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伊藤真先生の『合格のお守り』を買いました。試験会場でいただくお手紙の集大成で、CD付きです。本をクリックすると伊藤先生の動画がみられます。買ってよかったです。
2008年03月23日
名刺メーカーです。 うるう年なので、更新しておきます。
2008年02月29日
「奇跡の母子犬ひまわり」宮崎県の犬管理所の物語です。
2008年01月25日
大晦日、紅白歌合戦までもうすぐですね。みなさまには今年もお世話になり、ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。みなさん、どうぞよいお年を♪いま井藤公量先生の『合格請負人の目標が現実になる勉強法』(PHP研究所)をよんでいます。
2007年12月31日
運命鑑手相占いです。「プログラムによりデータをもとに処理します。手相は顔相と同じく日々変化するものです。なるべく正確に細かく、SAMPLEの絵を参考にして、 マウスを使って描いてください。【運命鑑度】あなたの手相は特A級です。運命鑑が見たところ非常に価値のある手相をお持ちであることが見受けられます。【性格】一匹狼タイプで環境から浮いているように見えるが、実は自分の道をただひたすら貫いている。理想が高く大きな目標に向かっている。自分は人とはちがうことをアピールしようとする。【人間関係】孤独を愛するナルシスト。しかし、意外に人に傷つけられることもある。めげずに頑張れば、いずれカリスマと呼ばれる存在になる。一線を画し人との距離を保つ。【恋愛】自分からのアプローチが苦手で、チャンスが生かせない。束縛をひどく嫌い、自分の生活を侵されるのをひどく嫌がり、なかなか深い関係が築けない。【仕事】相手を批判するので出世するのは難しいが、独自のセンスを仕事内容に生かせるなら成功する。【注意】感情的になりがちで、人にバカにされるとそのプライドから逆上する危険がある。恋愛でも適度の束縛は甘んじて受ける必要がある。【適職】盲導犬訓練士、インテリアプランナー、フラワーデザイナー、ニュースキャスター、声優、アスリート、アクター、アクションスター」適職に弁護士と出てほしかったです。友だちに会いました。今年の新司法試験で三振したそうです。1期既習の旧試論文経験者で、国立大卒、関西のトップレベル私大ロー修了です。旧司法試験で一振りし、新試験を2回受けました。学費は減免なしで、ローンを利用したそうです。「ロースクールなんか行かないほうがいい」といわれました。ほんとにきびしいですね。
2007年11月20日
友だちから、口述を受けられなかった口述落ち、といわれました。来年の口述は受けられる、という意味のようです。今年は論文で200番台に入りながら、合格予定者数を激減されたため、口述試験にはすすめませんでした。来年あらためて択一、論文試験を受けて口述にたどりつくのはたいへんなことです。口述にすすんでも、1割以上がおちています。でも、今年の順位から順当にいけば、来年は合格者のかなり上位に行ける。不安を払拭するために、言ってくれたんだと思います。来年旧試験を受けたら、果たして口述にすすめるようにがんばりたいと思います。
2007年11月14日
旧司法試験に最終合格された方々、おめでとうございます!出願者数2万8016名択一受験2万3306名択一合格者数2219名論文合格者数 250名最終合格者数 248名数字をならべてみて、ちょっと言葉を失いました。合格されたみなさん、ほんとにおめでとうございます。綾鷹のホームページで「FUN 遊戯」から「綾鷹KAMONジェネレーター」に入り、KAMONを生成してもらいました。【心】 理屈や計算よりも心と心の結びつきを大切にする心紋のあなた。たとえ相手がどんな人間だろうと差別をせず、誠心誠意の対応をとる素晴らしい性格の持ち主です。その反面、ストレスを溜めやすい体質でもあります。時には肩の力を抜き、気楽に生活するのも人生を楽しく生きるコツです。
2007年11月08日
法科大学院・ロースクール47占いです。マダムKさんからいただいて来ました。「mini_storyさんは立命館大学法科大学院 との相性が学問的・環境的にも最高です!● 立命館大学法科大学院と最高相性 弁護士にせよ裁判官にせよ高度な専門性を身につけ、周りにうずもれたくないという願望をもつあなた。最も相性がよい法科大学院は、「立命館大学法科大学院」です。 どのような場面でも「○○では人に負けない」という強い自信を持っています。情報を素直に受け入れ、頑固さを残しつつも柔軟に事態に対処します。ただ、頭ではわかっていても、質よりも見栄えを優先することも。 学業的な資質は相当高く、法曹としてある専門分野で輝かしい業績を残します。しかし、質よりも見栄を優先してしまい失敗する危険も内在します。 自信にあふれる学生が多い立命館大学法科大学院でこそ、あなたの資質を十分に引き出すことができるでしょう。」
