星の髪飾り

星の髪飾り

2015/06/02
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「しんたろうガーデン」

白いペンキで梁の部分に画かれたそれは、生前の彼のようにあたたかかった。

四本の柱、簾で覆った屋根の真ん中に木の椅子とテーブルが佇んでおり、煉瓦を

積んだ窯の傍には、豚の蚊取り線香がしょんぼりぶら下がっていた。 2015060212390000.jpg



 私達がここに越して来た三十年前、彼は三輪車に乗り、しきりに同世代の息子を

気にしていた。

やがて登校班で通学するようになり、一学年上の彼は面倒見のよい笑顔で地域の

人気者になった。 立派な青年に育った彼は、社長賞を貰う程の仕事っぷりだと

知った。

自宅の庭はビワや梅、花桃の木も大きく育ち、芝生に置かれた庭の片隅に

ご主人が作った窯や、味のあるテーブルとベンチがあった。 

そこで家族や友人を誘って一杯やるのが好きだった。

「ここは俺の聖地だ。 おちつくんだよな・・」

 彼が愛した陽だまり、「 しんたろうガーデン」


 この春、彼は霊山に旅立った。

白血病はなぜ、彼を選んだのだろう・・・ その日、静寂ともいえる程、街は静かで

多くの人が涙した。 そして長い長い列ができた。

四十九日が終わり、ご主人と、自然に集まった彼の仲間、地域の勇士がつくった

「しんたろうガーデン」

 そこを通ると、笑顔のしんたろう君が

「こんにちは!」 と声をかけてくれそうだ。

2015060212390000.jpg





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最終更新日  2015/06/02 06:07:37 PM
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Re:しんたろうガーデン(06/02)  
恵美子777  さん
短編小説を読んでいるようでした。素的な人柄が、街の空気が伝わってきました。
いつまでも皆さん忘れないで寄ってくださるのでしょうね。
(2015/06/04 04:52:45 PM)

Re[1]:しんたろうガーデン(06/02)  
恵 香乙  さん
恵美子777さん
>短編小説を読んでいるようでした。素的な人柄が、街の空気が伝わってきました。
>いつまでも皆さん忘れないで寄ってくださるのでしょうね。

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さっそく読んでくださりありがとうございます。
本当にどう著してよいか、だただた残したかった
私の思いです。 (2015/06/05 10:06:13 AM)

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