MAD GIRL

MAD GIRL

イイコニナリマス 明日カラ






そう呟きながら私は、またカッターを握る。





          ―イイコニナリマス 明日カラ―



カチッ・・・。
キリキリキリ・・・ッ。



「・・・っ。」



痛いのは一瞬だけ。
あの後から感じる安らぎの気持ちは・・・。



「私・・・。まだ生きてる・・・。」



そう。
生きてるという気持ち。
とても心が晴れた気分になる私はきっと・・・。

狂ってる――・・・・。








生きてると感じない。
ただ毎日同じ事繰り返して、そして眠りにつくの。
本当に自分は生きてる?なんて・・・。
そう。
今やってる行動「リストカット」は、その返事の答えよ。

惨めな世界にぽつんと。
自分がどうして此処に立ってるか・・・とか。
どうして自分が此処に存在するのか・・・とか。
そんなの誰にも知らない。
その頭先の考えに嫌気がさしたのよ。
だから私はカッターを握る。

別に悪い事してるワケじゃない。

「ユリカ~。ご飯よ~。」
「はぁい、今行きます。」

私は今、中学3年生。
都内の私立の通っている。

「ユリカ、今日は期末テストじゃない。お勉強の方はどうなの?今学期の成績で進路が大きく決まるんですから、頑張ってね?」
「・・・はい。」

私はきっと。
今「イイコチャン」を演じていて、その殻から抜け出せない。
本音なんか、とてもじゃないけど親には言えないし・・・。

私。
本当は公立の高校に行きたいの。
将来は母親が抱いているような「いい会社に勤める」とかじゃなくって。
本当はデザイナーになりたいの。

「ごちそうさま。」

カチャン。
と、ナイフとフォークを置いて、私はテーブルから立つ。

「あら、もう要らないの?」
「えぇ、何だか緊張しちゃって。」
「あらヤダ。ユリカったら。貴方の成績だったら名門高校も楽勝でしょう?」
「・・・。」

逆らえない自分が嫌。
本当は・・・。本当は・・・。
もっともっと、自由に生きてみたいの。
もっともっと世間を見て、人生を歩みたいの。

・・・でも。
イイコチャンをやってる私にはきっと無理で・・・。
それでもイイコチャンの枠から外れるのはとても嫌で。

見放されたら行き場がないもの。
だから私は此処に居るんだもの。

「じゃ、いってきます。」

パタン・・・。
私は静かにドアを閉めた。

隠す傷が痛むのは、私がワルイコだから。
それでも・・・。
中身の黒さを隠して生きる私は、きっと本当は死んでいる。


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: