んだ乳がん関連の本、インターネットでの情報に、ナゼ?とか、あの時・・・とかいろいろと想うところもあります。

「健康側のもうひとつの乳房に乳癌発症する確率は、健康な人よりかなり高くなるよ」とも言われています。

また、非浸潤といわれても、実際に細かく刻んだ切片と切片の間に浸潤しているがんの存在を100%否定できるものでもありません。

 万が一、手術側に気になることが起こったら、健側に不安を感じたら、迷わず次は「乳腺専門医」にかかろうとも思っています。

 よく、公開されている病歴にある、ホルモンレセプターとか、グレードなどと言った検査結果の説明はありませんでした。
非浸潤性とはいえ、多くの方はセンチネルリンパ節生検を行っています。投薬しない理由も明確ではありません。
乳管内どの程度の広がりがあったのか、本当に全摘しか方法はなかったのか・・・

 そういう、知識を得たのもすべて退院後だったため、疑問すら持っていなかった自分の「納得」は中身のあまりないところでの「納得」だったかもしれません。

 病院の対応でひとつだけ、何とかならないのだろうか、と思ったことがあります。
「女性特有のがん」であることを、配慮してくれてもいいのでは、と思うのはわたしの甘えなのかな・・・

「看護師」は男女平等なのはわかります。病室で若い男性の看護師がてきぱき働いている姿は、さわやかだとさえ思っていました。
特に私の向かい側の方は、身体が不自由でしたので、むしろ男性の力は大いに助かっていたのだと思います。
・・・でも、私の回診時のキズのガーぜ交換・・・女性のナースにお願いしたかったです・・・

入院中、同じ病気の患者さんに会うことはありませんでしたので、そこでなにか情報交換というのもありませんでした。

平になった胸の補強は、どうしたらいいのかな~と退院日に私服を着たときに、急に不安になっていたときに、担当の看護師さんが、ワコールのパンフレットをくれただけでした。

そんなところも、「専門医」のいらっしゃる病院だと、違った展開があったのかもしれないな~と・・・

いまや、国民的病気とさえ言われている乳癌の専門医が、札幌に集中することなく地方の中核に位置する総合病院に一人でも常駐されるよう願わずにはいられません。
そして、どこにいても、病気に対しての知識がある人も、ない人も、誰もが等しく望んだ医療が選択出来るといいですよね。


退院後は、2週間後に1度受診後は、3ヶ月ごとの定期検診と言われています。

 主治医のY医師は、外来診察がおわると、「気を付けて帰ってね」と声をかけてくださいます。そんな一言にも、あったかいものを感じます。

ピンク色に盛り上がった傷口は、いずれ目立たなくなるのだろうと考えていたら、「ケロイドになっちゃったな~、これは可哀想だけれど治らない」と言われて、ちょっと凹んでました。

「全摘でかまわない」とそこに躊躇はなかったはずなのに、時々意味もなく卑屈に感じてしまうことがあります。

「たいへんでしたね」と言ういたわりの言葉さえ、何がたいへんだったの?と反抗したい気分のときがあります。

頭が痛いと不安になり、腰が痛いと不安になり、健康を取り戻したとはいえ、「がん」であった事実は、未だ心の片隅だったり、気持ちの全部だったりしながら・・


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