mikusukeの赤石お散歩日記

mikusukeの赤石お散歩日記

2007年02月13日
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全面が白い石で覆われた部屋に多くの戦士達が集う。
ある者は傷つき立ち上がる事さえ出来ない。
ある者は傷ついた仲間に近寄り、不思議な光で治療する。
また、自らの闘気を高めるために精神を集中する者。
また、先程の闘いから装備の見直しをする者。
この状況の中、己のすべき行動をそれぞれが把握しすぐさま実行している点は相当な経験を積んだ
猛者たちであることを物語っていた。

一瞬の間を置き、悲鳴と共に先程の巨大な敵の全貌が現れた。
無数の足、巨大な尻尾、黄ばんだ皮膚に胸から突き出した2本の突起物、額から飛び出した角。


「ひるむな、なんとか持ちこたえるんだ」とザードフィル。

「パプリカ、俺が厄介な足の相手をする。お前は氷雨で動きを止めてくれ」

弓矢使いに声をかけたのは、アルテミスの良く知っているゲルニカであった。
味方が巨大な力になぎ倒されていく中、ゲルニカは槍を回し無数の足を掻い潜る。
巨大な魔物の足が味方に迫る瞬間に穂先を出し、攻撃を逸らす。そしてまた高速移動で別の足へ
と穂先を向ける。複数の生き物かのような足はゲルニカの不規則な動きに追いつかず困惑したように
動きが鈍った。無数の氷の矢が降り注いだのは丁度その時であった。
魔物に降り注ぐ氷の矢はその巨大な身体を青白く染め上げ、動きを奪った。

「よし今だ反撃しろ」誰かが叫ぶ。

「待て、何かがおかしい。距離を取ったまま攻撃しろ!」

ザードフィルの声も虚しく、剣を振りかざし多くの剣士達が動きの鈍った魔物に対し我先にと突き進む。

身体が複数に分裂した。

グシャ!グチャッ!

まるで生の肉をミンチするかのような音が部屋中に響き、屈強な戦士達の背中と進む足を凍らせた。

「ちっ、だから言ったんだ。この勇者様達め」

誰にも聞こえない声でザードフィルが呟く。




アルテミスは目の前の光景に口をあけたまま立ち尽くしていた。

赤石物語
(Blackworld and Redstonestory)

~古都の南風 傭兵の詩~



トリーシャ達、ロウ・ヴァイオレット達が立ち去った廊下。
殆どの人間は床を舐めるように倒れこんでいる。
そこに柱の影から一人の男が姿を現す。風天であった。
風天は倒れている者達の背中に耳を当て、一人ずつ背中に手をかざした。
その手は僅かな光を放ち、倒れし者達に再び生気を吹き込んだ。

「ノラローだったかな?お前にも出来るはずだ仲間を助けるんだ、やってみろ」

風天が石のように立ちすくむノラローに声を掛けるが反応が無い。

「戦士なら、男なら今自分に出来る事をしろ!泣くことなんて何時でも出来る!」

風天に叱咤され、ようやく自分を取り戻したノラローは倒れて動かない仲間の子供達にかけより
風天の動きを真似、自らの気を硬くなった仲間の体に流し込む。
しかし、どうにも上手くいかない。それを見た風天が近寄りノラローの手に自ら手を重ねる。

「いいか、体の外の気と調和するんだ。それを自分の内に取り込み又外へ出してあげる。外から内、内から外だ」

「外側から内側、内側から外側」首をひねってノラローが答える。

「そうさ、周りの気と自分の気、そして相手の気が少しずつ調和するんだ」風天が静かに答える。

ノラローの手が僅かに光る。自分の外と相手と自分が繋がる実感がノラローに訪れた時、倒れた子供
から僅かに生気が戻る。

「やはりな」

ノラローの後ろから風天とは別の大きな影から声がする。ガラテアであった。

「ここに集められた子供達は皆プレイヤーの因子を持っているな」
「手加減はあったにせよ、奴のスキルを食らって生き残れるなんて普通の人間には無理だ」

ガラテアの言葉にセシルスが続ける。

「ああ、しかも我々とも違う何かを持っている感じがするわ」

「さて、なんとか死者は出さずに済んだみたいだけどこれからどうします」風天が問う。

「ああ、悪いが風天はこの子達を街まで送ってくれ。俺達はメイヴィを取り戻す」

ガラテアの声に風天は頷く。しかしガラテアの目線を遮るようにノラローが立ちはだかった。

「俺も行く。俺がメイヴィを助ける」

ノラローの声が届いてないように軽く目の前の少年を押しのけ、風天に近寄るガラテアだったが
その腕にノラローが纏わりついて離れない。5分程同じやり取りを繰り返し遂にガラテアが折れた。

「必ず俺の後ろにいろ。そしてやばくなったら真っ先に逃げろ。走って絶対後ろを振り向くな」
「そして俺の命令には絶対服従だ。命令違反は隊を崩壊に導く」ガラテアが厳しい表情で話す。

「いいのかガラテア」

セシルスの問いに仕方無いといった表情でガラテアは両手の平を上げる。
懐から各種の薬品や道具を出し、ノラローに分配し三人は風天と子供達と別れトリーシャ達を
追っていった。



<あとがき>
随分長い間更新してませんでした。
本気で暴走モードになって終わるのか心配な今日この頃。
まぁRSと同じでマイペースを貫きますb





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最終更新日  2007年02月13日 17時32分37秒
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もしかして  
道端の雑草  さん
先のことは考えずに書いてるのかい? (2007年02月13日 23時49分51秒)

もしかして  
進藤和風  さん
昨日せかしちゃったかなと思ったけど
日付がおとといでした・・・。
更新お疲れさまです。
まったりと続きを楽しみにしてますよ~。
(2007年02月15日 21時27分05秒)

愛読ありがとう^^  
mikusuke さん
道端の雑草さん

いつもコメントありがとう。
先の事は大きな流れと書きたい事はあります。
ただ、上と下のバランスで此処は必要とかの整理が
難しいです><;

和風さん

読んでくれているなんて感謝です^^
次回は新年に言った通り、大活躍なんですよw (2007年02月20日 13時43分43秒)

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