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036006
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MAD GIRL
―花鳥風月―第1章
鳥
風
そして・・・・月。
別にどれも気にならない。
日常生活してても気にならない。
どれも普通。日々生活してて普通。
あって普通。見ても普通。
だけど、わたしには憧れ。
―花鳥風月―Kacyo-fu-getsu―
生きてるコトに意味はあるの?
ないでしょう?
毎日同じコトの繰り返し。
まるで壊れたオルゴール。
―一話・『始まりは残酷で』―
目覚ましの音で起きて、モソモソ動いて、ご飯食べて支度して学校へ行く。
それからはつまらない授業聞いてるフリして一日学校生活送って、
また家へ戻る。
それからまた繰り返し。
ね?
つまらない日々でしょう?
それなのに生きていて意味はあるの?
わたしはないと思ってる。
別に死ぬことなんて怖くない。
何時死んだって平気。
そう思ってた。
――・・・・・・・・・・だけど、違う人もいるんだね。
毎日必死こいて生きて、生きて・・・。
涙流して、努力して。
自分変えようと頑張ってる人も居るんだね。
わたしにとって、キミの存在は、花鳥風月。
本当は必要な存在。
花鳥風月。
「・・・・・・・・。」
カッター右手にリストカット。
落ち着く。
何が落ち着くって?
そりゃぁ、流れる血を見て。
中3。受験生。わたし。
人生変わったのはこの頃から。
「ユキー・・・。」
親が部屋に入ってくるのに気づき、カッターと傷を隠す。
バレたら大変だろうね。
なぜリスカするのか?
別に自殺願望があるわけじゃない。
ただ、ただただ・・・。
苛々するだけ。
こんな自分が弱いと思うし、カッコイイだなんて思ってない。
だけど、どうしても必要とするのはカッターだけだった。
親友と呼べる友達も居た。
青い空見れば「綺麗。」と思える感情だってあった。
なのに・・・。
なのにどうしてか握ってしまう、必要として求めてしまうものがカッターだった。
「母さん、部屋に入るときぐらいノックして。」
穏やかな表情で答えるわたし。
本当は心臓がドクドクいってる。
バレタかバレテナイカデ・・・。
「何言ってるの!別に隠し事してるわけじゃないんだし!ユキ、そんな事より勉強しなさい!あんたそれでも受験生なんだからね!」
ジュケンセイ・・・・。
「うん、分かってるよ。」
「毎日まいにち遊んで、フラフラして!」
進学すると言ってしまったわたし。
本当は高校なんか行きたくないのに・・・。
ちゃんと言わないわたしも悪いけど、親には理解力がないの。
カチカチ・・・、ギリッ、ギリ・・・。
光る刃で傷つけて、まるで刺青。
ただ、真っ直ぐ、がむしゃらに線を引いてるだけなのに。
「・・・。」
血を見て落ち着けるだなんて、自分はどうかしている。
狂ってる。
クルッテル・・・。
mad・・・。
「ユキー!」
「あ、アキラ・・・。」
アキラ。
アキラはわたしの親友。
だけど苛められっ子。
「ね、今日学校行く?」
わたしはいつも、アキラの家に寄って、アキラを迎えに行ってから学校へ行く。
そう、つまりはアキラといつも学校へ行ってた。
「どうしようか。」
正直、学校は嫌いだった。
合いもしない話に無理に合わせて苦笑い。
しんどい。
つまんない。
「あたし行きたくないんだ・・・。」
ま。
アキラは苛められっ子だったし、それに・・・。
学年の子からも嫌われてた。
だけどわたしはアキラと一緒に居たんだ。
不思議よね。
普通なら離れてくのに、コイツとは話合うし・・・。
一緒に居て落ち着くって感じ。
「じゃー・・・、サボんない?電話さえ貸してくれたらサボるよ。」
「ほんと??うちは親が電話してくれるから、ユキは自分でかける?」
「うん^^」
学校をサボることさえスリル満点。
だって、親にバレタラ大変だし。
「・・・あっ、ユキっ!」
「何?」
「腕・・・。」
アキラはわたしがリスカをしてるのを知っている。
だから毎回止めるんだ。
「そんなことしちゃだめだよ。」と。
「・・・やめるよ、そのうち。」
中3で煙草の味も知ってたし、
中2で援助交際。
中1には「初体験」なんて響きは奪われてた。
だからその次は「リスカ」に走った。
わたしの人生狂ってる。
多分、この小説読んだ人はつるまなくなるよ、こんなワタシとわ。
「・・・・どうして切るの?」
「んー・・・。」
二人で煙草すって、ジュース飲んで、菓子食ってる時にアキラは呟いたんだ。
「切りたいから。」
「ふぅん、切ったら何か変わる?」
変な質問。
「苛々がぶっ飛ぶ。けど、コレも煙草とクスリと一緒。ハマル。ヤメラレナイよ。」
「クスリって・・・ハッパ??」
別に、わたしがクスリやったわけじゃないし、アキラもやってないけど、そーゆう知恵なら山のように持ってる。
「ハッパなんてもんじゃないよ、Lぐらい?」
「L!?町中が電光石火じゃん!(爆笑」
わたしとアキラの会話はいつもそう、どっか人とズレてた。
歩く道も、会話も・・・全て。
わたしたちはいつも人と違う感覚。
死ぬことすら怖くない。
「さって、そろそろ帰るかね。」
時刻は16時。
そろそろ帰らなきゃ親に怪しまれちゃう。
「そっか・・・、じゃあ・・・。」
アキラの表情が変わる。
「また、明日来るよ。」
「本当!?」
アキラは一人っ子。
家に居ても寂しいらしい。
「あぁ、メールもする。」
「うん!」
母子家庭で、母親は仕事に行く日々。
アキラは家に一人で居ることが多いんだって。
「じゃぁね。」
「うん、明日ね!」
手を振って別れた。
薄暗い空に、オレンジの夕日。
綺麗な景色。
だけど何も感じない。
遠い、遠い感じ。
わたしには・・・、何もない。
現実しか残らない。
そして、カッターの傷。
「ただいま。」
「ユキ?一体ドコ行ってたの?もう6時よ?」
「友達の家で勉強してたんだよ。そしたら遅くなった。」
そう言うと、親はアッサリ信じる。
バカみたい。
わたしは嘘をついて生きている。
親を騙して、傷付けて生きている。
「・・・ふぅ。」
ダルイダルイ生活。
「・・・一応時間割しておかなきゃ。」
そう言ってスクールカバンの中をあさりだす。
「・・・選択かぁ・・・。」
中3になると、選択授業がある。
自分で好きな科目を選択してやるんだけど、わたしは美術が好きで、アキラとその他の友達で、その授業を選択した。
「・・・アキラ、明日行くのかな?」
わたしはその授業が大好きで仕方がない。
ただ空想画を書くだけなんだけど、それが無性に楽しい。
自分の世界が描けて楽しい。
「・・・。」
携帯でメールを送信。
ただアキラに『選択出る?』って聞いたダケだけど・・・。
「・・・。」
アキラからのメールは早かった。
―ユキが好きな授業だから出るよ☆―
安心した。
実際、アキラは出席日数がない。
そんなに学校に来てないから。
行きたくない。
その一言だけ言って家に閉じこもる。
世間一般で言ったら引きこもりだ。
だが、仕方がない。
学校には『イジメ』とゆうナイフがある。
よく世間は言う。
「苛める方にも、苛められるほうにも問題はある」・・・と。
実際問題、そんなんじゃカタはつかない。
問題なんてナイんだもの。
用は本人次第ってヤツ。
まともに考えると苛める方が圧倒的に悪いに決まってる。
どんなにムカつく奴が居たって、放っとけば問題なんて起きないんだもの。
それを皆で固まって一人を潰すなんて・・・。
ひどいってゆーか、ただのガキ。
「・・・・。」
わたしは『じゃあ、明日迎えに行くね。』と、ただその一言だけを送った。
もし、もし・・・。
自分がアキラと同じ立場だったら?
戦ってみせる。
だけど、逃げ場を探したくなる。
実際、そーゆうコトって、自分がなってみなきゃ分からないモノなんだ。
「ふぅ・・・。」
「ユキ~・・・・!」
「はぁい!」
お母さんの声。
なんだか最近その声に蓋をしめたくなる。
そう。
聞きたくない。
「ご飯よ。」
「今行く。」
一言ヒトコトの会話。
そんな会話要らない。
必要となんかしていない。
むしろ邪魔よ。
「・・・・。」
食事中も、親はいつも同じことしか話しかけてこない。
「勉強してるの?とか、そんな内容。
「・・・・ごちそさま。」
逃れたくなる現実に、背を向けることも出来ないわたし。
正直嫌になる。
逃げることを出来ないからカッターを握る。
出来ないからこそカッターを握る。
気づけば手からは深紅の液体。
「・・・はぁっ。」
やめようヤメヨウ。
何度も思った。
強くなろうツヨクナロウ。
何度も願った。
だけど出来ないの。
そんな自分が弱くて嫌い。
ムカツク。
ムカツク。
ムカツク・・・。
部屋に閉じこもれば好きなアーチストのMDセットして、ガンガン大音響で聴く。
そうすれば、誰の声も聞こえないから。
「・・・・。」
音楽はJ-pop、Punk・・・。洋楽を主に聴く。
まぁ、J-pop以外は洋楽なんだけど・・・。
なかでも一番よく聴くのはPunkかな?
「あ、メール・・・。」
誰だろう。
アキラ・・・?
『やっぱり明日・・・行きたくないよ・・・。』
アキラからのメール。
一体ナニがあったのだろうか?
わたしは心配になって電話した。
すぐに出たアキラは声が震えていたんだ。
「どうした・・・の?」
『ユ・・・キィ・・・っ。もぉ・・・ヤダよぅ・・・。』
泣いてるのを必死にこらえようとしてるのだろうか?
もう声にならない声で必死に喋るアキラ。
「何?何がヤなの?分からないよ・・・っ。」
『イタズラ・・・めぇ・・る着た・・・っ。』
何でアキラが嫌われる・・・。
うぅん、苛められるかなんて分からない。
顔だって至って普通だし(男から見れば可愛いらしいが)。
性格もソコソコ。
悪い部分もあるけど、わたしにしてはもう慣れたって感じ。
「誰から?」
『Cメールだから・・・、わか・・・っな・・・。』
非通知メール。
そんなん誰だか分かってる。
`アイ´だ。
「・・・・。わたし犯人分かる。怖がることないよ。」
『誰・・・っ。』
アイはエミってゆーヤツとアキラを苛めたがる。
ってゆーかアキラが嫌いらしい。
「アイだよ。」
『アイ・・・・。』
嫌いなら嫌いで放っておくのが一番。
陰口言うならまだカワイイ。
それを行動に移すやつ。
わたしは嫌いだ。
別に偽善者ぶってるわけじゃない。
そんなわたしもイイコチャンではないし。
『あたし・・・、アイたちに何かしたのかな?』
「・・・アキラの何かが気に食わないんだよ。」
トゲがある言葉を打つわたし。
毒舌女。
よくそう言われる。
『ユキは・・・あたしを嫌わない?』
「今は・・・ね。アキラとはコレカラも付き合っていきたいし。」
『・・・っりがとぉ・・・。』
言葉って不器用。
伝えるのが難しくて、わたしには使い道がない。
だけど、その不器用さも理解してくれるのなら、わたしはいくらだって話すよ。
なんでもね。
電話を切った後、アキラからメールが着たんだ。
『アイ達には負けないよ。』って・・・。
つまり、明日学校に行くってコトだよね。
わたしは安心して眠れた。
大事な『友達』が泣いているのに放っておけないし、突き放すなんて出来ない。
白い目で見られたって何とも思わない。
それで離れていったら「今まで」が意味ないし。
―――・・・・・目が覚めたらいつもの生活。
「・・・7時・・・。」
ボーっとしてる目を頑張って開けて、カラダを動かす。
かなりカッタルイ。
出来れば動きたくない。
テーブルの上に置いてあるお弁当を持って、顔を洗って~と、いつもの支度。
7時50分には家を出て、それからアキラの家へ直行。
(おきてるかなぁ・・・。)
ベルを鳴らしてアキラを迎える。
それがわたしの習慣。
ガチャ・・。
「あ・・・。」
「おはよっ☆」
あれ・・・?
笑顔で出てきたアキラ。
一体何があったんだろうか・・・?
「・・・元気ジャン。」
「ぇ?何が~??♪♪」
何がって・・・。
昨日はすっげー電話で泣いてたじゃない。
「昨日・・・。」
「あ、昨日はゴメンネ・・・。」
「いや、いいけど・・・、学校は?どうする?」
今日は大嫌いな数学が3時間目にある。
別にサボってもOKって感じ。
え?
受験に響く?
そんなんどーだっていいよ。
高校なんて行きたくないし。
むしろ行けない方が光栄だ。
「あの・・・ね・・・。」
モゴモゴするアキラを見て、わたしはすぐ感知した。
「あぁ、話あるのね?聞くよ。」
つまり、学校は遅刻するってコト。
「ほんと!?」
「うん、イイヨ。」
返事をしたら、アキラじゃ犬のように『入って入って!』って、わたしを家へ案内したんだ。
「・・・・・。」
「どーぞっ♪」
そう言って、アキラはわたしにお茶などを差し出す。
「ありがと。んで?話って?」
颯爽とわたしは探り出す。
用件が気になって仕方がないし・・・。(笑)。
「あの・・・、あたし・・好きな人が出来たの・・・。」
スキナヒト?
はて・・・?
「へぇ~・・・、誰よ・・・?」
学校に行ってないアキラに好きな人?
不思議に思うわたしに、アキラは躊躇いつつ話す。
「・・・軽蔑・・しないでね?」
「・・・何よ?」
モジモジするアキラ。
好きな人バラすだけで、そんな態度とるのか?(笑)。
「・・・ハルって人・・・。」
「ハル?」
聞いたことない名前。
そもそも学校にそんな名前のヤツいたっけ?
「・・・ユキは知らない・・・ヒト・・・。」
「・・・わたしの知らない?どこで知り合ったの??」
わたしもキョーミ有り!
だから色々聞いてしまう。
「ぁ・・・、出会い系・・・サイト・・・。」
デアイケイサイト・・・。
確かに、今彼女はそう言いましたよね?(素)。
え?
・・・え?
・・・・・・・えぇ!?
「で・・・あいけい・・・さい・・・と?」
わたしが途切れ途切れの言葉で言うと、アキラは少し小さくなった声で「うん」と呟いた。
だけど・・・、出会い系サイトだなんて・・・。
オイオイオイオイオイオイオイ・・・・!(笑)。
「本気でスキなの?」
「・・・うん・・・。」
「いくつのヒトよ!?」
「18・・・。」
わたしの質問はまだまだ続く。
「どこのヒトォ!?」
「ひ、兵庫・・・。」
これまた遠い場所で・・・。
「今、受験生なんだって、大学の・・・。」
「ふぅん・・・。それで?どーして好きになっちゃったりなんかしたの~!?」
まぁ・・。本当は『何で出会い系なんかにアクセスしちゃったの』って言いたかったけど・・・。
それは流石にキツイかなって思ってね・・・。
「ぁ・・・ハルは、あたしを無下にしないってゆーか・・・。」
ソレダケデ!
そ・れ・だ・け・で!
好きになっちゃったりなんかするのかぁ~!?
「・・・まぁ・・・アキラが好きになったヒトだ!わたしには何も言えない・・・。」
「・・・・ゴメンネ、変な話しちゃって・・・。」
「いやー・・・。」
そんなんじゃなくってぇ・・・。
ただ驚いたダケっすよ。
「・・・それで・・・ね?」
「んー・・・?」
まだあるのか?と思いつつ、わたしは取り合えず煙草に火を灯す。
「・・・こ・・・。」
「・・・・?」
すぅ~っと煙草を吸って、ふぅ~っと吐く。
その間、アキラは言葉に詰まってる。
何よ?
『こ』・・・なんだよ。
「・・・・何?(怒」
つい苛々して問い詰めてしまうわたし。
「昨日・・・告られたの・・・、ハルくんに・・・。」
「・・・・・・・・っはぁ!!??」
こ、告られたぁ~!?
だって・・・、だってだって!!
た・だ・の!
メル友でしょぉ~!!??
ありえないっ!メールだけで好きになっちゃうモノなの?!
「そ、そんで・・・?」
半分タジタジのわたし。
もう話を素直に聞き入れることにした。
「OK・・・しちゃった・・・。」
「・・・・・・。」
うぅん・・・。
最近の若者は・・・(汗)。
「そかそか・・・。」
「うん・・・。」
わたしは何て言ったらいいのか・・・、分からなくなった。
っつーか・・・わっかんねぇよ!(素)。
「オメデト・・・。」
「ぇ?」
ポツンと言ったわたしの言葉。
だって、それしかいいようがないんだもの。
他に何て言えばいいの?
「彼氏・・・、できてオメデト・・・。」
「・・・ユキ・・・。」
親友に彼氏ができて、それはとても嬉しいコトだけど。
出会い系サイトでしょう?
何だか不安・・・。
「ありがとぉ・・・。」
それでも・・・。
それでもアキラが幸せって・・・。
そう言うのなら、わたしは何も言わないよ。
それがトモダチってやつで、友情ってモン。
わたしはそう思ってる。
「それで?その彼氏の顔とか知らないの?」
「文通することになったの!それで・・・、写真とか・・・交換出来ないかなぁって・・・。」
「写真ねぇ・・・。」
当時、携帯にはまだカメラはついてない時代だったんだ。
auなんて特に。
一番早くカメラ付き携帯を出したのはJ-PHON。
今はVODAFONEになったけどね(苦笑)。
「ね、ユキ。そろそろ学校行こうよ!」
「ぇ?あぁ・・・うん。」
意外だった。
アキラから学校へ行こう~だなんて。
やっぱ男の力って凄いなぁ・・・。
――学校――
着いた頃には丁度昼休みだった。
わたし達は昼休みから美術室へ向かう。
「あれ?」
其処には一人。
背の高い男の子が居た。
身長、180ぐらいだろうか・・・?
「アキラ、あいつ見たことある?」
「ないない!」
知らない顔。
転校生?
「・・・・・・。」
目が合った。
その男の子と。
キツイ目つき・・・。
ってゆーか冷たい。
「・・・転校してきたの?」
わたしは彼に話をふったら、意外も意外・・・。
「は?」
・・・・・・・のヒトコト。
うぅん。
口が達者なBoyだ・・・。
「・・・、あの・・・。」
アキラが戸惑う。
そりゃそうだろうね。
こんな口の利き方されちゃぁ。
「・・・名前は?」
「は?お前から名乗れば?」
プチ・・・。
「わたしはユキ。で?アンタは?」
「斉藤 詩音。」
「・・・・・・・。」
アキラはだんまり。
何だか怖いイメージあるっぽい。
「どっから来たの?」
「関係ねぇし。」
プチプチ・・・ッ。
「・・・訛ってるね、関西からか?」
「・・・分かってんなら聞くなや。」
ブッツン・・・ッ!!
「てめぇ・・・、さっきから何だ?その口の利き方はぁ・・・?」
「ぁ、ユキッ!?」
何かがキレタ。
つーか限界。
「・・・。」
「シカトすんなよ?てめぇに聞いてんだよ。サイトウシオン!!」
ガシッ!!
