不安とプライドと自己嫌悪

不安とプライドと自己嫌悪

高校生


入学したときはまだ希望があった。
なにしろ進学校なので、東大だの京大だのに行った先輩は数多い。
自分もそれに続くのだと意気込む時期も、あったかもしれない。
でもその夢はアッサリ打ち砕かれた。
片田舎の中学校でいくらトップでも、そういう人間ばかりが集まる場所で、それを維持できるとは限らない。
もともとプレッシャーに弱いわたしは、あっという間に劣等性になっていった。
特に理系科目は最悪で、留年の危機にも数度晒された。

部活動はというと、これまた地味に、書道部をやっていた。
書道は好きだったし、書道室の雰囲気も好きだった。
書道の先生も面白い人だった。
結構気に入って書道部には通っていた。2年生のときは部長にまでなった。

運動の方は更に苦手になっていった。
というより、1年生のときは、運動などできる身体ではなかったのだ。
拒食症のため体重は30キロ強まで落ち(わたしの身長は158センチである)、
食後1時間以上経つと身体を動かすのが辛かった。
階段を昇るのも一苦労で、水泳の授業などしようものなら、本当に動けなくなった。
屋上にあったプールから担ぎ下ろされたこともある。

そして2年生になる頃には反動で過食症をやっていた。
お約束のコースと言える。

そんなハンデがあったせい、そして生来の性格のせいで、ともだちもあまりいなかった。
書道部仲間のヨウコちゃんとショウコちゃん、クラスメイトのニーノちゃん。
この3人ぐらいしか、わたしが親しくしていた人はいない。
そして今となってはその3人とも連絡は途絶えている。

わたしにとって高校の3年間は、たとえるなら混沌の大渦巻きだ。
自分が何をしたいのか。
自分はどうなるのか。
自分は生きていけるのか。
わからなかった。常に先は見えなかった。
そのくせ心の中では何かを訴えて、いつも悲鳴をあげていた。

高校が楽しいと思ったことはあんまりなかった。
中学生まではあれほど自信のあった勉強も、さっぱりできなくなっていた。
大学進学も危ぶまれていた。


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