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激しい息遣いが洞窟の中で響き渡る。アルテミスの顎から汗が浮かび上がり、松明に照らされキラリと光る。「なんだぁ、もう息が上がってるのか?」メタルビートルの執拗な口撃が始まっている。正宗と村正が二人の間に入り、アルテを守るようにメタルビートルを牽制する。「悪いな、お前達は下がってろ。随分好かれてるみたいだな」メタビが二匹のファミリアに目配せをし、正宗達は仕方なくといったそぶりで横にずれる。二人から少し離れた場所で、二匹のファミリア達はお互いの槍でつつきあい、じゃれ合っている。「さぁ、はじめようかアルテ」メタビの声と共に、二人のランサーが向かい合い、互いの槍に集中する。静寂の空間はいとも簡単に打ち砕かれた。それは、メタルビートルの攻撃によって。「キャー!」先程のコロッサスと同様、メタビの槍が頭上で回転したように見えた時、アルテミスは槍から発せられる、炎に身を焦がされ全身に激痛が走る。激痛が脳に達した途端、今度はまったく逆の痛みに身を貫かれ、体の自由が奪われる。その時には既にアルテミスの体全身が凍りついていた。「ケ、全然なってないな」「まだ始まったばかりよ」ようやく体の自由を取り戻したアルテが再び槍を構える。_よく考えて、今までだって出来たんだ。何か手があるはず。「ケ、無駄、無駄、無駄~、何をやっても、考えても無駄~」再びメタビの槍が頭上輝く。そして、アルテはなす術もなく倒れる。幾度となく繰り返される光景。それでもアルテは立ち上がり槍を構える。その姿を制止するかのように、正宗、村正がアルテの前に立ちはだかる。「優しいのね。でもいいのよ。私は大丈夫だから」キュウ、キュウアルテに頭を撫でられた二匹のの魔獣が心配そうに喉を鳴らす。「さぁ、続きを始めましょう」「なぁアルテ、何でそんなに一生懸命なんだ?」「私はもう前へ進む足を止めないと誓ったの。だから諦めてしまったら、そこには絶望しかないの」アルテは神妙な顔つきで話した。「ロクショウ・・・だったか、可愛そうなことをしたな」メタビが慰めるように語り掛ける。「あのねメタビ、私は向こうの世界では凄く孤独で可愛そうだと自分で思ってたの」「友達もいたわ、でもねお互いに利用されてるって感じてた。でも嫌われないようにしてた」「親からもそう、なるべくいい子でいたわ。心配かけない、良い子でないと嫌われると思ってた」「親友なんだって思う子もいた・・・でも本当の意味で信頼してた訳じゃないと思う」「きっと、自分に都合がいいから仲良くしてくれてると思ってた」「思ってたって言うより感じてた。頭では親友と思い込んでたけど・・・」「凄く、凄く孤独だと思ってた。自分ってなんて可愛そうなんだろうて」「そうなると、人って競いたがるの。私は誰より可愛そうで孤独なんだって」「少し可愛そうな友達がいても、心では、なによそれくらいって、私の方が可愛そうなんだからって」ちょっと自嘲ぎみに、悲しい笑顔でアルテは語り続ける。「でも、こちらに来てロクショウと出会ったの。ロクショウはずっと一人で生きてきたって」「本当に孤独だったはず。でも、ちゃんと前を向いて生きていたと思う」「私は自分で勝手に孤独になってたの。ちゃんと自分に向き合わず心の壁を作ってた」メタルビートルが目を細めながら聞いている。「で、可愛そうな子同士で傷を舐め、慰めあってたのかい?」「そうね、人はそんなに強い時ばかりじゃないわ。時には慰めあったりも必要ね」「弱いから、寄り添いあうの。寄り添いあって、お互いの弱い部分を認めあって、補うの」「自分の弱さを知らない人は、強くなれないって初めて分かった」「そして、私はもう一人じゃない。ロクショウの気持ちの分頑張れる。マスターやメタビの分も」「だから、私は私の歩む足を止めないって誓ったの」「さぁ、始めましょう。私は何度でも立ち上がる。女は執念深いのよ」アルテは自分の言葉ににやりとし、槍を構えた。「うーん、ごめんアルテ、お前がどんなに我慢強く根性があってもなんともならん」アルテはメタビの言葉に首をかしげる。「まず、これを」ドン!メタビの鞄から、赤く光る瓶と青く光る瓶が投げ出された。「二つとも飲むんだ。いくらレッドストーンを体内に持ってても、体力も精神力も無限じゃない」「赤い方が体力。青い方が精神力を司る魔力が込められている」ゴク、ゴク、ゴク「なんだか不思議な味ね、体は凄く美味しいって感じるけど、舌は何も感じない」「なんだか凄く力が沸いてくる。私ひょっとして強くなったかも」「はは、ここまでPOT無しで良くやってる。体力が戻って実感したんだろう」「まぁ怨むならゲルニカを怨め、POT無しでここに放り込むなんて無茶なんだ」「アルテ、元気が出たら服を脱げ」アルテが呆然としているとメタビは無造作に自分の鎧を脱ぎ、肌を露出させた。「え?メタビ、私そんな趣味は・・」「バカかアルテ。鎧を交換するんだよ!これから先はそんな装備ではやっていけん」「後、二人、とんでもない奴らが待ってるのでな。一人は知識技を使う、だから試した」アルテはようやく事を理解し、鎧を脱ぎ捨てた。金色の産毛に包まれた白い肌が松明に照らされて浮かび上がる。その曲線は滑らかで、一回り大きくなった身体を包み込む筋肉の流れは水の流れのように美しい。背中から臀部の上方にかけ浮かび上がる、背骨のラインは血行が良くうっすらと桃色に染まっている。その背中に赤き羽根の文様が映し出されているのをメタルビートルは気づいていた。【漆黒の世界と赤石物語】(Blackworld and Redstonestory) ~古都の南風 傭兵の詩~『第21章 停戦』砂が舞い上がる大地の上で、戦士達が作る影が巨大蛇となり大地に体をくねらせる。「向こうも大変だな」「ああ、なまじ人数が多いため一気のコールとはいかないな」BUG、サモが敵兵を追いながら言葉を交わす。「キー!うざったいね!さっさとかかってきな!私はまだ満足してないよ」「レイチェ、相手は逃げてるのだからかかってこないよ」「師匠!そうよね、そうよね。師匠のおさる通りよ」「お猿になった覚えはないのだが・・・まぁいいか」「はは、レイチェ慣れない言葉使うなよ」「キー!サモ!お前が的だ!」レイチェが切れて仲間に矢を連射し始めた。その時、正規軍の中からコートの男が現れた。「余裕だな」言葉を発すると同時に、空中から隕石を落とし姿をくらます。「ちぃ、メテオか、しかし一人じゃなにも出来んぞ」BUGが辺り一帯に言葉を投げつける。「そうでもないさ」爆炎の中から魔法使いが姿を現す。「ファンデル少佐だ。以後よろしく」自ら名乗ったファンデルは、瞬間移動でレイチェの後方に回り杖での打撃を食らわす。背中からレイチェの体が凍てつき始めたが、無理やり体を捻り矢を射る。しかし、既にファンデルの体はなかった。「面倒だねぇ、透明かい?光学迷彩仕様とは度胸がないねぇ」「好きに言うがいいさ」見えない空間が一瞬揺らいだ様にレイチェは感じた時、天空から再びメテオが降り注ぐ。「レイチェ、挑発にのるな。単なる時間稼ぎだ」「パプリカ、しかしやられっぱなしでは気にいらんぞ」パプリカの冷静な忠告に対し、BUGが異論を唱える。その時であった。前線に2匹のドラゴンが空中より舞い降りた。「何者?」サモがBUGに聞くが返答はない。「青地に白の十字架・・アウグの聖霊騎士団だな」パプリカが答えると、2人の剣士が振り返る。「やぁ、皆さんお揃いで。お酒大好きsakezukiとその他です」「タケウマです。もうsakeさんちゃんと紹介してください」屈託のない笑顔で、ここが戦場であると感じさせずドラゴンから降り、BUG達の方へと歩く。まるで、何もない草原でも歩くかのように。「誰だアイツ?取りあえず探ってみるか?」サモがBUGに合図し切りかかろうとするが、パプリカが二人の肩を掴んで止めた。その時、正規軍と独立軍の双方の剣士達が切りかかった。「やめろ!」ファンデルが叫んだが、既に遅かった。一陣のそよ風が吹くように、空気が流れたかに感じた時、正規軍、独立軍の10名程が倒れ込む。全員、一様に鎧の胸に十字の傷後が残っていた。「無双十字剣(ブラインドクロス)、剣聖技の一つだな」「剣聖?」パプリカの説明にBUGが疑問を投げる。「ああ、奴は紛れもなく白の剣聖sakezukiだ。抜き身すら見せぬ速さで十字に切り裂く居合い切りだ」「はん!只の速いサザンクロスじゃないか」「じゃーサモお前ならかわせると?」パプリカの質問にサモは答えなかった。よける自信がなかった訳ではないが、強がりと思われるのが尺であったからだ。「で、アウグスタの使者が何用で?」ファンデルが姿を現し、sakezukiに質問する。「えーそれは私から、なんせ難しい漢字とか苦手でsakeさんは」ガン!「いてて、ホントの事じゃないですか。叩かないでください」「え~本日ブルネンシュディング開かれた国会にて、停戦条約の調印が議決されました」「よって、政府軍はただちに撤退を。またアウグスタ法王の命により独立軍も撤退が指示されました」「なんで、法王に俺達が従うのだ?」BUGが疑問を投げかける。「この事についてはビガプール開放政府も承認済みです」「まぁ、宗教相手に戦っては勝ち目が無い。ここらが引き際だろう」サモが納得顔でBUGをなだめる。「キー!私はまだ暴れ足りないよ!この疼きはどうしてくれんのさ!」「しるかよ!」「キー!サモ!やっぱお前嫌い!」「伝達ご苦労であります。しかし、前線にわざわざ来る必要があったのですか?」ファンデルがsakezukiに質問する。「ん?まぁあれだあれ。うん、タケウマ君答えてあげて」「sakeさん、答えれないなら最初から答えないで下さいよ」ガン!「いた~また叩いた。他にも布教活動とか、難民の支援とか色々とやることがあるんですよ」「ご苦労さまです」_色々ねぇ、何か臭うなファンデルは敬礼し、あらかじめ準備しておいたコール命令を発動させた。「では、私はこれで失礼する」「さぁ、俺達も引き上げさせるか。負傷者が少ないとはいえこっちは体力の限界だな」「ああ、物資が底を付き始めている。停戦が解けるまでに立て直せるか?」「厳しいなこれからも」BUG、パプリカ、サモはそれぞれの思いと共に戦場を後にした。(・・・こちらはJ、予定通り法王庁が動いた。手筈通りそちらへ向かう)巨大蛇と化した戦士達が、大地から姿を消す。其処には、ただ焼け焦げた大地以外に何もなかった。「ファン達の気配が消えた。撤退が成功したようだな」フクチが皆に報告する。結局、ザードフィルとトーリーシャ、メイヴィ、マシンインター、楸がザードと共に。ガラテア、セシルス以外が難民と共に東へと徒歩で移動していた。ガラテアとセシルスの二人は一団から少し離れた場所にいた。「ガラ、本当は皆と一緒に行動したいのでは?」「俺達は追っ手が届く前に叩く、一緒に行動してはまた一般人を巻き込む」「追っ手がBUG達かもしれないわ」「それも致し方ない。せめてこれ以上不幸な人を増やさないのが俺の信念だ」「頑固者ね、いいわ付き合ってあげる。」<あとがき>久しぶりにアルテの心の部分に触れてみました。いいおっさんが女子高生の心情なんてリアルに書くには所詮無理がwでも、人っていつかこんな自分の罠にハマル時があるようなないような?誰かアドバイスを(/□≦、)エーン!戦争編は中途半端に停戦しましたwsakeさん、タケさんのコンビは結構気に入ってますがどうでしょうか?
