<A Road to Kobutori ~ 小太りへの道>のハズだったのに…

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兄からの宿題



長男に、「弟のいいところを見つけて、教えて」と訊き、
次男に、「お兄ちゃんのいいところを見つけて、教えて」というだけ。

今日、遠方に住む兄に、たまたま別件で電話をした際に、
なんとなく長男の様子を相談したときの答えが、この宿題。
電話口の兄に、私は即座に答えました。
私「そんなん、今の長男に聞いたって、ない、って言うだけにきまってるやん」
兄「そう?そうかな」

このところ長男の情緒が不安定で、失敗を恐れすぎたり、
苦手なことを避ける傾向が強まっていて、気になっていました。
幼稚園の面談でも、担任の先生から、同じことを指摘され、
「できたことをいっぱい褒めて、自信をつけさせてあげてください」
と、指導されました。

長男は、小さいときから、慎重な子でした。気の弱い、怖がりの。
でも、がんばって、がんばって、4才で補助なしの自転車に乗れるようになった、
というのが自信につながったようです。

絵を描くことや、砂場遊び、パズルなどが好きで、集中力のある子。
字も、好きな絵本を読むのには困らない程度には読めるし、
英会話のサークルでも、月に一度のごほうびのカードを、ほぼ毎月もらえて、喜んでいました。

ところが、小さかった弟が、すこしづつできることが増えてきて、
3才であっさり補助輪が取れたころから、兄の優位は脅かされはじめました。

物怖じしない弟は、いろんな人にかわいがられます。
背は低いのですが、体が軽い分、兄の苦手なうんていや鉄棒が上手です。
逃げ足も、(長男にきたえられて?)早いです。
カタカナはろくに読めませんが、漢字の「各停」「快速」「急行」「回送」は見分けます。
クラスこそ違いますが、英会話サークルでのご褒美カードを、兄より多くもらっています。

いろんなことができるようになってきた弟と、
弟に負けることがでてきて、自信を失いかけている兄。
兄弟を比べるまいと、育ててきたつもりが、
「○○できるようになって、すごいね」という、次男への励ましのつもりの言葉が、
長男へのプレッシャーになっていたのかもしれない、と、気づかされました。


と、こう書いてきて、思い出しました。

長男の様子が、目に見えておかしくなったのは、私がきっかけだったと思います。
英語のご褒美カードのことで、わたしが長男をひどく叱ったことがありました。
その月、長男はもらえず、次男だけがカードをもらってきました。
レッスン中の私語が多い長男は、たびたび先生に注意をされているのに、改まりません。
そういう態度では、カードなんてもらえないよ、と、きつく言い置いていたのに、相変わらずで、
案の定、「いいなー、(弟)はカードもらえてー」と、帰ってきたのです。

あんなに言っておいたのに、言いつけを守らなかったからもらえなかったのに、
「いいなー、(弟)だけもらえて、ずるーい」
と言ったものだから、私は怒りを爆発させてしまいました。

「お母さんの言うこときかないからでしょう!」
「自分が、レッスンの妨げになることをしておいて、それでいいと思ってんの!?」
「どうせ、お母さんのいうことなんて、きいてないんでしょう」
と、ねちねち嫌味を言い続けました。
長男が顔色を変えて泣き出しても、簡単には許しませんでした。
顔を見ても腹が立つので、無視しました。
長男は、泣いて、許しを乞いました。
私は、多分、
「どうせ、何言っても、聞かないんでしょう。勝手にすれば」
と、言い放ったと思います。おぼえていません。
今思うと、「言うことをきかない子は嫌い。だから、お前は嫌い。」というメッセージを、
ひたすら送り続けたのです。
これは、虐待だったと思います。

翌月からまた、二人ともカードをもらってくるようになりました。
「ちゃんとやれば、できるじゃない」と、褒めたつもりでしたが、
もらったカードの枚数は、今も一枚分、弟のほうが多いのです。
今月もカードをもらっても、長男は言いました。
「(弟)、何枚? あーあ、また僕のほうが少ないや」

私が、「できるようになったこと」だけを褒めて、「えらいね」と、言うことが、
人を判断するときに、「できる、できない」という基準を子どもに押し付けてしまっている、
と、兄は指摘しました。
人を判断するとき、大切なことは、「できる、できない」だけじゃないだろう、と。

それは、確かに、わかりやすいことだけれど。
他人に対しても、自分自身に対しても。
それ以外の、人のいいところは、探さなきゃ見つけられないんだ、
小さい弟妹の能力がのびてきた時っていうのは、
それが兄姉にとって「脅威」となるか、
兄姉の精神的成長の「チャンス」となるか、どっちにでもなり得るものだ、と。


そして、宿題に対する子どもたちの答えは、私にとって、意外なものでした。

長男の答え「んーとね、元気いっぱいなところ」
次男の答え「やさしいところ」


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