MAD GIRL

MAD GIRL

―花鳥風月―第1章




                鳥


                    風

       そして・・・・月。



         別にどれも気にならない。


         日常生活してても気にならない。

         どれも普通。日々生活してて普通。

         あって普通。見ても普通。

         だけど、わたしには憧れ。

―花鳥風月―Kacyo-fu-getsu―

             生きてるコトに意味はあるの?

                    ないでしょう?


            毎日同じコトの繰り返し。


            まるで壊れたオルゴール。


                 ―一話・『始まりは残酷で』―

目覚ましの音で起きて、モソモソ動いて、ご飯食べて支度して学校へ行く。
それからはつまらない授業聞いてるフリして一日学校生活送って、
また家へ戻る。

それからまた繰り返し。

ね?
つまらない日々でしょう?
それなのに生きていて意味はあるの?
わたしはないと思ってる。

別に死ぬことなんて怖くない。
何時死んだって平気。
そう思ってた。

――・・・・・・・・・・だけど、違う人もいるんだね。

毎日必死こいて生きて、生きて・・・。
涙流して、努力して。
自分変えようと頑張ってる人も居るんだね。

わたしにとって、キミの存在は、花鳥風月。
本当は必要な存在。
花鳥風月。


「・・・・・・・・。」

カッター右手にリストカット。
落ち着く。

何が落ち着くって?
そりゃぁ、流れる血を見て。

中3。受験生。わたし。
人生変わったのはこの頃から。

「ユキー・・・。」
親が部屋に入ってくるのに気づき、カッターと傷を隠す。
バレたら大変だろうね。

なぜリスカするのか?
別に自殺願望があるわけじゃない。
ただ、ただただ・・・。
苛々するだけ。

こんな自分が弱いと思うし、カッコイイだなんて思ってない。
だけど、どうしても必要とするのはカッターだけだった。

親友と呼べる友達も居た。
青い空見れば「綺麗。」と思える感情だってあった。
なのに・・・。
なのにどうしてか握ってしまう、必要として求めてしまうものがカッターだった。