2007年10月20日
憲法H19-1【問題】 A市では,条例で,市職員の採用に当たり,日本国籍を有することを要件としている。この条例の憲法上の問題点について,市議会議員の選挙権が,法律で,日本国籍を有する者に限定されていることと対比しつつ,論ぜよ。【答案】一 A市条例の合憲性 1 A市の本問条例は、市職員の採用にあたり、日本国籍を有することを要件としている。そこで、外国人の市職員に採用される権利、すなわち公務就任権を侵害しないか。 2 外国人の人権享有主体性 外国人に公務就任権が保障されるかを検討する前提として、まず、日本国籍を有しない者である「外国人」に人権享有主体性が認められるか。第三章が「国民の権利・・・」の章であることから問題となる。 この点、人権の前国家的性格及び憲法が国際協調主義を採用すること(前文、98条2項)から、権利の性質上日本国民のみを対象とすると解されるものを除き、外国人にも人権享有主体性が認められる。 3 公務就任権 (1) 次に、公務就任権は憲法上、明文がないが、保障されるか。 公務就任権は、自らを公務員に選定する権利として15条1項によって保障される。これは広義の参政権の1つといえる。また、公務も「職業」の1つとして、22条1項によっても保障される。 (2) では、外国人にも保障されるか。 15条1項は、国民主権原理(前文、1条)の下、国政の負託者である「公務員」の選定を主権者たる国民の「固有の権利」としたものである。よって、権利の性質上、外国人には保障されない。 他方、22条1項は、人格的生存(13条)の基盤をなす生計手段の選択を自由とする前国家的権利であるから、権利の性質上、外国人にも保障される。 もっとも、外国人にも保障される22条1項が「公務」を対象とするときは、さらに検討を要する。公務が国民主権原理の下、国政運営にかかわるからである。一方で、日本人と変わらない生活実態を有する永住資格者の存在も忘れてはならない。そこで、「公務」にも、国民主権と深くかかわる権力的作用を行使するものと、そうではなく技術的・教育的・事務的なものとがあることから、後者の公務に就任する権利については、22条1項により永住外国人にかぎって保障される。 4 国籍要件の合憲性 永住外国人の場合に一定の公務就任権(22条1項)が保障されるとしても、「公共の福祉」(22条1項)に反しない限度で保障されるにすぎない。そこで、A市条例による制約は合憲か。その審査基準が問題となる。 公務就任権のような経済的自由権は、立憲民主政に不可欠である精神的自由権と異なり、制約されても政治過程をつうじて是正が可能であるから、国会の立法裁量を重視し、ゆるやかな基準で判断すればよい(二重の基準)。公務就任権の場合、「職業」という人生の生き方の選択である点は重要だが、「公務」が国民生活と深くかかわることから、立法目的及びその達成手段につき合理性が認められるかにより判断すべきである(合理性の基準)。 本問条例の目的は、(1)後述するとおり地方政治においてもその担い手は国籍保有者である「住民」であることから、地方政治の運営の責任を国籍保有者である住民に帰すること、(2)かぎられた財源から給与が支弁される公務員として雇用される機会を国籍保有者に優先することにあると考えられ、合理性が認められる。また、このような目的達成のために国籍要件を設けることは合理的である。 5 以上より、本問条例は合憲である。二 市議会議員の選挙権が、法律で、日本国籍を有する者に限定されていることについて 1 このような限定が外国人の選挙権を侵害しないか。 選挙権は15条3項によって成年者に保障されるが、市議会議員の選挙権については、93条1項によって「住民」に保障される。 では、「住民」に外国人が含まれるか。選挙権は、国政のあり方について国民が権利と責任を持つ国民主権原理(前文、1条)の下、もっとも重要な基本権であり、地方公共団体も国の統治機構の一部であるから、このことは地方政治のばあいも異ならない。そうすると、「住民」とは日本国籍を有する居住者を意味する。よって、外国人は含まれない。 