2006年09月11日
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夏も終わり、学生さんは厳しい現実が・・・mikusukeです。さて、本来はリアに直結する事は書かないつもりでしたがちょっとだけ宣伝に使わしてもらいます。皆さんは動物は好きですか?私は好きですでも、最近のPETブームによる弊害も多いのはご存知でしょうか?年間16万の犬達がドリームルームという部屋に連れて行かれます。そんな、現状を伝える写真展が世田谷の文化情報センター、生活工房で行われます。期間は9/13~9/20までとなっております。「ただの犬 プロジェクト VOL2」(do you have home?)http://www.setagaya-ac.or.jp/ldc/tadanoinu/この本は5~6年前に週間現○で特集されたのがきっかけで反響を呼び写真集化された物です。(タイトルとロゴは実はCDも売れているラーメンズの小林賢太郎氏)(小林賢太郎氏はピタゴラスイッチとかにも出てますw)そして、昨年この本を知った漫画家のしまおまほさんと世田谷文化センターの方の協力で写真展が行われました。(しまおまほさんは女子高生ゴリコとか書いてる人)小さな写真展としては異例の2300人を動員する事ができ、マスメディアにも取り上げられ大成功で幕を閉じました。そして好評を得た結果、第2回が行われることに至ったって感じです。色々な意味で生命の大切さを、また自分達の行動の責任なんかを考えさせられる内容と思います。予定が合えば是非首都圏の方は行ってみてください(無料ですしw)私も今年も都合がつけば行くつもりです。(たぶんトークショウの日かな?)なんかこの本、文庫本になったみたいw(480円?くらい)素晴らしい詩と切なくなる犬の目が・・・ロト買って、エンチャ文書でも出たと思って購入してはどうでしょうかw
2006年09月07日
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空気を切り裂く音と共に、金属が肉を裂く感触が伝わる。しかし、遅れて衝撃がアルテミスを襲う。先程とまったく同じパターンだ。「くっ、私の攻撃では止まらないのか」壁に叩きつけられながらも今度はしっかりと踏ん張り、コロッサスに正対する。_考えろ、一撃で駄目なら連続攻撃か?_刺す速さと同じ速度で引かないと出来ないなふぅー、大きく息を吐き、アルテが構える。コロッサスの攻撃を待ち、サイドステップでかわすと同時に槍を打ち込む。そして、コロッサスが反撃の様子を見せる間もなく、槍を戻し再度打ち込む。攻撃態勢のコロッサスは一旦のけぞる。その隙に再度打ち込む。一瞬のタイミングのズレで、コロッサスの攻撃がアルテを上回る。再度、壁に叩きつけられるが、先程の衝撃程ではない。攻撃のタイミングさえ分かれば後方に飛び、衝撃を緩和することも出来る。_タイミングを掴めば行ける_あの時の木の葉の特訓を思い出せ、相手の気と同調するんだコロッサスの追撃を避けると同時に、アルテミスはコロッサスの周りを囲むようにステップを踏み突きの連打を繰り出す。グウォー!コロッサスが堪らず仰け反り、吼える。_まだだ、あの時は同時に木の葉を貫いたんだ。_もっと、相手の気を読み取るんだ。「ほほー、面白い事をやろうとしてるなアルテちゃんは」アルテは構わず、再度コロッサスを囲むようステップを踏み槍の連打を繰り返す。相変わらず、素早い攻撃の連打でコロッサスを翻弄するが、納得した表情を見せない。「アルテ、コロの気と同調するんだよ。同調した気で実体を作るんだ。速く動く必要はない」「残像では無理なの?」「お前がやろうとしている事が、あれなら違うな。気の実体化が正しい解釈だ」_そうか、あの時も速く動いたんじゃない。木の葉と一体になった気がする。_なら意識を分散して・・・コロの蹴りがアルテを襲う。その蹴りがアルテをすり抜ける。先程とは明らかに違う光景である。避けたのではない、明らかに体の中をコロッサスの足が通過した。