みどりの日記                  ~gardener's hum~

  みどりの日記 ~gardener's hum~

第12回 6月16日



『雨の日の愉しみ』


梅雨って、じめじめして嫌な季節ですね。
幼いころから雨に縁があるのか、事あるごとに雨に降られ「雨女」なんて
言われることもありました。そのせいか、なんとなく天気が気になる季節です。


「お願い!晴れて」この時季、庭の植え込みの仕事や屋外で行うイベントなどが
あると、毎日天気予報とにらめっこです。
ま、イベントなどは晴れるに越したことはないのですが、何もない時には
しとしと降る雨もけっこう良いものです。


雨が降ると庭全体は落ち着いた雰囲気になります。あちこちに配置した構造物は
色がしっかり濃く出て存在感が増しますし、植え込んである植物たちはみずみずしく
発色も良くなります。


以前、取材で知り合いになった雑誌関係の方に庭の撮影についてお聞きしたこと
がありました。
お客様のお宅にお邪魔して雑誌等の撮影をする際には、数日間天気が続いて乾いた
状態の場合には、カメラを構える前に庭全体に水まきをするそうです。

そして、水の重みで首を垂れてしまった植物の水分を軽く落しシャキッとさせて
撮影するなどの工夫をすると言っていました。みなさんもご自宅で撮影する際には
是非試してみてください。



ある日のことです。作業小屋アグリナブルには朝から霧雨のような雨が降っていました。

周囲にいくつか置いてあるカエルの置物やプレートも雨にぬれて、本物のカエルの
ように生き生きしてきました。
その表情はいたずらっぽくニヤリと笑い、今にも石の上から跳ねあがりそうに見えました。

こんな日はしっとりした音楽と雨粒の跳ねる音を聴きながら、室内でもの作りに
励むというのも良いものです。そうですね、BGMもしっとり系でまとめ
「雨音はショパンの調べ」という感じですかね。


さらに空にかかったどんよりとした雨雲のせいで昼間でも薄暗い感じになってきました。
そんな時にはちょっとしたアイディアで庭の見える窓辺の演出をしてみませんか。


私は庭にあったひび割れたりかけてしまった小さなテラコッタ鉢を石の上に
ひっくり返しキャンドルポットに仕立ててみました。その中に使いかけのキャンドルを
仕込み、火をつけると…ちょうど欠けた部分から明かりが漏れて周囲がぼーっと
明るくなりました。その温かな光が心地よかったです。

すっかり気を良くした私は小屋の中でもいくつかキャンドルに火を灯して音楽と
共に雰囲気を楽しみました。


どっぷりと世界に浸って作業をしていたら視界の端でキャンドルの炎が大きく
揺れたのがチラッと見えました。「ありゃ、ロウソクが垂れて棚になだれて
しまった!」

次の瞬間に電話が鳴り、私はすっかり現実に引き戻されてしまいました。
そして慌てて次の仕事場へと向かったのでした。



© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: