クッキーのおうち

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夏だから。。。ちょっと怖い話

genkina-su



夏だから。。。ちょっと怖い話




 病院って怖いはなしがつき物ですよね。
 ナースの中には「私って、霊感強いのよね~」といっては、夜勤のたび、怖い話をして、みんなを怖がらせて、トイレにいけなくしている人もよくいます。
 わたしは、はっきりいって鈍感で、金縛りくらいは経験あるけど、まっ、それも疲れすぎかなってていどで、あまり心霊現象は、信じていません。
 そんなわたしも、これはね~と思うような出来事が少しはありますが、そのうちの一つをご紹介します。
 私が勤務していた救命救急センターは、大学病院の敷地に増築してあるところでした。バブルのころ、自治体が先頭にたってあちこちに救命センターができたころです。
 救命救急センターでは、最初の救急処置が終わるとICUやCCUという部屋に患者さんを入院させその後の治療をします。ここに入院する患者さんの共通点は、突然、死にそうになって何がなんだかわからないうちに、体中、点滴やら心電図やらにがんじがらめになっているということです。あまり自分の意思は働いていません。
治療は24時間続くので、患者さんは時間の感覚は麻痺してくるし、自分が何なのかもわからなくなって、幻覚や幻聴に悩まされる人もいます。中にはパニック状態になり、暴れ出すひともいます。こういう症状をICU症候群などといいます。ナースの仕事の中でも重要なものの1つが、心のケアです。ナースはICU症候群になってしまわないように、状況が許せば、よるは電気を暗くしたり、昼間すきな音楽やラジオなどを流したり、いろいろな工夫をするのですが、それでも時折、そういう症状に陥ってしまう患者さんがいます。
 ある患者さんも幻覚や幻聴に悩まされ、心電図モニターから声が聞こえるとかいろんなことを言っていました。そんなある日ナースコールで行ってみると青い顔をして、「今、たぬきがいた」と言うのです。「たぬき?」
 少しして、その方は快方に向かい一般病棟に移っていきました。ところが、次にそこの部屋に入院した患者さんも「たぬきだか、いたちだかわからないけど。。。」と言い出したのです。そして、その隣の部屋の患者さんまで、筆談で(この人は人工呼吸器をつけていたので話せません)「たぬき」と書くではありませんか。。。。
 「たぬきって一体?」私は背中が寒くなりました。だって、その救命救急センターは動物実験室の跡地に建てられたんですもの。
 でも、実験に、犬やマウスは聞くけど、たぬきって。。。。
 まさか、場所柄、山を切り崩した土地だけに、「平成たぬき合戦ぽんぽこ」みたいに「わしらの山をかえせ~!」ってことだったのかしら?
 その後も何度かたぬきを見る人はいましたが、そのうち私たちも慣れっこになって、「ここよく動物が現れるみたいよ~」なんて言っちゃう始末で、あんまり怖くなくなっちゃたんだけど、初めて聞く患者さんはビビッタでしょうね。ごめんなさい。



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