現実逃避所 Ally of Jastice

銀さんちのどうでもいい災難

くだらない 壮絶な争いが繰り広げられていた。


「ないないないない!ちょっと待てコラ新八ィィィ!俺のチョコはどこだ?チョコチョコ!」

「いきなり怒り出して何なんですか。チョコなんて知らないですよ。」

事件は爽やかな春の朝に起きた。
糖尿持ちの侍、坂田銀時の( 家賃未納の )家では『銀さんチョコ失踪事件』が起きていた。

「五月蝿いヨ銀ちゃん。ちょっとは落ち着くネ。 とりあえずゴミ箱から探してみよう 」

「何考えてるの神楽ちゃん!もし見つかっても銀さんそんなの食べたらお腹壊しちゃうでしょーが…… 僕は知らないですよ。知らない間に全部食べちゃっ…

「食べちゃったァ?やっぱり新八、テメェじゃねェかァァァ! 怒 」

「…あ痛ッ…痛いよ痛い痛い!ちょっ…えっ…眼鏡ごと顔押しつぶさないでくださ…痛い!痛いって!人の話は最後まで聞いてくださいよ!銀さんが知らないうちに全部食べちゃったんじゃないですか?」

この時は誰も気付いていなかった。
起きていたのは『銀さんチョコ失踪事件』ではなかったことに。

「…俺ァ……食べたか?食べたかコノヤロー
 ちくしょ…昨日飲みすぎて何にも覚えてねーよもうやる気しね~」

「だらけるのもいい加減にするネ。犯人捜そ犯人。最近刺激が無いから適当に誰か血祭りにあげるアル。 きっと楽しいよ 」

神楽はそういうと電話に手をかけボタンを押す。

「真選組アルカ? サディスティック星の王子ひとつお願いするアル …これからちょっと新八を血みどろにするんだけどお前もくるカ?…うん、銀ちゃんトコで待ってるヨ」

ガチャ。

「オイオイオイオイィィィ!ちょっとなに総悟さん呼んでるの!?
 え?だいたい僕を血みどろにするって夜兎の血でもよみがえっt…

ドカーン

「来てやりましたぜィ、銀さん。旦那のチョコ食った不届き者はコイツですかィ?」

「ああそうだ。新八のヤローちょっと目を離しているうちに俺のチョコを食べやがって……だいたいアレはなぁ、 バレンタインにチョコもらえなかったからコンビニのババァを結野アナにみたててチョコをもらう妄想をしてやっと手に入れた思い出深

「要するにただの変態チョコじゃねーか」

「ぅゎ何するの新ちゃん!ママは貴方をそんなコに育てた覚えはありませんよ」

「逝ってろ」

「……ひょっとすると冗談じゃなくてホントにこの家のものはチョコ食ってないんですかィ?」

「バカかお前。こんなの新八で憂さ晴らしをする口実に過ぎないネ。
 銀ちゃんのチョコを食べるなんて寿命を縮めるようなこと誰一人しないアルヨ」

「そうですよー…銀さんのチョコを食す勇気があるのは宇宙広しと言えども姉上とか桂さんぐらいじゃないですか?少なくとも僕には無理ですよ」

「フン、このマダオが」

「神楽ちゃん………」

「それは一大事でさァ。ここはひとつ真撰組にこの事件を任せてみたらどうですかィ?」

「あー…まァチョコが戻ってくるならそれもいいんスけどー…
 それよりなんかドア開かないんですけど。」

「どうしたアルカ?」

「いや今いてもたってもいられない俺が新しいチョコを買いに行こうとしたんだけどドアがうんともすんとも言わなくてよォ……」

「あー…、マズイですね。僕たちこれドア蹴破らないと出られないんじゃないですか?」

「バカっ!家賃も払えてねーのにそんなことしたらあのクソババアなんていうかわかんねーだろォォォ!」

どかーん

「えっ…ちょ…神楽やめろォォォ!蹴るな…いやもう音した遅いか…いや、気のせいだ。うん。蹴るな待て早まるな神楽…

どかーん

神楽がドアを破壊する音が聞こえる。
目を逸らし男三人はドアに背を向けたまま立ち上がる。

「もうダメですね、銀さん。神楽ちゃんがドアこわしちゃ…

「 俺も一緒にやりまさァ 」

「やらなくていいやらなくていい!…神楽ちゃん、結構大きな音が聞こえたけど…これ僕の空耳だよね…?」

「空耳に決まってんだろ、俺は何も見てない聞こえない。」

目を逸らし背を向けたまま男三人はただただ立っていた。
銀さんの頭を駆け巡るのはもはや既にチョコではなくドアの修理代だった。

「銀ちゃん」

「どした神楽?」

「私……このドア壊す勢いで思い切り蹴ったアルヨ……。」

「 え!? …壊れてない!?ちょっと待て神楽今お前ドア蹴ったって言ったよな……なんで壊れないんだよ?」

「壊れないとおかしいんですかィ?チャイナも一応女ですぜィ。」

「夜兎の私が思い切り蹴ってもドアが動かなかった……。夜兎と人間を比べるときに夜兎の男も女も関係ないネ。みんな結構なパワーをもってるアルヨ。その私がドアを蹴破れなかったということは……私たちはこの万事屋に閉じ込められたということネ」