「そう、それがダミーステップだな、うん」先程の残像とは違い、明らかにアルテの横にもう一人のアルテがいる。_なるほど気の融合が相手に気の実体を見せる訳か。_ならば、あれも行けそうだ。コロッサスは錯乱したように、もう一人のアルテを襲っている。「はぁ!」アルテは掛け声と共に、先程の高速ステップでコロッサスの周りを囲む。いや、先程とは明らかに違い、実体のある複数のアルテがコロッサスを囲んだ。そこから、一斉に槍をコロッサスに向かい突き出した。「1、2、3、4・・・ふむまだそんなとこか。初めてにしては上出来かな」メタルビートルが独り言を言うと一気にコロッサスとの間合いを詰め、槍を振りかざす。その槍は大きく円を書き、槍の両端から朱色の炎と青白き光が空中で広がった。コロッサスは初め炎で焼かれ、そして凍りつく。「さぁ、これからが本番だ。覚悟はいいなケ、ケ、ケ」メタルビートルの手から伸びた槍の穂先がまっすぐにアルテミスの方へと向けられた。【漆黒の世界と赤石物語】(Blackworld and Redstonestory) ~古都の南風 傭兵の詩~『第20章 白き剣と黒き剣』政府軍とビガプール独立軍の決戦前夜、アリアン酒場はいつものように一日の疲れを癒す者達で賑わっていた。「今夜もここは平和だなぁ」「そうですね」「やっぱ酒はサイコーだね。うん」ガタ!「何をする、無礼者」「いいじゃねぇか少しくらい触ったって、減るもんじゃないだろ」「それ以上愚弄するなら、只では済まんぞ」「ああ~ん、おれはクロマティーガードでも腕利きの剣士だぞ。ネェーチャンそれでもやるのかぁ?」酔っ払った男が一人のランサーと揉めている。「ここは場所が良くない。表へでろ」女が背中を見せ表へと足を進めた時、酔った剣士が自分の剣の柄を握り切っ先を走らせた。シュッ!しかし、その剣は柄の中程まで抜かれた状態で止まった。いや止めざる得なかった。酔っ払いの首に一つ、また剣の柄に一つの剣がピタリと止まっていた。「いやぁどうも、お酒大好きsakezukiです。お酒は楽しく飲む物ですよ」「そんな物騒な物はしまってください」柄の方に剣を止めた剣士がにこやかな顔で話す。「命拾いをしたようだな、今日のお前はついている。俺だけだったら今頃お前の頭はそこに載っていない」首に剣を当てた男はワザト首筋の剣に力を込め、一筋の切り傷をつけた。酔っ払いの男はもちろん、振り返った女も、あまりの出来事に言葉を失っていた。そこへ一人の男がやってきた。「まぁ、まぁお客さん達、ここは私の顔を立ててお引取り願いませんか。御代は結構ですから」酔っ払いは依然と強がった風を装い、酒場を後にした。しかし、膝は震えたままでぎこちない足取りであった。「タケ、俺達も行こう。ロスさんお酒ごちそうさん」ニコヤカな顔で店の主人に挨拶をし、振り返り出口へと向かった。もう一人の剣士の姿は既に店にはなかった。「待って、お礼を言ってない。私はリージュいずれ借りは返します。お名前を」「俺はいつでも女性の味方。縁があればまたいずれ会うでしょう。」「待ってくださいよsakeさん。僕はタケウマです。お礼は今度、僕のキュートなソウラン節を聞いてください」「・・・何者だ?マスター」リージュがあっけに取られてマスターに聞く。「ああ~、今日は凄い日だ。フランデル大陸広しと言えど私の杖より速く剣を抜ける者はそういない」「それが、今日は同時に二人もいた。陽気な二人組みはアウグスタ聖霊騎士団のNO1、NO2」「もう一人は私も良く知らないが名前はロウ・ヴァイオレット。闇の世界では有名らしい」「アウグスタの・・・、教皇の2本刀か、今日はすまなかった私もこれで失礼する」暗闇の中、sakezukiとタケウマがドラゴンで空中を疾走する。「sakeさん、珍しく刀を抜きましたねぇ。あの店では抜くことは無いっていつも言ってたのに」「タケ、覚えとけ、熟練者同士では抜刀の速度より相手の初動を読むことが重要だ」「あそこのマスターは達人だよ、通常なら絶対的に遅いはずの杖で相手が刀を抜く前に凍らす」「じゃぁ何故今日は?」「あの剣士、あれは相当できる。俺が抜かないと酔っ払いの首が飛んでたからな」「それより、教皇からの指令だ。