michi草。

michi草。

DAY3



荷物をまとめて朝のうちにホテルから地元に送る。
疲れた体と、でもさめやらぬ興奮を抱いて、ここに戻ってくる事はもうないんだなぁ

なんて思いながら
もう見なれたゴーストタウンみたいな商店街の坂道を降りて駅へ向かう

もう全部が見納め
そう思うと全部を記憶に焼きつけておきたくて
目にする光景すべてをデジカメできりとっていく。

でもセンチメンタルにひたるにはまだ早いのだ
テンション上げて、湊屋のハムの列に並ぶ。
ハムがそこまできた所で倫とびっちと会う。
ネズミーで会えなかったかぁさんも初対面

朝から肉に酒にと食らう。どんだけ健康なんだか。
でもこのオイシイ空気と素敵な仲間。
何よりきっと心が健康だから
もちろん最後は白玉寒天あんみつで。もうこれは1日3回は食べたい。

昨日の夕方に最終決定の報が届いていた。スネオヘアーの出演中止。
出会った頃から「いつか一緒にスネオみたいね」って倫と言い続けていて
やっと今年叶うはずだった
でも約束は伸びただけ。
残念だけど、ね
とりあえず体治して下さいよワタナベさん。ほんと。待ってるから。

最近急激に気になり始めたサンボも惹かれはするが
久しぶりだしやっぱ見たいしで選んだのはテナー
暑さもコンクリの照り返しも演出のヒトツにしちゃうような
硬質で瞬発力のある音がレイクを巻きこむ
ナカヤマ氏がクレイジーにステージを飛びまわり(よじ登り)
苦笑のホリエ氏とひなっちがそれでもどうにか音の平常心を貫いて
「KILLER TUNE」て痺れた。ほんとこの人達の音はかっこいい。

ラットをみたいとゆかりちゃんはフォレストに移動。
私はしばし日陰で汗をひかせてJackson vibe。
もっとシーンの中央に出たっておかしくないキャッチ-な音が笑顔を誘う
テナーのあとにJ.Vが聴けちゃうとこがフェスの素敵なとこだ
でもってそこに違和感を持たせないのがバンドの力

笑顔がひかないままフォレストにつばきを聴きに行く。
別に私が気にする事でもないんだけど、
どこでも同じように素敵なステージが同じ楽しさで繰り広げられてることに気付いて
なんか嬉しくなる
一色さんが楽しそうに歌っていた

今年からできたフォレストの周りは日陰も多く、しかも湊屋隣接という好条件
すっかりお気に入りになった木陰でみんなにメールをうつ
今日は来てるはずのモンキチからは返信なし
楽しんでるのかなぁ、なんて思いながら
携帯が死んでたことあとから聞いた。
足元を、都会ではみたことないおおきい蟻がウロウロしていた。
突然デジカメがダメになる。充電不足?致命的。つか充電器もう家に送ったつの。

グラスに戻って、人気のないシートに寝転ぶ。
松の木ごしの空を見上げる
具沢山のカレーなるものをほおばりながら、銀杏の「東京」を聞く。
私が唯一知ってる、でもって唯一泣いた銀杏の曲。

メールが来て、フードエリアでひろりんと会う。
いつもライブハウスで会う時とは別人みたいにやつれていて吹き出す。
暑くてヘロヘロなのよ、なんでそんなまったりしてるの、とかき氷を掻き込む彼女に
頑張りすぎると楽しめなくなるから、頑張りすぎない事にしたんだ、と私は笑う
4年目の余裕だよな
3日目だけど、私は充分元気だった。

民生兄さんの「こんにちは、桑田圭佑です」という1ボケと予想通りのギュイーン
ロックモードであることを確認して、懲りずにフォレストに向かう。
時間的にほんの少ししかみれないけど、そんでも生で聴きたいDEPAPEPE。

フォレストの芝生に座りこむと、丁度2人がチェックの最中で
星がこぼれ出すみたいに紡がれるギターの音と
頭上でさわさわ揺れる木の葉
泣けてくるほど、幸福な気分だった
でも喋ると笑いの人みたいだよね、なんか。関西訛りが愛しいです。
のっけから鳥肌がぶわっと立った
感動すると、なんでいきなり涙腺ゆるむんだろうね。
泣いてる自分にびっくりした。

炎天下のステージ間を歩く人の波はいつも途切れない
歩きながら、どうでもいいことを考えていた
気が付くと、自分の足で、こんだけ歩く事って日常であまりなくて
ましてや日の下を、こんな汗かきながら

私はインドアな人間で、基本汗かくのも疲れることもキツイのも大っ嫌いで
体育がなくなった今、なんでわざわざ走ったりする人がいるのか理解不能だったんだ
けど
なんかちょっと判った気がしていた
足は痛いし日焼けも痛いし、濡れたTシャツも気持ち悪いけど
なんか途中からそれが楽しくなってくる
きっとヒドイ格好であろう自分がなんか面白くて
そもそも歩くってことは足が痛かったりきつかったりつらかったりするもので
だからきっと、自分を「ココ」から違う場所へと連れて行けるんだ
そこにじっとしてたら、汗もかかない変わりに何も変わらないんだ

そんな、日常でも忘れてたこと。


アジカン。ゆかりちゃんと半日ぶりに合流。
のっけからゴッチのメガネのレンズが外れる。コントかと。
うわぁやべぇ何もみえねぇ~… ってもう笑うしかないゴッチは
すっかりとっちらかった風で、悪いけどキュートさ倍増。
「あ、メガネとった俺が男前だからってみんな動揺しないで」って
その大事な台詞もカミカミでアナタが一番動揺しちゃってるじゃないですか!!
位置が悪かったのか、実際動揺してたからか
序盤、音が割れたり流されたりしてたのが残念だったけど
「ループ&ループ」で跳ねる時ほどフェスだなぁって感じる時はない。
『アナタの隣にいる人も、周りの人もみんな
変わりのきかないかけがえのない人だって そういうことを忘れずに居てください』
そんなゴッチの言葉が沁みた
ちっさいけどぶっきらぼうにも見えるけど、上手くも言えないけど
この人は優しい人だなぁって つくづくまだ惚れなおしました。

終ったと同時にレイクへ急ぐ。そりゃ教授も見たいけど
惚れた弱みでやっぱり見ずにはいられないGRAPEVINE。
時間もないのでそよ風トレイン使っちゃう。
でも今年は初だ。頑張ってるねぇ我ながら。
相席になったグループのひとり(かなり泥酔気味)が「スネオヘアーが何故出演中止
なのか」についてかなり熱くなっていて
どうしてですか??と質問をふってきたので丁寧に病状について説明してさしあげ
た。
マジかよ…大丈夫なのかスネオヘアー!!とかなり心配気味な御様子であった
明らかに、スネオヘアーなんたるかは御存知ない風で面白かった
ぶっちゃけ、名前がインパクトあったから気になっただけですよね?とつっこんだ。
すみません民生さんと同じ年です、と照れ笑いの気の良さそうな兄さんでした。

なんでこのバンドがグラスじゃないんだ、って思ってた頃もあったけど
今は、やっぱり彼等の位置はここなのかなぁって思ったりもしている。
暮れていく時間のレイクに1番似合うバンドのひとつだ。
今年のバインはアッパーチューンを散りばめる。今更さらりと「白日」
イントロでうぉー!って声上げて顔見合わせるキッズがいて思わずニヤリ。
教授を蹴ってこっちにくるくらいのオーディエンス
君等はスゴイ、俺やったらあっちいくわ、とタナカさんがニヤリとして
「いつもいつもレイクに呼んでくれてありがとう」
「こうなったらずっとレイクに出てやるぜ」
「またレイクでやらしてくれ!」
「来年もライクで会おう!」と。
『レイク』を連呼。もちろんずっと出てください。よろしく。

どんだけ楽しくても(多分楽しいからこそ)
終りの予感がしていた
最後は笑って大円満で楽しもう
私が選んだのはサザン。
ゆかりちゃんと別れて、グラスに戻る。

スタンディングゾーンへ、人がどんどん移動していた
メールが行き交っても、誰とも会えそうになかった
後方を陣取った私の周りにはフェスでみたことのない年齢層の奥様方
今日1日どこに隠れていたんですか?な不思議な格好で
でもきっとこれだけを楽しみにきたんだよね フェスはどうでしたか?

そしてサザンオールスターズ。

知らぬ間に、気が付くと知っている。誰も否定しない、日本有数のポップスター。
「チャコの海岸物語」で始まる。いきなりヤラれてしまった。
マダム達がダンスチームに変身している。見た事のない、不思議な動きで踊ってい
る。
若者も声と手を挙げる。完全にサザンの勝利だった。
ありがとう、ありがとう、ととぼけた顔で、殊勝な振りをしつつ
おっさんの皮をかぶった天才が観衆を煙にまく。
微笑む原坊。余裕のステージ。力を抜いて、力をみせつける。
ここまでこれたら最高だよな
ここまで行きたいもんだよね
10年後の理想形がここにあるよ、ミスチル。
ステージのお姉さん方の体に見惚れました。
つか近くの男子、興奮し過ぎだって。笑

花火が上がった。

最後にDJブースに集まった、祭りを終わらせたくない観衆は
線香花火の、最後の輝きみたいに、弾けていた。
時間になっても、誰も帰らない
レジデントDJの3人が手を振って裏に入ってもまだ続くJAPANコール。
帰らなきゃ、終ったんだから、って言いきかせながら
やっぱり私の足も動かない。
やがて帰らない観衆の声につられて出て来た3人が手を振って
ほんと帰れってマジで、オマエラ、と前田さんが苦笑しながら
また冬な!と片平さんが言った。思わず「冬もきます」といいそうになった。


東京駅行きのバスに乗る。
疲れているのに、少し興奮もしていて
お互いに見たステージについて聞きあいながら
そんでも気が付くとみんな眠っていた。

東京駅で新宿行きの電車を世話してもらって
ホームで別れる。
また会おうと抱き合いながら
終ったなぁって
少しだけ喪失感と満足感が混ざる胸のなか
そんでもって毎年思う事は

今年も最高のお祭りでした
ありがとう


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