みどりの日記                  ~gardener's hum~

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第26回 9月22日



『言葉の花束』


ついに…ついに、私の担当する「朝の随想」も最終回がやってきました。

振り返ってみると私にとってこの半年間はあっという間に過ぎていきました。
実は、今回は私にとって二度目のラジオ出演となったのですが、収録の際には
毎回初めてスタジオに足を踏み入れるような緊張感でいっぱいでした。



考えてみれば、以前の出演時はナビゲーターの2人が私に質問を投げかけてくれて、
それに答えるフリートークスタイルだったのでとても気楽なものでした。

ところが、今回のお仕事は自分の言葉とタイミングで話を進めていかなければなり
ません。 マイクの前に座るだけで心拍数があがります。バクバク、バクバク…と
自分の心臓の音がうるさいくらいでした。



よく、緊張するさまを「頭が真っ白になる」と表現しますが、本当にあるのですねぇ。
原稿を目で追いながら読んでいるはずなのに、だんだん書いてある文字がにじんで
見えて読みにくくなっていきます。  それでも自分ではなんとか読み進めている
つもりが、ガラスの向こうから声をかけられ「あれ、今私なんて読んでいました?」
…なんてことも、あったりして。

自分で書いた原稿のはずなのに。悪戦苦闘…冷や汗ものでした。



しかし、こうして最終回を迎えると、ホッとするのと同時に寂しさがこみあげてきました。
あんな話もすればよかった、こんなことも伝えたかった…と今頃になって欲が出てきました。我が家のリビングでこの放送を伝え続けた年代物のラジオも心なしか寂しそうに見えます。


最近、お仕事でさまざまな原稿依頼を受けることがあるのですが、職業がら植物を中心と
した話をお願いされることが多かったので、当初このお話をいただいたときも私はそんな
イメージを抱きました。  


ところが、私の推測に反して「随想ですから好きなお話をしてください」という担当者の
言葉に、少し肩が軽くなったような気がしました。
家族のこと、友人のこと、料理のこと、子供のことなど…思いつくまま素直に筆を進める
ことができました。



そうやって書き進めていく中で驚きだったのは、窮屈なところに押し込められ、
息苦しそうにしている“過去の自分”と再会したことでした。

かごの鳥もいつかは大空に飛んでいくものですね。



今回ご紹介した一つ一つのお話は、とても小さな“言葉の花束”のようなものです。
ところが26回分を合わせて束ねてみたら抱えきれないくらい大きな花束になって
いました。  なんだかうれしいです。

この大きな花束に“感謝”というリボンを結んで皆様のもとに届けます。



それでは、またいつかどこかでお会いできるのを楽しみにしています。
皆様のもとに幸せが降り注ぎますように…。















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