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59話:動揺
かなり早い速度でキーボードを弾いてデータを送る。送信を完了した時、その部屋の扉が開いた。
「何してるんですか?こんな暗い部屋で」
入って来た女性の声にビクリと体を震わせた。振り返ってその女性の名前を呼んだ。
「貴子さん・・・」
「友子さん、ブリッツェン艦長が呼んでましたよ」
ため息をついて言った貴子に友子は小さく頷いた。席を立つ時にモニターと記録の消去を行った。
「すぐに行きます」
コンピューターが並ぶ部屋を歩いて扉のところに居た貴子の横を彼女を見ずにそのまま通り過ぎて行った。扉が閉まってまた薄暗い部屋に戻る。貴子は友子が座っていたコンピューターに腰を下ろした。起動させるとデータを見た。
「・・・消されてる」
“NO DETA”と表示されたモニターを見て、貴子はため息をついた。眼鏡を外すと、ゆっくりと天井を見上げた。
「静か過ぎるな」
「・・・うん」
外の様子を見ながら翼が呟いた。横で優美が同じように外の景色を見ている。Gの企業が発展した町。テスト用の滑走路に、輸出に使われるであろう大きな港。この建物の裏側にはGの演習用の広大な土地が広がっている。“マスター”に守られているこの町はGやその他の武装による侵攻を許されていない。もし、侵攻された場合。“マスター”の圧倒的な力によって排除される。だが、その“マスター”の力を実際見たものは居なかった。壁にもたれ掛かって翼は腕を組んだ。
「何も無いと逆に不気味だな」
「うん・・・“エデン・チルドレン”の居る感じがしません」
優美はその透き通った緑の目を外に向けて動かした。あのピリピリとした感じがしない。翼が簡単の声を上げる。
「へぇ・・・お前は分かるんだな」
「はい、何となくなんですけどね」
そう言って優美も壁にもたれ掛かった。レッシュには“エデン・チルドレン”を感じ取る力は弱いと聞いていた。翼が優美の方を向く。
「レッシュは?」
「調べることがあるんだって言ってました。今、1階に居ると思います」
優美はスカートの位置を直しながら言った。留めた髪の毛を気にしながら笑う。どうやら彼女には彼の居場所が分かるようだ。翼は鼻で納得すると、壁から離れた。
「お前ら、休み取ったらどうだ?」
「休み?」
「おう、多分これから休みなんて取るのは無理だろ?1日だけでもゆっくりしろよ」
にかっと歯を見せて笑う翼に優美は驚いた表情を見せた。いくら、“マスター”に守られた街であってもこの状況では休暇など取って居られない。優美は首を横に振った。
「ダメですよ。皆頑張ってるのに休みなんて・・・」
「お前も十分頑張ってるだろ?それに俺らはまだここを動けない。レッド・バードもダメだしジア・エータがあの状況なら尚更だ」
「でも・・・」
そんなことできないと首を横に振って悲しげな表情を浮かべた。だが、こういうときの翼は一度決めると絶対に曲げない。翼はにやりと笑う。
「決まりだ!お前とレッシュは休暇取れ!・・・ゆっくり休んで、んで、また頑張ってもらう」
「あ・・・」
「早くレッシュを連れて来い!・・・ほら!」
「つ、翼さん!」
背中を押され優美はエレベーターに押し込まれた。翼に1階のボタンを押され扉を閉められた。締まったドアの向こうで翼が手を振って笑っていた。
「じゃあな」
「ちょっ!・・・もう」
優美はため息をついた。こうなったら優美にも考えがある。楽しむだけ楽しんで翼に羨ましがられるくらい楽しもうと優美は心に決めた。エレベーターが1階に止まった。
扉がゆっくりと開いた。
「移送?」
「はい。隣の建物に移ります。手錠を」
そう言って来たのは数分前だった。桜は手錠を掛けられ牢から外に出される。サンダルを履かされ、階段を上がる。鉄の扉を抜けて長い廊下を歩くと渡り廊下があった。外の空気はひんやりとしている。そこから見える景色はちょうど滑走路が見えていた。
「・・・」