この点、地方自治を制度的保障として住民の意思による運営を目ざした第八章の趣旨から、その居住する自治体ととくに緊密な関係を有するに至ったと認められる永住外国人に立法によって地方選挙権を付与することは、憲法上禁止されないと解される(許容説)。しかし、憲法上の保障はないので、このような立法措置を講じなくても違憲ではない。 2 以上より、本件限定は合憲である。三 対比 本問の条例による国籍要件は、永住外国人には一定の公務就任権(22条1項)が保障されていることから、「公共の福祉」による制約の範囲に留まるがゆえに合憲となる。 これに対して、法律による国籍要件は、もともと外国人に選挙権の保障がないことから合憲になるという差異がある。 これは、選挙権が後国家的な参政権そのものであるのに対し、公務就任権は、永住外国人のような国籍保有者とかわらない生活実態の者が存在することを前提として、前国家的権利である職業選択の自由による保障があること、公務も広義の参政権の対象となるが多種多様であり権力作用とかかわりの弱いものも存在するという、権利の性質の差異によるものと考える。 以上(65行)
2007年10月17日
憲法H19-2【問題】 「内閣は,条約を締結する際,その条約の合憲性について,最高裁判所の見解を求めることができる。最高裁判所が違憲であるとの見解を示した場合は,内閣はその条約を締結することはできない。」という趣旨の法律が制定されたと仮定する。この法律に含まれる憲法上の問題点について論ぜよ。【答案】一 前段 本問法律が「内閣は、条約を締結する際、その条約の合憲性について、最高裁判所の見解を求めることができる。」とする点について 1 憲法と条約の法体系上の関係について 「条約」とは、文書による国家間の合意をいう。 本問の前提として、まず、憲法と条約が異なる法体系に属するならば、その矛盾抵触は問題とはならないとも思われる(二元説)。 しかし、条約は国内法的効力を有することから、憲法と同一の法体系の下にあり、その矛盾抵触が問題となりうる(一元説)。 2 形式的効力の優劣について 次に、条約が効力の点で憲法に優位するとすれば、条約の合憲性は問題とならない(条約優位説)。憲法が採用する国際協調主義(前文、98条2項)、98条1項が「条約」を挙げていないことからすれば、こう考えるべきとも思われる。しかし、こう考えると、厳格な改正手続を要する硬性憲法(96条)がより容易な条約締結手続により実質的に改正されかねないことから妥当でない。 条約締結権が憲法の授権にもとづくこと(73条3号)、憲法に表れた国民の主権的意思は容易に変更されるべきではないという硬性憲法の趣旨から、憲法は効力の点で条約に優位する(憲法優位説)。 3 条約が合憲性判断の対象となるか 憲法の効力が条約に優位するとしても、条約は、81条に挙げられていないことから、合憲性判断の対象にならないとも思われる。 しかし、条約は、特別の立法措置を要するか、要しない自動執行条約であるかにかかわらず、国内法的側面は国内法として通用するから、少なくともその国内法的側面については「法律」(81条)に準じて違憲審査の対象となる。 4 締結前の条約の合憲性判断について では、締結前の条約が合憲性審査(81条)の対象となるか。 違憲審査制の法的性格が、具体的争訟と関係なく抽象的に判断できる抽象的審査制であれば、締結前の条約も対象となりうる。しかし、提訴権者や裁判の効力など、それを積極的に明示する規定もなく、このように考えることはできない。 違憲審査制(81条)は、「第六章 司法」の章に規定されている。そして、「司法」とは、伝統的に、具体的紛争を前提とし、これを法令の適用によって解決する作用と考えられている。そうすると、違憲審査権は司法権の行使に付随して行使されるものと考えられる(付随的審査制)。 締結前の条約についてみると、具体的紛争を前提としないから、その合憲性判断は司法権の行使に付随するものとは言えない。 5 まとめ 以上より、最高裁判所は条約の合憲性を判断できる。しかし、締結前に判断を求める点で、本問法律は付随的審査制(81条、第六章)に反し、違憲である。二 後段 本問法律が「最高裁判所が違憲であるとの見解を示した場合は,内閣はその条約を締結することはできない。」とする点について 1 内閣に条約締結権が与えられたことに反しないか 条約締結権(73条3号)が内閣に与えられた趣旨は、条約締結は国家存立の基盤にもかかわる政治的判断であり政治部門が担当すべきこと、また、外交交渉は迅速機敏かつ臨機応変に活動できる内閣が適任であることにある。 そうすると、政治部門ではない最高裁判所が、具体的紛争も前提とせず条約の合憲性を判断するばかりか、その締結を掣肘することは妥当でない。また、内閣の外交交渉の迅速等を害することになる。これは非政治部門である司法権の内閣に対する不当な干渉であるとともに、裁判所の政治化をもたらすことにもつながる。よって、73条3号の趣旨に反する。 2 国会に条約承認権が与えられたことに反しないか 条約の締結には国会の承認が必要とされる(61条、73条但書)。その趣旨は、条約が国民生活のみならず国家存立の基盤にもかかわることから、主権者である国民(前文、1条)を代表する国会(43条1項)による民主的コントロールを及ぼし、条約締結を内閣と国会の協働行為とすることにある。その結果、外交交渉の迅速等を害するおそれはあるが、政治部門の協働によるより妥当な判断を導くための仕組みである。 本問法律は、たとえ国会承認が得られても締結不可能となり、国会の意思を無意味にし、政治部門の協働の仕組みを没却する。よって、61条、73条但書の趣旨に反する。 3 まとめ 以上より、本問法律は、条約を国会の承認の有無にかかわらず締結できなくする点で、61条、73条にに反し、違憲である。 以上(65行)
2007年10月17日
ACCBAA、A 131.**点。 200番台でした。
2007年10月13日
残念な結果でした。 ブログで応援して下さった皆様には、感謝しています。 合格された方は、口述がんばって下さい。
2007年10月04日
阪神延長10回接戦を制す!10連勝♪
2007年09月09日
阪神9連勝!単独首位♪
2007年09月08日
どんな仕事をしてても、何をやっていても、自分の人生を好きになること、それが成功者なんじゃないかって・・・・・・!
2007年09月06日
罪をにくんで人を信じる、法律と人間のあいだに立つしごと。
2007年09月05日
法律って、人のためにあるんですね。
2007年09月04日
神々の故郷で人間を磨きます!!
2007年09月03日
確かめたい真実がある!!
2007年09月02日
日本の弁護士の総数は約2万人。その半数にあたる9767人は東京の弁護士会に所属。そして、島根県弁護士会に所属する者は26人(2004年4月1日現在)。さいきんPCが不調です。ブログも不安定ですね。
2007年09月01日
おもしろいです。
2007年08月31日
http://bj.shueisha.co.jp/manga/simane/
2007年08月30日
<第1部> 憲法345位 民法156位 刑法322位<第2部> 民訴346位 刑訴483位<第3部> 商法207位<第4部> 行政法2位<合計> 44位3116名中(偏差値71.3)<第1~2部による志望別順位>阪大5位/83名京大11位/166名東大22位/332名
2007年08月20日
毎日暑い日がつづきます。 心よりお見舞い申し上げます。
2007年08月12日
<第1部> 憲法33 民法36 刑法28<第2部> 民訴31 刑訴24<第3部> 商法29<第4部> 行政法35<合計> 216点(各40点、計280点)上三法は、問われ方が変わるとまよいます。さいごは時間不足です。下三法は、こまかい条文がぜんぜん分かりませんでした。画像は、大阪大学法学部法学研究科です。
2007年07月30日
7月15(日)16(祝)両日、論文式試験でした。
2007年07月23日
明日から3日間祇園祭です。 去年も論文は雨がふりました。
2007年07月13日
憲法H18-1【問題】 国会は,主に午後6時から同11時までの時間帯における広告放送時間の拡大が,多様で質の高い放送番組への視聴者のアクセスを阻害する効果を及ぼしているとの理由から,この時間帯における広告放送を1時間ごとに5分以内に制限するとともに,この制限に違反して広告放送を行った場合には当該放送事業者の放送免許を取り消す旨の法律を制定した。 この結果,放送事業者としては,東京キー局の場合,1社平均で数十億円の減収が見込まれている。 この法律に含まれる憲法上の問題点について論ぜよ。【答案】一 広告放送の自由 本問の法律は、放送事業者の広告放送の自由を制約し、違憲ではないか。 1 広告放送の自由は、「表現」にあたるから、21条1項によって保障される。 この点、営利的表現にあたるから22条1項を根拠とすれば足るとも思われる。 たしかに、放送事業者は広告放送をながすスポンサーを集めることにより収益を上げており、職業選択の自由を実質化する営業の自由(22条1項)とも関連する。