「母さん、部屋に入るときぐらいノックして。」

穏やかな表情で答えるわたし。
本当は心臓がドクドクいってる。
バレタかバレテナイカデ・・・。

「何言ってるの!別に隠し事してるわけじゃないんだし!ユキ、そんな事より勉強しなさい!あんたそれでも受験生なんだからね!」

ジュケンセイ・・・・。

「うん、分かってるよ。」
「毎日まいにち遊んで、フラフラして!」

進学すると言ってしまったわたし。
本当は高校なんか行きたくないのに・・・。

ちゃんと言わないわたしも悪いけど、親には理解力がないの。

カチカチ・・・、ギリッ、ギリ・・・。

光る刃で傷つけて、まるで刺青。
ただ、真っ直ぐ、がむしゃらに線を引いてるだけなのに。

「・・・。」

血を見て落ち着けるだなんて、自分はどうかしている。
狂ってる。
クルッテル・・・。

mad・・・。


「ユキー!」
「あ、アキラ・・・。」

アキラ。
アキラはわたしの親友。
だけど苛められっ子。

「ね、今日学校行く?」

わたしはいつも、アキラの家に寄って、アキラを迎えに行ってから学校へ行く。
そう、つまりはアキラといつも学校へ行ってた。

「どうしようか。」

正直、学校は嫌いだった。
合いもしない話に無理に合わせて苦笑い。
しんどい。
つまんない。

「あたし行きたくないんだ・・・。」

ま。
アキラは苛められっ子だったし、それに・・・。
学年の子からも嫌われてた。
だけどわたしはアキラと一緒に居たんだ。

不思議よね。
普通なら離れてくのに、コイツとは話合うし・・・。
一緒に居て落ち着くって感じ。

「じゃー・・・、サボんない?電話さえ貸してくれたらサボるよ。」
「ほんと??うちは親が電話してくれるから、ユキは自分でかける?」
「うん^^」

学校をサボることさえスリル満点。
だって、親にバレタラ大変だし。

「・・・あっ、ユキっ!」
「何?」
「腕・・・。」

アキラはわたしがリスカをしてるのを知っている。
だから毎回止めるんだ。
「そんなことしちゃだめだよ。」と。

「・・・やめるよ、そのうち。」

中3で煙草の味も知ってたし、
中2で援助交際。
中1には「初体験」なんて響きは奪われてた。

だからその次は「リスカ」に走った。
わたしの人生狂ってる。

多分、この小説読んだ人はつるまなくなるよ、こんなワタシとわ。

「・・・・どうして切るの?」
「んー・・・。」

二人で煙草すって、ジュース飲んで、菓子食ってる時にアキラは呟いたんだ。

「切りたいから。」
「ふぅん、切ったら何か変わる?」

変な質問。

「苛々がぶっ飛ぶ。けど、コレも煙草とクスリと一緒。ハマル。ヤメラレナイよ。」
「クスリって・・・ハッパ??」

別に、わたしがクスリやったわけじゃないし、アキラもやってないけど、そーゆう知恵なら山のように持ってる。

「ハッパなんてもんじゃないよ、Lぐらい?」
「L!?町中が電光石火じゃん!(爆笑」

わたしとアキラの会話はいつもそう、どっか人とズレてた。

歩く道も、会話も・・・全て。
わたしたちはいつも人と違う感覚。

死ぬことすら怖くない。

「さって、そろそろ帰るかね。」

時刻は16時。
そろそろ帰らなきゃ親に怪しまれちゃう。

「そっか・・・、じゃあ・・・。」

アキラの表情が変わる。

「また、明日来るよ。」
「本当!?」

アキラは一人っ子。
家に居ても寂しいらしい。

「あぁ、メールもする。」
「うん!」

母子家庭で、母親は仕事に行く日々。
アキラは家に一人で居ることが多いんだって。

「じゃぁね。」
「うん、明日ね!」

手を振って別れた。

薄暗い空に、オレンジの夕日。
綺麗な景色。

だけど何も感じない。
遠い、遠い感じ。
わたしには・・・、何もない。

現実しか残らない。
そして、カッターの傷。

「ただいま。」
「ユキ?一体ドコ行ってたの?もう6時よ?」
「友達の家で勉強してたんだよ。そしたら遅くなった。」

そう言うと、親はアッサリ信じる。
バカみたい。
わたしは嘘をついて生きている。
親を騙して、傷付けて生きている。

「・・・ふぅ。」

ダルイダルイ生活。

「・・・一応時間割しておかなきゃ。」

そう言ってスクールカバンの中をあさりだす。

「・・・選択かぁ・・・。」

中3になると、選択授業がある。
自分で好きな科目を選択してやるんだけど、わたしは美術が好きで、アキラとその他の友達で、その授業を選択した。

「・・・アキラ、明日行くのかな?」

わたしはその授業が大好きで仕方がない。
ただ空想画を書くだけなんだけど、それが無性に楽しい。
自分の世界が描けて楽しい。

「・・・。」

携帯でメールを送信。
ただアキラに『選択出る?』って聞いたダケだけど・・・。

「・・・。」

アキラからのメールは早かった。

―ユキが好きな授業だから出るよ☆―

安心した。
実際、アキラは出席日数がない。
そんなに学校に来てないから。
行きたくない。
その一言だけ言って家に閉じこもる。
世間一般で言ったら引きこもりだ。

だが、仕方がない。
学校には『イジメ』とゆうナイフがある。
よく世間は言う。
「苛める方にも、苛められるほうにも問題はある」・・・と。

実際問題、そんなんじゃカタはつかない。
問題なんてナイんだもの。
用は本人次第ってヤツ。

まともに考えると苛める方が圧倒的に悪いに決まってる。
どんなにムカつく奴が居たって、放っとけば問題なんて起きないんだもの。
それを皆で固まって一人を潰すなんて・・・。
ひどいってゆーか、ただのガキ。