*+*+*



「うがーっ!お通ちゃぁぁぁん…」

「ウルサイネ。 だまれ 」
大きな衝突音とともに新八が壁にぶつかり、壁はミシミシとなる。
案外か案の定かこの壁は崩れやすそうだ。

「銀ちゃん、コレきっとドアじゃなくて壁から出ればいいヨ。早く酢昆布買いに行こう。ほらそこ、お前も手伝うネ」
「いつか殺すぞチャイナ」

「せー」「のっ」『ふぁちゃぁぁぁ』

「何言ってるんだよオイ無理だから!無理だからァァァ!やめてぇもうこれ以上修理代とか払えな……」

崩れる、駄目だ、もう払えねェ、こいつら連れてどこか逃げよう……
銀時がそんな邪なことを考えているすぐ横で、いくら壊そうとしても壊れない壁があった。

「ダメネー だからお前は新八なんだよ」
「ふざけろチャイナ! 俺ァ総悟、サディスティック星の総悟でさァ。あんな眼鏡のび太と一緒にしないでくだせェ」
「 お前らがふざけるなよ。 僕たち今何気に結構深刻な状況なんだよ?ほら見て銀さんだってあんなに悩んで……」

「お、まだチョコ残ってんじゃん」

「 ふざけろォォォ! 銀さんわかってるんですか?今はチョコどころじゃないでしょう。」
「馬鹿何言ってるんだ非常時のチョコは宝だ宝。 やらねェけどな 」
「銀ちゃん私も食べたいヨ」
「お前には酢昆布やるから酢昆布やるから、うん。チョコは俺のな。」

問題は、壁が壊れないことだった。
壁だけではない。窓という窓はすべて曇り開かなかったし、水という水も出なかった。
電気もだんだん弱まっていく。

「そうか!わかりやした旦那。これは集団麻薬トリップでさァ」
「馬鹿言うな俺は麻薬ごときで 妄想妊娠とか しないぞ 絶対 。」
「銀さん……アナタも結構苦労したりするんですね。まぁいつもだけど…」
「新八、お通ちゃんの親衛隊は…」
「ああ、そうだった!今日はお通ちゃんの ときめきベイベー1周年スペシャルライヴ だ!親衛隊長としてなんとしてでも会場に行かないと!」
「おい落ち着けや。今から言っても無理だろー無理無理。」

ときめきベイベー1周年スペシャルライヴ 具体的にがどんなものかはわからないがとりあえずツッコミを入れた銀さん。

「ドアドアドアドア!ほら開けぇーい」
「新八それ押入れヨ。私の寝床ヨ。何間違えてるか。これだから新八は……」

『!!!』
「旦那!見て下せェ。なんかコスモが広がってますぜィ?」

総悟の指す方向―――押入れの中には、小宇宙が広がっていた。



+*+*+



「うわ、なんですかコレ」
「何ってお前決まってんだろ。このコスモは俺の アンダーワールd 」

どかーん

「新八、痛い」
「アナタのせいで僕結構マトモな道踏み損ねてるんで、いい加減やめて下さい」
「痛い痛いあ、痛ッ痛いって痛っ」

どかーん

「神楽ちゃん、痛いよ」
「あ痛痛痛…」
「ウルサイからこうなるネ」
「旦那、これ、なんなんですかィ? 」

バイオレンス・ワールドを制したのは総悟の一声だった。

「いやー、まァ、アレだ。」
「何アル? 」
「部屋から出られない俺らのために結野アナが与えてくれた脱出口だ」

――と、 似合わないのに 真面目な顔して語る坂田銀時20代前半ジャンプ愛読者。
それに反抗するは志村新八・沖田総悟両者16歳と、(山本)神楽(推定)14歳。


どかっ
ばきっ
ぼきっ


なんともバイオレンスなその響きに思わず悶え苦しむ銀時。

「ふざけないでくだせェ旦那! 」 
「銀さん、ふざけるにも程があります! 」
「銀ちゃんなんて酢昆布の包装以下の存在ネ! 」
「 結野アナじゃない! 花野アナだ! 絶対 」

おい。――総悟、お前もか。あのゴリラに殺られたのか。

「まァいい。見てろ……」

木刀を抜く。押入れに向かい合う。
宇宙に空気はないからこのまま飛び込んだら死んじゃうかもしれないとかそういうことを一瞬考えて、それでやっぱり気付いたとき彼の体は跳躍していた。押入れに切りかかる。しかし一体なんの意味があって――?



あたりは、闇に包まれた。
……けれど、にわかに光が立ち込める。
(――どこあるカ…ここ……)
まぶたをひらく。光がもどってくる。
神楽はゆっくりと辺りを見回す。――ああ銀ちゃんのジャンプ読んでて寝ちゃったんだっけ――と、そんなことを考えソファから体を起こす。
「やっぱり酢昆布は買いだめしておくに限るネ」
財布を持って彼女はドアを開ける。
ドアが開く。風が吹く。
銀時が目を覚まさないようゆっくりと戸を閉める。
同じようにしてデスクで眠る銀時。

「オメーのチョコも買ってくるアルヨ」

やわらかく微笑み彼女は非常食を買いに出かけた。





後日、買いだめした食料をおさめていた押入れからは、ゴキブーリが現れたという。





+*+*+*+*+*

むぅ。意味不明?
いいのいいのです。
ここまで読んでくれた方、どぅもありがとうです。
パロディ短編は難しいですね。
ナルトでは結構やってたんだけど……
ま、精進するですよ。




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