しかし、広告放送も単純な商品宣伝から省エネの呼びかけ、政党のコマーシャルなど多岐にわたる。そうすると、広告放送だからといって一概に営利的表現とはいえず、その区別は困難であるから、22条1項のみを根拠とすることにより、その制約の審査基準がゆるむのは妥当ではない。 広告放送が、視聴者・消費者への重要な情報提供機能もいとなむことからも、21条1項によって手厚く保障されると解すべきである。 2 そして、放送事業者は法人であるが、法人も社会的に活動する実体であることから、権利の性質上可能なかぎり人権保障がおよぶ。放送事業者にとって、広告放送の自由は、放送事業の一部であるから、その性質上、保障がおよぶ。 3 このように放送事業者に広告放送の自由が保障されるとしても、絶対無制約ではなく、「公共の福祉」(12条、13条)の見地から制約される。 では、本問の制約が合憲か、その審査基準を検討する。 ここで、表現の自由のような精神的自由権は、経済的自由権とことなり、制約されると民主政の過程による自己回復が不可能であるから、その制約の合憲性は厳格に審査しなければならない(二重の基準)。 広告放送の自由の制約の審査基準もこのような見地から考える必要がある。 もっとも、表現内容に着目せず時間を制約するにすぎないことを理由として、表現内容規制のばあいの厳格な基準は妥当しないとも思われる。しかし、規制により大幅な減収をきたし、制作費のカット、ひいては番組内容にまで重大な影響が生じることからすれば、「広告放送」という内容に着目した規制とみるべきである。 とすれば、表現の自由の制約の原則どおり厳格に審査すべきである。具体的には、重要な目的のために実質的な合理的関連性を有する手段であることを要すると解する(実質的な合理的関連性の基準)。 4 この法律を見ると、多様で質の高い放送番組への視聴者のアクセスを可能にすることは、放送事業が免許制(講学上の特許)であることからしても、重要な目的といえる。 しかし、その手段としての広告放送時間の制限は、放送事業が使用可能な電波の有限性から免許制になっていることを考慮しても、放送局がなにを放送するかの自由の一部である編集権をいちじるしく冒すものである。とりわけ、午後6時から11時までのいわゆるゴールデンタイムが対象である。ゆえに、東京キー局の場合、1社平均で数十億円の減収が見込まれている。そうすると、番組制作費のカットは必定であるから、むしろ画一化、質の低下につながる危険が高い。広告放送時間を短くすれば番組内容の多様化・質の向上につながるとの考えは、あまりに短絡的で合理性を欠く。そして、違反の制裁としての免許の取消は、重すぎる。したがって、手段が目的のために実質的な合理的関連性を有するとはいえない。 よって、広告放送の自由(21条1項)を侵害するものとして違憲である。二 放送事業者に生じうる損害に対する賠償ないし補償 本問法律が施行され、放送事業者に損害が生じた場合、国に賠償(17条)または補償(29条3項)請求することができるか。 1 本問法律が違憲である以上、このような違憲の法律を制定した国会の立法行為は、国家賠償法上「違法」(1条1項)な「公権力の行使」にあたる。そして、損害との間に相当因果関係も認められる。 よって、放送事業者は、17条を具体化する国賠法1条1項により国に損害の賠償を請求することができる。 2 かりに、立法行為が適法とされた場合には、放送事業免許が与えられたことにより本来自由に行使できるはずの電波という「私有財産」の行使を制約し、もって「公共のため」に用いたことにより、損失が生じたといえる(29条3項)。 ここで、「正当な補償」とは、財産権保障(29条1項)と平等原則(14条1項)から、特別の犠牲を国家が補填する完全補償を意味する。また、具体的に発生した損失額を前提とする具体的請求権と考えられる。 したがって、29条3項により国に損失の補償を請求することができる。 以上[コメント]あるゼミで「法人の人権享有主体性は2行で十分。配点ないんじゃないか?」といわれていました。出題趣旨によると、行政立法により損害・損失が生じたばあいの賠償・補償の要否、という行政法の論点めいたことも論じさせたかったみたいですね。行政立法ではなく、まさに立法ですが。でも、ふれている再現答案は1通しかみていません。二は書かず、一だけでも十分な気がしました。
2007年07月08日