「・・・・。」

わたしは『じゃあ、明日迎えに行くね。』と、ただその一言だけを送った。

もし、もし・・・。
自分がアキラと同じ立場だったら?
戦ってみせる。
だけど、逃げ場を探したくなる。

実際、そーゆうコトって、自分がなってみなきゃ分からないモノなんだ。

「ふぅ・・・。」
「ユキ~・・・・!」
「はぁい!」

お母さんの声。
なんだか最近その声に蓋をしめたくなる。
そう。
聞きたくない。

「ご飯よ。」
「今行く。」

一言ヒトコトの会話。
そんな会話要らない。
必要となんかしていない。
むしろ邪魔よ。

「・・・・。」

食事中も、親はいつも同じことしか話しかけてこない。
「勉強してるの?とか、そんな内容。

「・・・・ごちそさま。」

逃れたくなる現実に、背を向けることも出来ないわたし。
正直嫌になる。
逃げることを出来ないからカッターを握る。
出来ないからこそカッターを握る。

気づけば手からは深紅の液体。

「・・・はぁっ。」

やめようヤメヨウ。
何度も思った。

強くなろうツヨクナロウ。
何度も願った。

だけど出来ないの。
そんな自分が弱くて嫌い。
ムカツク。
ムカツク。
ムカツク・・・。

部屋に閉じこもれば好きなアーチストのMDセットして、ガンガン大音響で聴く。
そうすれば、誰の声も聞こえないから。

「・・・・。」

音楽はJ-pop、Punk・・・。洋楽を主に聴く。
まぁ、J-pop以外は洋楽なんだけど・・・。
なかでも一番よく聴くのはPunkかな?

「あ、メール・・・。」

誰だろう。
アキラ・・・?

『やっぱり明日・・・行きたくないよ・・・。』

アキラからのメール。
一体ナニがあったのだろうか?
わたしは心配になって電話した。

すぐに出たアキラは声が震えていたんだ。

「どうした・・・の?」
『ユ・・・キィ・・・っ。もぉ・・・ヤダよぅ・・・。』

泣いてるのを必死にこらえようとしてるのだろうか?
もう声にならない声で必死に喋るアキラ。

「何?何がヤなの?分からないよ・・・っ。」
『イタズラ・・・めぇ・・る着た・・・っ。』

何でアキラが嫌われる・・・。
うぅん、苛められるかなんて分からない。
顔だって至って普通だし(男から見れば可愛いらしいが)。
性格もソコソコ。
悪い部分もあるけど、わたしにしてはもう慣れたって感じ。

「誰から?」
『Cメールだから・・・、わか・・・っな・・・。』

非通知メール。
そんなん誰だか分かってる。
`アイ´だ。

「・・・・。わたし犯人分かる。怖がることないよ。」
『誰・・・っ。』

アイはエミってゆーヤツとアキラを苛めたがる。
ってゆーかアキラが嫌いらしい。

「アイだよ。」
『アイ・・・・。』

嫌いなら嫌いで放っておくのが一番。
陰口言うならまだカワイイ。

それを行動に移すやつ。
わたしは嫌いだ。
別に偽善者ぶってるわけじゃない。
そんなわたしもイイコチャンではないし。

『あたし・・・、アイたちに何かしたのかな?』
「・・・アキラの何かが気に食わないんだよ。」

トゲがある言葉を打つわたし。
毒舌女。
よくそう言われる。

『ユキは・・・あたしを嫌わない?』
「今は・・・ね。アキラとはコレカラも付き合っていきたいし。」
『・・・っりがとぉ・・・。』

言葉って不器用。
伝えるのが難しくて、わたしには使い道がない。
だけど、その不器用さも理解してくれるのなら、わたしはいくらだって話すよ。
なんでもね。

電話を切った後、アキラからメールが着たんだ。
『アイ達には負けないよ。』って・・・。

つまり、明日学校に行くってコトだよね。
わたしは安心して眠れた。

大事な『友達』が泣いているのに放っておけないし、突き放すなんて出来ない。
白い目で見られたって何とも思わない。
それで離れていったら「今まで」が意味ないし。

―――・・・・・目が覚めたらいつもの生活。

「・・・7時・・・。」

ボーっとしてる目を頑張って開けて、カラダを動かす。
かなりカッタルイ。
出来れば動きたくない。

テーブルの上に置いてあるお弁当を持って、顔を洗って~と、いつもの支度。
7時50分には家を出て、それからアキラの家へ直行。

(おきてるかなぁ・・・。)