渡り廊下を抜けると建物の中に入る。さっきの建物と雰囲気が違った。白を基調とした綺麗な建物だった。階段を下りて1階に降りた。その時、廊下の角に居た人物を見て桜は驚いた。金髪に緑の瞳。白いシャツに黒いジャケット、黒いズボンを着ていたレッシュだった。
「レッシュ!?」
桜は思わず叫んだ。レッシュの方に行こうとして移送官に繋がれた手錠を引っ張られそれ以上近づくことができなかった。レッシュは突然自分の名前を呼ばれて目を丸くしている。
「誰だ・・・?」
「・・・え?」
その言葉に桜は凍りついた。自分のことを覚えていない。あの時、私の名前を呼んだのときは意識がはっきりしてなかったのだろうか。桜はその場に膝から崩れ落ちてしまう。涙が溢れた。
「そんな・・・」
「レッシュ!」
レッシュが来た反対の通路から1人の少女が現われた。その声に聞き覚えがある。あの声だった。白いへそ出しのホルターネックのキャミにデニムのミニスカート、髪をツインテールに留めた優美だった。優美は桜に気づいた。
「あ・・・あの時の人」
「え・・・」
顔を上げた桜は驚いた。近くで見て更に驚いた。レッシュと同じ目をしている。深い緑の瞳。彼より透き通った緑色をしていた。髪の色も金と、それもまたレッシュより明るめで透き通った色をしている。それを見て桜は全身から力が抜けるような感じがした。敵わない。どんなに私がレッシュに近づいてもその前には必ず優美がいる。そう、桜には思えた。
「“乱れ桜”さん・・・ですよね」
優美の言葉に桜はまた驚いた。その目からは涙が溢れている。優美もはっきり自信はないが、なんとなくだが優美は感じ取っていた。あのハイジェンから感じるものと彼女の発するものが似ている気がする。レッシュは“乱れ桜”と聞いて驚いた。
「え・・・“乱れ桜”!?」
「あなた・・・何で分かったの?」
「なんとなく・・・です」
優美が目線を少し逸らしてぎこちなく答えた。3人の視線が絡み合う。桜は思い切ってレッシュに言った。
「レッシュ!・・・あなたは私の死んだ夫にそっくりなの!・・・鷹山翼が殺した“仲間”・・・それが私の夫なの」
「・・・あいつの!?」
レッシュは桜の言ったことに驚いた。レッシュは翼に教えてもらったことがあった。自分は“仲間だった男を殺した”と言っていたこと。それで今も苦しんでいること。そして、目の前の桜はその死んだ男が自分そっくりで、夫だったということ。それが複雑に絡み合う。
「もう、鷹山翼を恨んではいない・・・彼は夫と戦ってくれた・・・でも」
桜の目から大粒の涙がこぼれ落ちる。
「あなたは私の最後の希望なの!・・・私はあなたのことを!!」
そう言った時、移送官が桜を立たせて引きずって行った。桜は叫んでいる。
「レッシュ!私は・・・」
ドアが開かれその中に桜は入って行った。それを唖然として見ていたレッシュと優美ははっとした。優美はレッシュに駆け寄るとレッシュを上目遣いで見る。胸が締め付けられるようだった。
「レッシュ?」
「ああ・・・大丈夫だ」
「今の人・・・何かレッシュをずっと“待っていた”感じだった」
優美は俯きながら言った。レッシュは優美の言う意味がいまいち理解できなかった。
「待っていた・・・?」
「うん・・・悲しい感じ・・・重いもの背負ってる感じがする」
レッシュは優美から顔を上げた。彼女からは不思議な感じがしていた。心のどこかに引っかかっている感じがする。それに、優美はいやな予感もしていた。何かが離れていくような、そんな感じ。考えたくないような間隔だった。胸が痛む。しばらくぼんやりと見つめていたレッシュは突然優美に引っ張られた。
「優美!?」
「どっかに行こっ」
「はぁ?こんな時にか!?」
レッシュが予想された反応を示す。優美は笑ってレッシュの手を引いた。
「こんな時だからよ。・・・リフレッシュして、また頑張るの」
「・・・タカだな」
こんなことを言い出すのは翼以外に考えられない。優美は小さく頷いた。どうせ、ブリッツェンの許可も取っていないのだろう。自分達が出かけてしまってから報告するつもりに決まっている。レッシュはため息をついた。
