砂漠の湖



イランにだって高速道路はある。
そこで私は、その高速道路でテヘランからクム(ゴーム)へぶっ飛ばすのでした。

片側3車線、休憩なしで一路南へ3時間と少々。快適なドライブと言いたいのですが、そうでもありません。なにせ、景色がほとんど変わりません。見渡す限りのカヴィール砂漠です。

ここで皆さん、あの自然の作った芸術作品とでも言えるような風紋、サラサラと流れ落ちる砂丘をラクダがなんてイメージをしないで下さい。

点在する小高い岩山。それも、悠久の年月の果てにそこそこ風化し、ボロボロと崩れそうな岩山。それと、そのボロボロ岩山が更に風化した瓦礫、もっと進んで土。

そうなんです。イランの砂漠は砂漠ではなく、荒涼とした土漠、土と瓦礫の不毛地帯です。そこにほんの少し、いばら状の下草をちりばめて下さい。さらに、その下草さえも枯れ果て、風によってカラカラと大きなボール状になって転がるやつ・・・・
ほら、西部劇の決闘の場面、クライマックスですネ。まだ打ち合いは始まっていませんヨ。一番の緊張のときです。効果音がテケテケテケン。
フィユゥー!なんて風が吹くでしょう。すると砂埃と共に転がりながら登場するやつ、あれですよ、あれ。
その「あれ」をひとつふたつ彩りに飾って下さい。
ハイ、イメージ、頭の中に出来上がりましたでしょうか?

そうした、ワンパターンの景色、地平線の彼方まで続く土漠の中の一本道。当然サービスエリアなどという気の利いたものなど望むすべもなし。
ハンドルほぼ固定、アクセルもクルーズコントロール状態にて爆走。景色にもうんざりとし、頭はボンヤリ、押し寄せる睡魔と闘っていた頃、それは突如現れるのです。

左(東側)前方に湖が出現するのです。見渡す限り真っ白に。(冬の場合は初めから終わりまで雪で真っ白です。従って湖は出現いたしません。ひたすら睡魔と闘うのみです、悪しからず。)

「真っ白じゃネエだろう。真っ青だろう」って?

イィエェ、水が一滴も無いので真っ青とはいかないのです。
水の無い湖、そう、塩湖なんです。
これこそ、太古の昔、イラン高原が海底であったことの証しです。

天然ミネラル塩の宝湖、あッ!イヤ、宝庫なんですネ。見渡す限り。
羨ましいですねェ。日本は周りが海だらけなのに天然ミネラル塩は高いのだッ!
あぁ、あなたも買っておられますか。

露天掘りですゾ!露天掘り。
うーん、縦掘りじゃなくて、集めるだけだから「露天塩採取」?




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