憲法H18-2【問題】 A市において,「市長は,住民全体の利害に重大な影響を及ぼす事項について,住民投票を実施することができる。この場合,市長及び議会は,住民投票の結果に従わなければならない。」という趣旨の条例が制定されたと仮定する。 この条例に含まれる憲法上の問題点について,「内閣総理大臣は,国民全体の利害に重大な影響を及ぼす事項について,国民投票を実施することができる。この場合,内閣及び国会は,国民投票の結果に従わなければならない。」という趣旨の法律が制定された場合と比較しつつ,論ぜよ。【答案】一 後段 1 この法律は、国民主権(前文、1条)に反しないか。 国民主権とは、本来、国民の憲法制定権力に由来する。 憲法成立後は、もっぱら、憲法にもとづいて運営される国政の正当性を根拠づける正当性の契機として機能し、国民が現実に国政のあり方を決定する権力を行使する権力性の契機としての側面は、憲法改正の国民投票(96条1項)の場合のみに局限される。 これは、間接民主政の原則(前文、43条1項)にもあらわれている。その趣旨は、統一的国家意思形成の技術的要請にもあるが、衆愚的なプレビシットを防ぐことにある。つまり、憲法成立後の国民主権は原則として投票箱と国会というチャンネルをつうじて現実化していくように定めたのである。 とすれば、国民投票の結果に国会が拘束されることは、憲法成立後は、権力性の契機を限定し、国民主権の具体的実現を間接民主政の原則にもとめたことに反する。 2 また、議院内閣制の趣旨に反しないか。 議院内閣制は、内閣の存立を国会の信任に基礎づけ、内閣が国会に責任を負い、内閣に対して国会をつうじて民主的に統制することを本質とする(責任本質説)。これは、国会の内閣総理大臣指名権(67条1項)、内閣の国会に対する連帯責任(66条3項)、衆議院の内閣不信任決議権(69条)、 内閣が「法律を誠実に執行」(73条1号)にあらわれている。 ところが、この法律は、国民投票の結果によって内閣を直接拘束することになる。しかし、国民には内閣を直接統制する直接的手段はない。国会の頭越しに内閣を統制することで、国会をつうじて内閣を統制する議院内閣制をひずませかねない。 したがって、議院内閣制にも反する。 3 さらに、内閣総理大臣の判断により、重要事項についての審議・議決権(41条)を国会から奪うことになる点でも違憲である。二 前段 1 本問条例は、住民自治(92条)に反しないか。 地方自治は、「地方自治の本旨」(92条)にもとづかなければならない。すなわち、国から独立した団体によって営まれるという団体自治と、その住民の意思にもとづいて行われるという住民自治を基本理念とする。 地方自治は、「民主主義の学校」といわれ、身近な政治に対する判断力を有する住民の意思を反映させるのが望ましく、それは中央政府における硬直化した間接民主政を補完する意義を有する。このような趣旨から、地方自治法では、住民の意思を条例制定や首長の解職に反映させる直接請求制度をおく(5章)。 これは国政には見られない制度である。 しかし、地方自治においても間接民主制が原則であり、基本的には、統一的意思形成の要請やプレビシット防止の必要は国政とかわらない。住民自治も原則として間接民主政により実現すべきと考えられる。だからこそ、「地方公共団体の組織及び運営に関する事項」(92条)を定める地方自治法は、議会を「議事機関」とする憲法93条1項を受けて、議決機関(89条、96条)としている。 したがって、住民投票の結果に議会に対する拘束力を与えるこの条例は、憲法が間接民主主義によって住民自治を実現しようとした原則に反する。また、それを受けて定められた地方自治法「・・・の範囲内」(94条)からも逸脱する。 2 地方公共団体の市長は、住民の直接選挙(93条2項)による大統領的首長である。また、住民は解職請求権(地方自治法81条1項) により市長に直接民主的統制を及ぼすことができる。 したがって、国政のばあいと異なり、この点では問題ない。 3 この条例が、市長の判断により、重要事項についての審議・議決権(93条1項)を議会から奪うことになる点でも違憲である。 以上(70行)
2007年07月03日