「ああ、分かった。俺の車のところで待っててくれ。準備してくる」
「うん。早く・・・来てね」
優美の手からレッシュの手が離れ、レッシュは階段を上がっていった。その後姿をじっと優美は見つめていた。
やはり忘れられない。
彼の顔を見てしまったら、止める事ができなかった。
彼女が・・・優美が居ようが関係ない。
彼の近くに・・・彼を自分のものにしたい。
桜は手錠をされたまま牢に入れられた。さっきの行動や言動を見た移送官は翼からの指示に従った。桜を連れてきた時、翼から「レッシュに何かしたら手錠したまま入れろ」と言われていた。その牢は前の部屋よりも暗く冷たい。桜は涙が止まらなかった。
「っ・・・うっ・・・」
桜の泣く声だけが響き、彼女の心を更に悲しみへと落としていった。
銀色のスポーツカーが太い音を上げて環状線を疾走する。次々とエレクトリックカーを抜いて行く。いつもと違った様子のレッシュに優美は彼の顔を見た。レッシュは真っ直ぐ前を見つめているだけだった。あんなことがあれば仕方がない。優美の胸がきゅっと痛む。沈黙に耐えられなくなって優美が口を開いた。
「レッシュ?」
レッシュは聞こえていないのか反応しなかった。優美はもう一度言った。
「レッシュ!?」
「ん?・・・ああ、何だ?」
生返事をしたレッシュに優美は少しムッとする。
「聞いてるの?」
「・・・ごめん」
レッシュが謝ってスピードを落とした。環状線を降りて市街地へと入る。ちょっとした路肩に車を止めて、レッシュはハザードを出した。
「ごめん・・・やっぱり気になるんだ」
そう言ってレッシュは太ももの上に手を組んで置き、俯いた。優美もその様子を見て目を伏せた。少しの間沈黙が2人の間に流れる。
「あの人・・・俺がそっくりって・・・。それで、俺は前に貴子に言われたことがあるんだ」
「貴子さんに?・・・何を?」
優美は首を傾げた。レッシュはハンドルにもたれ掛かると優美の方を見ずに言った。
「昔のデータに俺そっくりな奴がいたんだ」
「・・・え?」
勘のいい優美は「あっ」という顔をした。レッシュが優美の方を向いて頷いた。
「多分、そいつが“乱れ桜”の死んだ夫だと思う・・・俺の“正体”が分かるかもしれない」
「正体って・・・レッシュはレッシュでしょ?」
優美は悲しげな表情を浮かべる。レッシュの左手を取ってぎゅっと握り締めた。レッシュは追い詰められた表情をしていた。前にもこんな顔をしていたことがあった。翼に“エデン・チルドレン”、“生み出された兵器”だと言われた時だった。
「でも!・・・同じ顔をしてるなんてありえないだろ!?」
レッシュの頭に最悪の展開が浮かぶ。視点が定まっていない。
「・・・俺は・・・クローンなのか?」
「違うよ」
優美は優しく言った。そして、レッシュの顔に手を添えて自分の方に向けた。真っ直ぐレッシュの目を見つめた。はっきりと優美は言った。
「私の目を見て」
「・・・俺は」
「見て!!」
強い言葉を発した優美にレッシュははっとした。その透き通った深い緑色の目を見た。その目に吸い込まれそうになる。緑の目の輝きは所々違う色の緑が混じっているように見えた。
「私はレッシュが誰かのクローンでもいい」
「な・・・!?」
「だって・・・」
レッシュが驚いた表情を見せた。優美はいつものように微笑んだ。
「だって、ここにいるのはレッシュじゃない。誰かのクローンでも、レッシュが生きてきた20年間はレッシュの人生だもの。レッシュはレッシュでしょ?」
真っ直ぐ見つめるその瞳を見てレッシュは目を閉じた。
暗闇の中聞こえる彼女の声。
何度も彼女の声に助けられた。
彼女の言葉に、何度も存在に助けられた。
レッシュはゆっくりと目を開いた。
目の前には優美の笑顔がある。
「ああ・・・そうだな」
まだ全てすっきりできたわけではなかった。でも、心が軽くなったのは事実だ。そう、20年間生きてきたことは自信を持てる。翼やいい仲間にも囲まれた。優美とも出会えた。明るい表情に戻ったレッシュの顔を見ると優美は「ふふっ」と笑う。
