71
maya
魔法解け
靴の音のみ
冬の闇
おりくさん
「シンデレラの 魔法が解けて 冬木立」
72
maya
雪の白
君に捧げる
わが心
おりくさん
「白雪や君に届けと思ふなり
73
maya
火の鳥や
ポインセチアの
赤の羽根
おりくさん
「火の鳥はポインセチアより空へ飛ぶ」
74
maya
ゆず香る
湯気やわらかく
夜が更ける
おりくさん
「胎内に揺らぐやうなる柚湯かな」
75
maya
クリスマス
世界の平和
声弱く
おりくさん
「クリスマス遍く響け平和の鐘」
76
maya
アルバムの
微笑み見つめ
年の暮れ
おりくさん
「在りし日の父のフォートや炬燵時間」
77
maya
数え日の
賛美歌響く
祈りこめ
おりくさん
「歳末や賛美歌聴きつ手は動く」
78
maya
生きんとす
意志のみかたく
年流る
おりくさん
「歳の瀬やわたくしなりのこの一年」
79
maya
夫送り
ワイングラスの
冬の雲
おりくさん
「透かし見る寒のグラスに雲一片」
80
maya
泡風呂や
湯ほてりの頬
冬の風
おりくさん
「筋トレの後の湯浴みや寒椿」
81
maya
ロバの耳
英語で映画
風冴ゆる
おりくさん
「笹鳴きや一瞬ロバの耳となる」
82
maya
凍る夜
異国の友の
声響く
おりくさん
「遠電話震へ白息見ゆるごと」
83
maya
指凍る
積雪の家
ただ祈る
おりくさん
「被災地や毛布に勝る絵本贈ろ」
84
maya
林檎むく
リズム軽やか
香りたち
おりくさん
「りんご剥く甘香に釣らるるリズムかな」
85
maya
小正月
おかゆの湯気に
義母浮かぶ
おりくさん
「独り居の母に届ける小豆粥」
86
maya
月冴えて
魔法の粉の
夢の旅
おりくさん
「寒月よりかかる金粉夢の旅」
87
maya
天の川
荒れる波にも
恋焦がれ
おりくさん
「観て滲む凍て星それは女星」
88
maya
手毬つく
幼き君に
夢で会い
おりくさん
「艶髪の若むらさきや手鞠歌」
89
maya
初詣
大吉を手に
残り福
おりくさん
「初まうで土ぞ真黒に花みくじ」
90
maya
大吉や
空飛ぶ羽の
白き色
おりくさん
「初みくじ大吉そらへ羽ばたきぬ」
91
maya
人魚姫
凍れる海の
泡清く
おりくさん
「凍て海や泡(あぶく)の一つ浮きて消ゆ」
92
maya
夢路にて
色あざやかな
冬の虹
おりくさん
「流離(さすら)ひの小町の夢に冬の虹」
93
maya
春を待つ
口紅塗る手
風騒ぐ
おりくさん
「愛しさは紅よりも濃き梅つぼみ」
93
maya
梅蕾
乙女に戻る
胸騒ぎ
おりくさん
「恋すればをんなは強し梅ごよみ」
93
maya
冬木立
水面の光
風清か
おりくさん
「冬木立やがては実るものがある」
93
maya
薔薇描く
朝の静けさ
鳥の声
おりくさん
「描くほど描くほど薔薇輝きぬ」
94
maya
緑葉や
朝の光を
深く吸い
おりくさん
「春寒や吸えば胸底まで碧く」
95
maya
冴える月
明日は照らさぬ
薄明かり
おりくさん
「凍て月の錨の背中(せな)に刺さるごと」
96
maya
白梅や
夢殿つつむ
時の旅
おりくさん
「白梅や夢殿つつむ太子の香」
97
maya
春来る
携帯持ちて
君探す
おりくさん
「薄氷(うすらい)の向こうの人は羅針盤」
98
maya
さくらの間
二十歳の筆の
艶やかさ
おりくさん
「襖絵の桜散ること知りもせず」
99
maya
襖絵の
鷹は枝が上
永久に生く
おりくさん
「襖絵の鷹の眼光二月闇」
100
maya
寒桜
戸惑いの色
うちに秘め
おりくさん
「寒桜恋し恋しと呟(つぶや)けり」

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