南に飛ぶぞ」「はいはい~」一方、酒場を後にしたリージュを一人の男が待ち構えていた。「・・・ロウ・ヴァイオレット、だな」「よく気が付いたな」暗闇から先程の剣士が姿を現す。「私に用事とは思えんな、ジェイクに用か?」「どちらでもいい」「で、アウグの剣聖様はどうだった?若干向こうの方が速かったように見えたが」「戦場では甘さが命取りになる。所詮は実の剣ではないな」「闇の剣聖らしい見解だね、さすが人を殺すことで得た称号といったところか」ロウ・ヴァイオレットがにやりとほくそ笑む。「それより、集合が掛かった。目的地はビッグアイだ」「急だな、適応者が見つかったのか?」「知らん、俺は先にいく」そっけなくロウが答え、闇の中へ消えていく。「出て来てもいいぞ」リージュの表情が急に厳しくなり、闇に向かい声を掛ける。「さっきはよくも恥をかかせてくれたな、俺様の天才的な剣を受けてみろ」リージュは闇から出てきた男に背を向けたまま天空に向かい矢を放つ。「残念だが、お前はもう終わってるよ、冥土の土産に教えてやろう」「私の名はジェイクリーナス、偽りの弓士と呼ばれている」剣士がリージュに向かい剣を抜いた時には天空からの矢が男を貫いた後であった。「また血が流れるのか、悲しいなジェイク・・・」倒れた剣士を横目に、優しき表情に戻ったリージュが呟き、闇の中へと溶け込んでいった。前線での衝突から既に1時間以上経過している。足並みの揃わない政府軍にしてはよくもっていると言ってよい戦況であった。「なかなか相手もしぶといな」サモが剣を振るいながらBUGに話す。「ああ、あちらも必死なのさ、よくBISが機能しているな」「キーッ!私の氷雨もミラーで効果が薄いのさぁ」レイチェル・グリーンが苦虫をかみ殺した表情を見せる。「しかし、さっきの隊長クラスもコールされてるし、何かうまいこと攻めさせられてるな」パプリカが怪訝な表情で分析する。「しかし、こっちも物資に乏しい。ここで引くわけにもいくまい」「それより、ガラとセシが戻ってこないのも何故だ?」BUG、サモが言葉を交わす。調子良く攻めている独立軍であるが、その調子の良さが逆に疑心暗鬼を誘っていた。また、ガラテア達が作戦から戻らないのも、不信感をあおっていた。「敵を殲滅すれば済むことだ、理由など後で考えればいい」Jブランクが戦士達に指示をし、自らは前線の更に奥へと消えていった。一方では、ファンデル少佐が前線に戻り、激しく指示を出していた。「ティマ部隊、足止めは必要ない。ファミで相手の撹乱を!」「BISは補助をしつつ、指示した配置でコールの準備を!」「魔法、遠距離部隊はこのまま相手の物資を消費させるんだ」ファンデルが厳しく指示を出す。その思いはこの負け戦の中でいかに死傷者を少なくするかに偏っていた。_なんとか引き付けなければ、フクチ大佐の思いを無駄にしないためにも。それぞれの熱い思いを砂塵と共に風が運ぶ。戦いはまだ始まったばかりだ。<あとがき>今回、いよいよあの人が登場となりました。もっと早く登場させたかったのですが、ちょっと遅くなりましたwでも今までの中でも結構カッコイイ登場ではないかと思っています。誰のことかは想像にお任せしますb☆夏の特別企画 「第1回人気キャラ投票」え~残念ながら皆さん1票ずつとなりました。一応投票があったキャラ達の感想です^^アルテミス「これからも応援してくださいね」ノラロー「応援したければすればいい、お前の自由だ」シトン「剣士の生き様見てくれて」トリーシャ「断る!」「断固拒否する!」ザードフィル「うい あ○る ざ わーるど♪ うい あ○る ざ ちるどれん♪」レイチェル・グリーン「カ・イ・カ・ン」・・・ゴーヤチャンプルw注)全て、小説のキャラクターの発言です。 RS内のキャラとは違いますので誤解のないようお願いしますm(_ _)m残念ながら1位は決めれないので賞品は次回企画までお預けでwあ~あ、なんか別の企画考えよう><;
2006年09月05日
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