「よかった。元気出たみたいだね」
「いつも・・・助けられたばかりだな」
レッシュの笑顔に優美は首を横に振った。そっと優美の頬に触れ、目の下を撫でる。くすぐったそうに優美は笑った。レッシュは車のハザードを切るとギアを1速に入れて勢いよく発進した。
「服?」
レッシュの横を歩きながら優美は首を傾げた。レッシュは笑って頷く。
「あのバリエーションの少なさは女の子では致命的だろ」
「え・・・見たんだ」
優美は少し赤くなって膨れた。レッシュは慌てて弁明する。
「いや、検査の時に服取りに行った時に・・・」
「あはっ」
その様子を見て優美は思わず吹き出した。笑いが止まらないのか、店先に立ち止まって笑い出した。レッシュは赤くなってくる。
「笑いすぎだろ!」
「あはは・・・ごめんごめん」
優美は笑いすぎて出た涙を拭くとひとつ息をついた。レッシュも大きなため息をついている。
「とりあえず優美の服だ。さすがにあの量じゃヤバイ」
「えー・・・私、こういう服好きなんだけどー。・・・レッシュは嫌い?」
優美がキャミとスカートを少し引っ張ってポーズをとった。胸元はかなり開いているし、へそだしで、背中はほぼ全開。スカートも超ミニのデニムを履いている優美は町を歩くだけでも注目を浴びる。通り過ぎる男達が皆振り返っていた。
「嫌いじゃないけど・・・」
「・・・どっちなの?」
腕を組んだ優美にぐっと迫られてレッシュは頬をポリポリと掻いた。照れながらレッシュは言った。
「まあ・・・好きかな」
「ふふ、私もこういうの好きだしー」
優美は飛び切りの笑顔を見せた。レッシュはそれをみて目線を逸らして照れていた。
「このブランドが好きなの」
そう言って優美が見せたタンクトップは背中がクロスになっていて大きく開いている。前もまた然りで、胸元は開き気味、もちろん丈か短くへそ出しだ。レッシュは終始困り顔をしていた。
「布が・・・少ないな・・・」
「これくらいじゃなきゃ私はヤダ」
ちょっと膨れて、その服を置くとスカートのコーナーに優美は歩いて行った。デニムのかなり短いスカートが並んでいる。楽しそうにスカートを見ている優美の横でレッシュはおもむろにその中のひとつを持ち上げた。短いと言う次元じゃない、短すぎる。レッシュが変な汗をかきながらそれを見ていると、優美がレッシュが見ていたスカートを見て笑った。
「それかわいい!」
「かわいい?・・・短すぎるだろ」
優美はレッシュの手からスカートを取ると腰に当てた。今履いているデニムスカートもかなり短いが、そのデニムスカートはさらに短かった。
「おかしいだろ・・・それ?」
「腰履きにするんだよ。ローライズみたいな感じ?」
「はぁ・・・」
レッシュは苦笑する。まあ、優美のこういう格好は慣れているが、彼女の服の買い物に付き合ったことはほとんどない。「かわいい」を連呼しながら優美は服を選んでいる。レッシュ自体、このようなデザインの服が売られていること自体が驚きだった。優美は裁縫が得意なので、服を買っては“改造”していることが多い。優美はレッシュの手の上にいくつかデニムのミニスカートとタンクトップ、キャミ、丈の短いデニムジャケットを置いた。これじゃあ、バリエーションは増えてはいない。レッシュから言わせれば同じような服が増えただけだ。
「あのなぁ・・・他のジャンルないのか?」
「ジャンル?・・・だって、こういうのが好きだから」
レジに行こうとする優美をレッシュが呼び止めた。くるっと振り返って首を傾げた。レッシュはため息をつくと近くに掛けてあった薄いブルーのジャケットを手に取った。
「こういうのはどうだ?」
「えー・・・暑苦しいじゃない。私は動きやすくて、肌が出てる服がいいの」
「・・・ダメだなこりゃ」
ため息をついたレッシュは優美を追ってレジに行った。レッシュはカードで支払うとレシートを見た。大して気にならなかったが、レッシュの目にデニムジャケットの値段が目に留まった。他のものより飛びぬけて高い。レッシュが知っているデニムジャケットより丈も短いのに値段が倍以上するのにレッシュは納得がいかなかった。
