みみ の だいありぃ

みみ の だいありぃ

ちびるほどびびった話



あたしとカレは大ケンカをした。



別れる、別れないのケンカ。

で、結論は、「別れる」というものだった。



ちっ。

誕生日の前の日なのに!!

どうしてこういう時に限って、ケンカふってくるわけ??

なんてこと!!!



誕生日の前日、あたしたちは口もきかずに寝た。

そして、誕生日の朝、同じく口をきかずに出勤した。



仕事に行く途中も仕事をしている間も、なんだか心が沈んでいる。



友達に「ハッピーバースデー!!」とか言ってもらっても「どもども」って言葉しか出てこないし。



は~。

やっぱ、カレの事、好きなんだな~、きっと。

別れちゃうのかな、あたしたち。



なーんてしょんぼりしていた。



これじゃいかん!

あたしらしくない!!



慌てて友達に、「ケンカ中だから、遊んでよ!っていうか、別れたし、あたしたち!!」とか言ってみたけど、「ごめーん、もっと早く言ってくれたらOKだったけど。」とか「どうせ、家に帰ったら彼、いるって!!」とか「あんたたち、何回別れてんの?」とか言われて、みんなに見事にフラれてしまった。



ますますへこんだし(涙)。



うーん、でも、真っ直ぐ家に帰って誰もいなかったら、寂しい。

あたしの誕生日なのに。(←しつこい)



どうしよう、何か考えなければ。



悩んだ挙げ句の果て、あたしは美容院に行くことにした。



その時はストレートロングだったあたし。

思いっきり髪も切って、しかもこまかーーーいスパイラルをかけて、気を紛らわそう!!



そう思い、あたしは速攻美容院の予約を取った。



仕事が終わって、ベルサであたしは美容院へ行った。



あたしの希望の髪型をするのに、ものすごい時間がかかるから。

巻かれている間、1分おきに時計を見たりして。



ああ、家に来てるかな?

それとも来てないのかな?



携帯、電波入ってるかな?

大丈夫かな?



そんな事ばっかり気にしていたから、出来上がりとか、たいしてチェックもしてないでまかせっぱなしだった。



「は~い、おつかれさん!」とか言われて、鏡のあたしを見たら・・・



なんじゃ、これ??

こりゃ、かみなり女ぢゃん!!



クリンクリンでさ。

すんごく短くってさ。

感電しちゃったの?みたいな!!



やっばーーーーーーーーい!!

会社で怒られる~!!



で、終わったのが9時。

あたしは、胸をドキドキさせながら、家路についた。



電車の中でも、ドキドキドキドキ。

駅から歩いていても、ドキドキドキドキ。



電気ついているかな?

ついてないかな?



なんて、競歩のように超ダッシュで歩いて帰った。



し・た・ら。



電気は、消えていた・・・。



がびーーーーん。



あたしは、半泣きしながら、家のドアをあける。

そして、靴を脱ぎ、電気をつける。



ああ、玄関に靴はない。

電気は消えている。

やっぱ、いなかったか・・・。



なんて誕生日。

こんなの最悪!

悲しすぎる!!



で、ふと、鏡の中の自分をみたら、やっぱりかみなり女。



は~・・・。



さみしいOL、あたしは、自分の誕生日に、かみなりヘアをしながら、仁王立ちで、酎ハイの缶を飲み出した。



ぷは~、やっぱうまいぜ。

せつないぜ。



それから、洋服を足でけっぽりながら脱ぎ出した。

そして、パンツと靴下だけの姿になり、さらに酎ハイの缶を飲む。



おまけに、ぷっとかオナラしてみたりして。



したらさ、カタって音がするの。

クローゼットの方から。



え??

お化け??



あたしは、心底びっくらこいた!!



勘弁してよ~!!

誕生日にお化けかい??



しかも、なんだい?

お化けだけかい、あたしを祝ってくれんのは!!



そう思うと、かなり寂しかった。

恐くなんかちっともなかった。



こうなったら、お化けだって大歓迎だ!



そして、かみなりヘアで、しかも、パンツと靴下一丁で、あたしはクローゼットに行き、家着を探した。



したら!!!!!!!



むぎゅっと足をつかまれた!!



ぎゃーーーーーーーーーーー!!!!



あたしは慌てて、手に持った酎ハイを落とす。



やばい、もったいない!!



拾おうと慌てて下にかがんだら、なんと、カレがいたのだ!!!!!



もう、びびったよ~!!

ちびりそうだったよ~!!

何をしてるんじゃーーーーーい!!!



したら、どうやら、あたしが帰ってきそうな7時頃から、準備をして待っていたらしい。



ケーキとバラとプレゼントを持って。



そして、驚かそうと、ケーキを冷蔵庫にしまい、プレゼントと自分の靴をクローゼットの中に隠し、自分もクローゼットに入って隠れていたんだってさ。



なのに、全然帰ってこない。

だから、クローゼットで寝てしまったらしい。



したら、ドアを開ける音が。

せっかくだから、とことん驚かしてやろうって思ったらしい。



なのに、あたしったら、すげー頭で帰ってくるし、すげー格好で酒を仁王立ちして飲んでるし、おまけにぷっとかやってるし、驚かそうと思っていたのに、自分が驚かされたって!!

したら、思わず、動いてしまって、カタッていう音をたててしまったんだってさ。



ははは~。



それから、あたしたちは酒盛りを始め、ケーキを食べた。

お酒とケーキは意外にいけるんだって知った。

でも、やっぱり、髪型は、思いっきり不評だった。



はい、そうです。

そのカレとは、うちの旦那です!

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