民法H18-1【問題】 Aは、Bに対し、A所有の甲絵画(時価300万円。以下「甲」という。)を200万円で売却して引き渡し、BはAに代金全額を支払った。Bは、その1か月後、Cに対し、甲を300万円で売却して引き渡し、CはBに代金全額を支払った。現在、 甲はCが所持している。AB間の売買は、Bの詐欺によるものであったので、Aは、Bとの売買契約を取り消し、Cに対し甲の返還を求めた。 1(1) Aの取消しがBC間の売買契約よりも前になされていた場合、AC間の法律関係はどうなるか。考えられる法律構成を2つ示し、両者を比較しつつ、論ぜよ。 (2) (1)の場合において、Cが甲をAに返還しなければならないとき、BC間の法律関係はどうなるか。 2 Aの取消しがBC間の売買契約よりも後になされた場合、AC間の法律関係はどうなるか。考えられる法律構成を2つ示し、両者を比較しつつ、論ぜよ。なお、これらの構成は、1 (1)で示した2つの構成と同じである必要はない。【答案】あらたに書いたのが、バグって2回消えました。論文までに書き直すことはないと思います。いちおう過去ログに去年書いたのがあります。http://plaza.rakuten.co.jp/ministory/diary/200607200000/
2007年07月03日
民法H18-2【問題】 Aは、B所有名義で登記されている建物( 以下「本件建物」という。)をBから賃借して引渡しを受け、本件建物で店舗を営んでいる。Aは、賃借に当たってBに敷金を支払い、賃料もBに遅滞なく支払ってきた。ところが、本件建物は、真実はBの配偶者であるCの所有であり、CがBに対し、Bの物上保証人として本件建物に抵当権を設定する代理権を付与し登記に必要な書類を交付したところ、Bが、Cに無断でB名義に所有権移転登記を経由した上、Aに賃貸したものであった。 以上の事案について、次の問いに答えよ(なお、各問いは、独立した問いである。) 。 1 Aが本件建物を賃借してから1年後に、Aは、その事実を知ったCから本件建物の明渡しを請求された。Aは、Cに対し、どのような主張をすることが考えられるか。 2 Aは、本件建物がBの所有でないことを知った後、Cに対してBとの賃貸借契約が当初から有効であることを認めてほしいと申し入れたものの、Cは、これを拒絶した。その後、Cが死亡し、BがCを単独相続したところ、Bは、Aが本件建物を賃借してから1年後に、Aに対し本件建物の明渡しを請求した。 (1) Aは、Bに対し、BがCを単独相続したことを理由に本件建物の明渡しを拒絶することができるか。 (2) 仮に(1)の理由で明渡しを拒絶することができないとすれば、AはBに対し、どのような主張をすることができるか。特に敷金の返還を受けるまで本件建物の明渡しを拒絶すると主張することができるか。 小 問 1 AB間の賃貸借契約(601条)は、他人物賃貸借であるから、債権的には有効(560条参照)だが、所有者Cが追認をせず、明渡し請求してきた本問では、AはCに賃借権を対抗して拒むことができないのが原則である。 そこで、明渡し請求を拒むため、Aがどのような主張をすることが考えられるか。 1 抵当権設定代理権を基本代理権とする表見代理 Aは、Cに対し、まず、CがBに与えた本件建物に抵当権を設定する代理権を基本代理権とする表見代理(110条)の成立により、賃貸借契約は有効にCに帰属すると主張することが考えられる。 しかし、Bは、本件契約を自分が貸主として契約している。したがって、表見代理の主張は認められない。 2 日常家事債務またはその類推適用 (1)Aは、761条による賃貸借契約のCへの帰属を主張することが考えられる。 761条は日常家事債務にかんし夫婦に相互代理権を与える趣旨である。ところが、不動産の賃貸借のような処分は通常、「日常家事」(761条)の範囲を超える。よって、761条により賃貸借契約の効果がCに帰属するとの主張は、認められない。 [(2)次に、761条の夫婦間の相互代理権を基本代理権とする表見代理(110条)の主張も、夫婦別産制(762条)を害するので、認められない。 (3)さらに、取引安全の見地から761条・110条の類推適用という法律構成の主張が考えられる。すなわち、夫婦の財産、職業、社会的地位等からみて当該契約が「日常家事」の範囲に属すると信ずるにつき「正当な理由」があるときにかぎり、761条・110条の趣旨により「第三者」を保護される。本問Aがこれにあたるという主張である。 しかし、不動産の処分が「日常家事」にあたる「正当な理由」はいっぱんに考えにくく、Aの主張は認められない。] 3 94条2項と110条類推適用 (1)次に、本件では、B名義の虚偽登記についてBC間の通謀はないので、94条2項の適用を主張することはできない。 (2)もっとも、94条2項類推適用を主張することが考えられる。 すなわち、同条項は、虚偽の外観を信頼した者を保護する権利外観法理の規定である。そこで、 1)虚偽の外観があり、 2)その作出につき、真の権利者に「通謀」にかわる帰責性があり、 3)第三者が外観を信頼した場合には、第三者を保護すべきである。