ベルを鳴らしてアキラを迎える。
それがわたしの習慣。

ガチャ・・。

「あ・・・。」
「おはよっ☆」

あれ・・・?

笑顔で出てきたアキラ。
一体何があったんだろうか・・・?

「・・・元気ジャン。」
「ぇ?何が~??♪♪」

何がって・・・。
昨日はすっげー電話で泣いてたじゃない。

「昨日・・・。」
「あ、昨日はゴメンネ・・・。」
「いや、いいけど・・・、学校は?どうする?」

今日は大嫌いな数学が3時間目にある。
別にサボってもOKって感じ。
え?
受験に響く?
そんなんどーだっていいよ。
高校なんて行きたくないし。
むしろ行けない方が光栄だ。

「あの・・・ね・・・。」

モゴモゴするアキラを見て、わたしはすぐ感知した。

「あぁ、話あるのね?聞くよ。」

つまり、学校は遅刻するってコト。

「ほんと!?」
「うん、イイヨ。」

返事をしたら、アキラじゃ犬のように『入って入って!』って、わたしを家へ案内したんだ。

「・・・・・。」
「どーぞっ♪」

そう言って、アキラはわたしにお茶などを差し出す。

「ありがと。んで?話って?」

颯爽とわたしは探り出す。
用件が気になって仕方がないし・・・。(笑)。

「あの・・・、あたし・・好きな人が出来たの・・・。」

スキナヒト?
はて・・・?

「へぇ~・・・、誰よ・・・?」

学校に行ってないアキラに好きな人?
不思議に思うわたしに、アキラは躊躇いつつ話す。

「・・・軽蔑・・しないでね?」
「・・・何よ?」

モジモジするアキラ。
好きな人バラすだけで、そんな態度とるのか?(笑)。

「・・・ハルって人・・・。」
「ハル?」

聞いたことない名前。
そもそも学校にそんな名前のヤツいたっけ?

「・・・ユキは知らない・・・ヒト・・・。」
「・・・わたしの知らない?どこで知り合ったの??」

わたしもキョーミ有り!
だから色々聞いてしまう。

「ぁ・・・、出会い系・・・サイト・・・。」

デアイケイサイト・・・。
確かに、今彼女はそう言いましたよね?(素)。
え?
・・・え?
・・・・・・・えぇ!?

「で・・・あいけい・・・さい・・・と?」

わたしが途切れ途切れの言葉で言うと、アキラは少し小さくなった声で「うん」と呟いた。
だけど・・・、出会い系サイトだなんて・・・。
オイオイオイオイオイオイオイ・・・・!(笑)。

「本気でスキなの?」
「・・・うん・・・。」
「いくつのヒトよ!?」
「18・・・。」

わたしの質問はまだまだ続く。

「どこのヒトォ!?」
「ひ、兵庫・・・。」

これまた遠い場所で・・・。

「今、受験生なんだって、大学の・・・。」
「ふぅん・・・。それで?どーして好きになっちゃったりなんかしたの~!?」

まぁ・・。本当は『何で出会い系なんかにアクセスしちゃったの』って言いたかったけど・・・。
それは流石にキツイかなって思ってね・・・。

「ぁ・・・ハルは、あたしを無下にしないってゆーか・・・。」

ソレダケデ!
そ・れ・だ・け・で!
好きになっちゃったりなんかするのかぁ~!?