「この・・・デニムジャケット高いな」
「あ・・・ごめん、ビンテージモデルで・・・前から欲しかったの」
「丈が胸ぐらいしかないな・・・。損した気分だよ」
申し訳なさそうに言う優美にレッシュは苦笑した。店から出ると優美は空を見上げた。重たい雲が空に掛かっている。それを見てレッシュも見上げた。
「雨が降りそうだね」
「ああ、それに・・・」
「あ・・・レッシュも感じてたの?・・・何か“ここ”がざわつくの」
そう言って優美は胸を押さえた。さっきから変な感じがする。優美は目を閉じた。“イクシーダー”になった副作用なのだろうか。優美は不安そうにしてレッシュを見た。
「レッシュ」
「そうだな・・・他に寄りたい場所もあったけど・・・帰るか」
「うん」
その時、優美の頬に一粒の雨粒が落ちて来た。
あの部屋。
スーツの男が“箱”の前にいる。
“エデン”は回路を輝かせ、中心部分の色が緑から赤に変わった。
スーツの男は両手を広げた。
「時は来た」
その瞬間、“エデン”が強烈な光を放った。
部屋全体に回路の光が走り、一気に明るくなる。
「“1”」
「はっ」
スーツの男は日跪くと頭を下げた。“エデン”の中心部が会話と同時に点滅する。
「変革の時は来た」
その瞬間だった。世界中のレーダーと言うレーダー、世界政府軍のレーダーにも異常な反応が示された。
“北アメリカ”
「何だこれは!?」
「“ゲート”確認!!・・・G出現!!」
白いGがサンフランシスコ・シアトルなど西海岸に多数出現する。ついで東海岸も同じ事態が起こった。
「ここはG進入禁止区域だ。今すぐ退去しろ!」
ニューヨーク上空。数十機のGがニューヨークの高層ビルの上空に待機している。軍のGの警告を聞く様子はない。
“ロシアエリア”
「G多数出現!!」
「どこだ!?」
指揮官がオペレーターに向かって叫んだ。異常な反応を示すレーダーにオペレーターは混乱する。レーダーが反応で埋め尽くされていった。
「モスクワ、サマーラ、エカテリンブルグ、ウラジオストク・・・これは!?」
「どーなっているんだ・・・」
指揮官も赤く染まったレーダーを見つめ呆然としていた。
“アジアエリア”
「インドエリアより通信!正体不明の部隊が出現!」
「インドネシアエリア、ジャカルタにも出現!!」
「バンコク、シンガポール、マニラ、ハノイ・・・香港にも出現を確認!!」
アジア各国から寄せられる情報と危機的事態にアジアの世界政府軍総司令部はパンク寸前だった。そして、北京、上海にも出現したと言う情報も入ってくる。指揮官はオペレーターに指示を出した。
「日本エリアにも打電しろ!」
“日本”
「佐藤大佐!!」
「何だ!?」
オペレーターがアジア司令部から送られてきた情報を叫んだ。
「正体不明の部隊がアジア主要都市に出現!!」
「ああ・・・“ここ”にも着たようだ」
外の映像を映し出したモニターをそのエリアのリーダー見た。白いGたちが大阪、東京、名古屋に出現したという情報が入ってくる。
「何だこれは・・・」
“ヨーロッパエリア”
「何だあれは・・・」
傭兵の1人が空を見上げた。キラキラと空を埋めて行く。男は目を凝らした。
「G!?」
空を白いGが集まっていた。その異常はすぐに傭兵の“本部”も掴んだ。
「Jさん!」
「ああ・・・何ですかこのざわつく感じは・・・気分が悪くなりそうです」
“J”は胸を押さえて映像を見た。ヨーロッパ各エリアの都市に異常を知らせるランプが灯る。
「ダブリン、マドリード、パリ、ベルリン、ローマ、ミラノ!!・・・これは!?」
「何を起こす気なのですか・・・“エデン”」
“J”は歯をかみ締めた。
その後も世界各地で白いGの出現は止まらない。
“1”は“エデン”に近づいた。“エデン”はいっそう輝きを増した。
「新世界へ」
そう言って“1”はその中心の球体に触れる。
“エデン”は静かに言った。
「新世界へ」
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