わたしは彼の胸座をつかむ。
「喧嘩・・・、上等。」
「おぅ!わたしだって上等だ!てめぇみてぇなモヤシも負けるかってーの!」
彼は長身、細身。肌が雪のように白かった。
それでわたしは『モヤシ』って名づけた(笑)。
だけど、スゴイ綺麗な顔立ちで、まるで王子。
きっと学校の女子も放ってはおかないな。
「・・・・・・ユキ・・・・ッ。」
アキラがヒヤヒヤしてる。
アキラは喧嘩なれしてなくって、見たこともないみたい。
昔、空手をちょっとやってたっぽいけど、弱い。
おまけに、わたしはタイドウをやっていた。
茶帯止まりだったけどね(笑)。
「あ?モヤシ扱いすんじゃねーよ?」
「うるせぇ、お前みたいなヤサ男、モヤシで十分なんだよっ!」
喧嘩は好きじゃないって言ったら嘘。
ぶっちゃけ、喧嘩上等。
だけど、コイツから色々教わった。
え?
コイツって?
斉藤 詩音からだよ。
「・・・てめぇ、女だからってなぁ・・・。」
「あぁ?上等だ、女だから何だ?殴りてぇなら殴れよ!」
わたしは彼の胸座を掴み。
妙に挑発していた。
あぁ、何やってんだろ・・・。
元々喧嘩っぱやいわたし。
すぐ相手を挑発する。
得意なのかも?
人を怒らすのが。
しばらくして、互いの気が落ち着いて・・・。
空想画を描き出した。
ワイワイ皆で話して、尚且つ描く。
美術が好きなわたしは、この時間が好き。
友達と喋れて、しかも好きなことが出来る。
その時間が幸せ。
「ユキ、どんな絵を描くの?」
横からアキラがわたしの下書きを覗く。
「あぁ。今回は幻想画っぽくしたいんだよね。主体は女の横顔。けど、その周りには沢山の窓を描きたいの。」
「窓?」
この時間は嫌なこと全て忘れられる。
どんな嫌なことも絵にぶつけてみせる。
その時の感情によって、絵は変わるし、筆、鉛筆使いが変わる。
だから、その時にしか描けない絵をわたしは描く。
「うん、その窓は、この女性の記憶。そんな感じ?」
「お~??さっすがユキ!!考えること違うね~!」
キャッキャと二人で騒いでたら、彼の絵をふと見た。
誰とも関わらない子。
そう、斉藤 詩音。
「・・・わ・・・。」
素直に書き足されてる絵に、わたしは正直驚いた。
何ていうんだろう・・・。
「自分」を描いてる感じ?
誰からも邪魔やれない自分の世界・・・。
彼はそれを描いてる・・。
「何みてんだよ。」
「あぁ・・、悪かった?」
素っ気無く答えるわたしに、彼は静かに笑う。
「・・・何よ。」
「おかしいだろ?この絵。」
「・・・・え?」
オカシイ?
わたしはちっともそうは思わないケド・・・。
「モチーフは・・・、俺。」
「え・・・?」
背景が真っ黒で、其処に見えるのは光。
そんな感じの絵ネ。
「アナタがモチーフ・・・?今の環境を描いてる訳?」
「あぁ。そうだよ。」
・・・つまりは、環境が乏しい・・・。
ううん、心の環境がってことね。
「てか、アナタ・・・異国の人?」
「・・・分かる?異国って訳でもないけど。」
じゃー・・・、何よ!(笑)。
「クォーター・・・。」
「え・・・?ってことは・・・、どちらかがハーフさん?」
「いや、両親共々ハーフっす・・・。」
へぇ・・・。
何だか珍しい・・・。
「けど日系と米国がまざってる感じね?」
「うん、母が韓国、父がオーストラリアだからね。」
「へぇ・・・。何かすんげぇ・・・。」
自然とわたしは彼の隣に移動してて、其処で絵を描いていた。
さっきまでとは別人。
イイヤツだったんだ、彼は。
わたしは自然と彼と話す時間が多くなった。
だって・・・。
ねぇ・・・?
何だか話しやすかったんだ。
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