「・・・まぁ・・・アキラが好きになったヒトだ!わたしには何も言えない・・・。」
「・・・・ゴメンネ、変な話しちゃって・・・。」
「いやー・・・。」

そんなんじゃなくってぇ・・・。
ただ驚いたダケっすよ。

「・・・それで・・・ね?」
「んー・・・?」

まだあるのか?と思いつつ、わたしは取り合えず煙草に火を灯す。

「・・・こ・・・。」
「・・・・?」

すぅ~っと煙草を吸って、ふぅ~っと吐く。
その間、アキラは言葉に詰まってる。
何よ?
『こ』・・・なんだよ。

「・・・・何?(怒」

つい苛々して問い詰めてしまうわたし。

「昨日・・・告られたの・・・、ハルくんに・・・。」
「・・・・・・・・っはぁ!!??」

こ、告られたぁ~!?
だって・・・、だってだって!!
た・だ・の!
メル友でしょぉ~!!??
ありえないっ!メールだけで好きになっちゃうモノなの?!

「そ、そんで・・・?」

半分タジタジのわたし。
もう話を素直に聞き入れることにした。

「OK・・・しちゃった・・・。」
「・・・・・・。」

うぅん・・・。
最近の若者は・・・(汗)。

「そかそか・・・。」
「うん・・・。」

わたしは何て言ったらいいのか・・・、分からなくなった。
っつーか・・・わっかんねぇよ!(素)。

「オメデト・・・。」
「ぇ?」

ポツンと言ったわたしの言葉。
だって、それしかいいようがないんだもの。
他に何て言えばいいの?

「彼氏・・・、できてオメデト・・・。」
「・・・ユキ・・・。」

親友に彼氏ができて、それはとても嬉しいコトだけど。
出会い系サイトでしょう?
何だか不安・・・。

「ありがとぉ・・・。」

それでも・・・。
それでもアキラが幸せって・・・。
そう言うのなら、わたしは何も言わないよ。
それがトモダチってやつで、友情ってモン。

わたしはそう思ってる。

「それで?その彼氏の顔とか知らないの?」
「文通することになったの!それで・・・、写真とか・・・交換出来ないかなぁって・・・。」
「写真ねぇ・・・。」

当時、携帯にはまだカメラはついてない時代だったんだ。
auなんて特に。
一番早くカメラ付き携帯を出したのはJ-PHON。
今はVODAFONEになったけどね(苦笑)。

「ね、ユキ。そろそろ学校行こうよ!」
「ぇ?あぁ・・・うん。」

意外だった。
アキラから学校へ行こう~だなんて。
やっぱ男の力って凄いなぁ・・・。

――学校――

着いた頃には丁度昼休みだった。
わたし達は昼休みから美術室へ向かう。

「あれ?」

其処には一人。
背の高い男の子が居た。
身長、180ぐらいだろうか・・・?

「アキラ、あいつ見たことある?」
「ないない!」

知らない顔。
転校生?

「・・・・・・。」

目が合った。
その男の子と。

キツイ目つき・・・。
ってゆーか冷たい。

「・・・転校してきたの?」

わたしは彼に話をふったら、意外も意外・・・。

「は?」

・・・・・・・のヒトコト。

うぅん。
口が達者なBoyだ・・・。

「・・・、あの・・・。」

アキラが戸惑う。
そりゃそうだろうね。
こんな口の利き方されちゃぁ。

「・・・名前は?」
「は?お前から名乗れば?」

プチ・・・。

「わたしはユキ。で?アンタは?」
「斉藤 詩音。」
「・・・・・・・。」

アキラはだんまり。
何だか怖いイメージあるっぽい。

「どっから来たの?」
「関係ねぇし。」

プチプチ・・・ッ。

「・・・訛ってるね、関西からか?」
「・・・分かってんなら聞くなや。」

ブッツン・・・ッ!!

「てめぇ・・・、さっきから何だ?その口の利き方はぁ・・・?」
「ぁ、ユキッ!?」

何かがキレタ。
つーか限界。

「・・・。」
「シカトすんなよ?てめぇに聞いてんだよ。サイトウシオン!!」

ガシッ!!

