みかん’s Room

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長男 03年 夏の感想文≪中3≫


坂本達 「やった」を読んで

 僕は旅が好きだ。いつか自転車で世界一周
の旅に出たいと思っている。山を登り、川を
渡り知らない道をどんどん歩き、開けたとこ
ろの景色を想像するのが楽しい。自分の目で
世界を見てみたい。世界中の人々に出会って、
彼らがどのようなところに住んで、何を食べ
ているのか、もっと知ってみたい。

 春休みになる少し前、僕はクラスの友達の
作石君と◎◎市に住んでいる僕の婆ちゃんの
家まで自転車で行ったことがある。そのとき
は、家を九時くらいに出て、約五時間半かけ
て、自転車で祖母の家まで走って行った。そ
の時に、優しく出迎えてくれた叔母さんやい
とこには、本当に感謝している。帰る途中爺
ちゃんの墓参りもついでに済ませた。

 そして、帰ろうと思ったら、自転車の後輪
ブレーキが壊れていた。最初のうちは何とか
使えていたので、特に気にしていなかったけ
ど、一キロ程走っていたら急にブレーキがか
からなくなり、最後にはブレーキレバーが取
れてしった。親に電話で連絡しようとしても
圏外で通じない。後輪ブレーキが壊れている
と、急ブレーキをかけると前につんのめって
しまう。つまり、あまりスピードを出すこと
ができない。ただでさえ時間が遅れているの
で、ペースを上げたかったが、仕方なく壊れ
たままの自転車で、スピードを抑えて走った。

 帰る時には、友達が行きの道と同じ道を通
ると坂ばっかりになるので嫌だと言うので、
少しルートを変えて帰って来た。

ここは目立った上り坂はなくほとんどが
緩やかな下り坂だった為、行きとは違い帰り
は少しは楽だった。

 ○○道路を抜け○○を過
ぎ、そして遂に公園前のゴルフ場を過ぎ
た辺りではさすがに体力が限界に近ずいてい
るのが実感してきた。百円均一オレンジの前
で作石君と別れ、最後の力を振り絞って家ま
で帰った。

 僕は、記録を作ろうとしているわけではな
い。ただやりたいことをやって自己満足をし
ようとしているだけなんだ。そんなことを自
分に言い聞かせながらペダルをただひたすら
こいでいた。走っているときは誰にも迷惑を
かけていないと思っていたが、実際には多く
の人を心配させ、見守ってもらっていた事を、
家に帰って初めて実感した。

 僕はこの小さな旅行を通して、車や電車の
便利さを改めて実感した。そして自転車での
旅行はとても苦しくてつらいけど、それを終
えたときの達成感と、出会った人たちとの触
れ合いを通して、また今度はもっと遠いとこ
ろへ行ってみたくなった。

 そして僕は「やった。」という本に出あっ
た。この本は四年三ヶ月も有給休暇をもらっ
て世界一周5万5千キロを自転車で走ってき
ちゃった男の人の話だ。

 この本を読んで僕が思ったことは、世界中
には優しい人がたくさんいるということ、あ
と意外にも世界中に日本人がたくさんいると
いうこと、自分一人だけの力で、世界一周を
することは、辛く、そして楽しいことだとい
うことがわかった。なぜこの人や、他のたく
さんの人たちがこだわるのが日本という小さ
な国でなく、あえて世界だということがわか
った。

坂本さんは世界一周旅行をして、自分一人で
は何一つできないことを実感したそうだ。人
は生かされていること、感謝の気持ちが物事
をポジティブに動かすこと、ごく当り前の挨
拶やお礼が幸運を導くこと、いい面を信じて
いれば、人も物事も好意を受けてくれること、
未開の村で受け入られるためには、うわべの
笑顔やお金よりも、「気持ち」のほうが大切
なこと。そうして人を信じる大切さを学んだ。
さらに、弱点を弱点と思わずに、個性と考え
ればいいということも学んだそうだ。

 僕はそんな考えを巡らした事はない。僕は、
人を信じることは大切だということは前から
知っていたけど、実際に心の底から人を信じ
たことはない。相手次第では気持ちよりもお
金のほうが大切だと思う。弱点は弱点、それ
が個性だとは到底思えない。

 でも僕も心の底から人を信じてみたい。僕
もお金よりも大切なものを見つけてみたい。
そのためには、あらためて自転車で世界一周
をしてみたいと思った。

坂本さんは、これまでのことは、自分が自分
の力でやってきたのではなく、宇宙あるいは、
神がいれば神なのか、すべての存在を包み込
む絶対的で変える事のできない運命のような
流れ、すなわち、「サムシング・グレート」
(大いなる意志)にやらせてもらってきたの
だと感じたらしい。今という瞬間があり、命
があり、この宇宙が存在していることの嬉し
さと、それに対する感謝と感動を感じたとい
う。

僕も自分自身の「サムシング・グレート
」を見つけてみたい。一体自分の「サムシン
グ・グレート」とはいったいなんなのか。そ
れを探す旅にいつか出てみたい。



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