わたしは彼の胸座をつかむ。

「喧嘩・・・、上等。」
「おぅ!わたしだって上等だ!てめぇみてぇなモヤシも負けるかってーの!」

彼は長身、細身。肌が雪のように白かった。
それでわたしは『モヤシ』って名づけた(笑)。

だけど、スゴイ綺麗な顔立ちで、まるで王子。
きっと学校の女子も放ってはおかないな。

「・・・・・・ユキ・・・・ッ。」

アキラがヒヤヒヤしてる。
アキラは喧嘩なれしてなくって、見たこともないみたい。
昔、空手をちょっとやってたっぽいけど、弱い。
おまけに、わたしはタイドウをやっていた。
茶帯止まりだったけどね(笑)。

「あ?モヤシ扱いすんじゃねーよ?」
「うるせぇ、お前みたいなヤサ男、モヤシで十分なんだよっ!」

喧嘩は好きじゃないって言ったら嘘。
ぶっちゃけ、喧嘩上等。

だけど、コイツから色々教わった。
え?
コイツって?
斉藤 詩音からだよ。

「・・・てめぇ、女だからってなぁ・・・。」
「あぁ?上等だ、女だから何だ?殴りてぇなら殴れよ!」

わたしは彼の胸座を掴み。
妙に挑発していた。

あぁ、何やってんだろ・・・。

元々喧嘩っぱやいわたし。
すぐ相手を挑発する。

得意なのかも?
人を怒らすのが。

しばらくして、互いの気が落ち着いて・・・。
空想画を描き出した。

ワイワイ皆で話して、尚且つ描く。
美術が好きなわたしは、この時間が好き。
友達と喋れて、しかも好きなことが出来る。
その時間が幸せ。

「ユキ、どんな絵を描くの?」

横からアキラがわたしの下書きを覗く。

「あぁ。今回は幻想画っぽくしたいんだよね。主体は女の横顔。けど、その周りには沢山の窓を描きたいの。」
「窓?」

この時間は嫌なこと全て忘れられる。
どんな嫌なことも絵にぶつけてみせる。
その時の感情によって、絵は変わるし、筆、鉛筆使いが変わる。
だから、その時にしか描けない絵をわたしは描く。

「うん、その窓は、この女性の記憶。そんな感じ?」
「お~??さっすがユキ!!考えること違うね~!」

キャッキャと二人で騒いでたら、彼の絵をふと見た。
誰とも関わらない子。

そう、斉藤 詩音。

「・・・わ・・・。」

素直に書き足されてる絵に、わたしは正直驚いた。
何ていうんだろう・・・。
「自分」を描いてる感じ?

誰からも邪魔やれない自分の世界・・・。
彼はそれを描いてる・・。

「何みてんだよ。」
「あぁ・・、悪かった?」

素っ気無く答えるわたしに、彼は静かに笑う。

「・・・何よ。」
「おかしいだろ?この絵。」
「・・・・え?」

オカシイ?
わたしはちっともそうは思わないケド・・・。

「モチーフは・・・、俺。」
「え・・・?」

背景が真っ黒で、其処に見えるのは光。
そんな感じの絵ネ。

「アナタがモチーフ・・・?今の環境を描いてる訳?」
「あぁ。そうだよ。」

・・・つまりは、環境が乏しい・・・。
ううん、心の環境がってことね。

「てか、アナタ・・・異国の人?」
「・・・分かる?異国って訳でもないけど。」

じゃー・・・、何よ!(笑)。

「クォーター・・・。」
「え・・・?ってことは・・・、どちらかがハーフさん?」
「いや、両親共々ハーフっす・・・。」

へぇ・・・。
何だか珍しい・・・。

「けど日系と米国がまざってる感じね?」
「うん、母が韓国、父がオーストラリアだからね。」
「へぇ・・・。何かすんげぇ・・・。」

自然とわたしは彼の隣に移動してて、其処で絵を描いていた。
さっきまでとは別人。
イイヤツだったんだ、彼は。

わたしは自然と彼と話す時間が多くなった。
だって・・・。
ねぇ・・・?
何だか話しやすかったんだ。


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