この場合、真の権利者に帰責性があることから、第三者の無過失は不要である。 しかし、登記手続きに必要な書類を預けたことを、いかなる登記の変更にも帰責性ありとしてしまうのは行き過ぎである。CがBの物上保証人となるために自己所有の本件建物の抵当権設定に必要な書類を交付したことを B名義の所有権登記という虚偽の外観作出の帰責性とすることはできない。 したがって、Aの主張は認められない。 小 問 2(1) 1 処分権限のないBが貸主としてAとむすんだ本件建物賃貸借契約は、他人物賃貸借(601条、559条、560条)である。 その後、他人物貸主Bが建物所有者Cを単独相続することにより、Cの地位もBに帰属したことになる。そこで、Aは、単独相続によりBに本件賃貸借の処分権が追完されたとして、明渡しを拒絶することができるか。 2 Cは生前すでに追認を拒絶しており、それをBが主張することは、信義則に反する特段の事情のないかぎり認められると解する。追認拒絶後の単独相続という偶然の事情で法的安定性がゆらぐのは妥当でないからである。 したがって、Bに信義則に反する特段の事情のないかぎり、Aは明渡しを拒絶することはできない。 小 問 2(2) 1 敷金返還請求権との同時履行の抗弁 Aは、明渡しを拒絶できないとき、敷金の返還を受けるまで本件建物の明渡しを拒絶すると主張することができるか。 敷金は、建物明渡し時までの賃料・原状回復費等を担保するものである。そうすると、明渡し時にはじめて具体的な返還請求権が発生し、敷金の返還と建物明渡しとは同時履行の関係にはない。したがって、このような主張はできない。 2 留置権の主張 敷金返還請求権が具体的に発生していない以上、これを被担保債権とする留置権の主張は認められない。 3 Aは、Bに対し、損害賠償請求(559条、561条)をすることができる。 以上[コメント] [ ] をつけた [小問1 2(2)(3)] は、たぶん省略します。
2007年06月28日
商法H18-1【問題】 Aは,個人で営んできた自動車修理業を会社形態で営むこととし,友人Dにも出資してもらい,甲株式会社を設立した。甲社は,取締役会及び監査役は置くが,会計参与及び会計監査人は置かないものとされ,取締役には,Aのほか,以前からAに雇われていた修理工のB及びCが選任されるとともに,監査役には,Aの妻Eが選任され,また,代表取締役には,Aが選定された(以上の甲社成立までの手続には,何ら瑕疵はなかった。)。 ところが,甲社では,取締役会が1回も開催されず,その経営は,Aが独断で行っていた。そのため,Aは,知人Fから持ち掛けられた事業拡張のための不動産の購入の話にも安易に乗ってしまい,Fに言われるまま,手付名目で甲社の資金3000万円をFに交付したところ,Fがこれを持ち逃げして行方不明となってしまい,その結果,甲社は,資金繰りに窮することとなった。 1 甲社の株主であるDは,A,B,C及びEに対し,会社法上,それぞれどのような責任を追及することができるか。 2 AがFに3000万円を交付する前の時点において,この事実を知った甲社の株主であるD及び監査役であるEは,Aに対し,会社法上,それぞれどのような請求をすることができたか。 【答案】 小 問 1 1 代表取締役Aに対する責任追及 (1)Aが、独断で知人Fと不動産購入の取引にはいり、甲社の資金3000万円を交付したことは、任務懈怠(423条1項)にあたるか。 3000万円は甲社をして資金繰りに窮させる金額なので、交付には「重要な財産の処分」にかんする取締役会決議を要する(362条4項1号)。そうすると、Aの独断専行は、善管注意義務(330条、民法644条)、忠実義務(355条)に違反する任務懈怠(423条1項)にあたる。 その結果、Fに3000万円を持ち逃げされるという「損害」が生じた。 よって、Dは、甲社に対し、Aの損害賠償責任(423条1項)を追及する訴えを提起するよう請求できる(847条1項本文)。また、要件をみたせば自ら代表訴訟により責任を追及できる(同条4項)。 (2)Dは、Aに対し、429条1項の損害賠償責任を追及することができるか。 同条項の趣旨は、株式会社の活動が役員等に依存し、社会的影響が大きいことから、役員等の責任を加重し、第三者を保護することにある。そこで、「悪意又は重大な過失」は、第三者の損害についてでなく、任務懈怠についてあれば足り、「損害」は、直接損害にかぎらず、間接損害もふくむ。また、「第三者」には、間接損害を受けた株主もふくむ。 Aの独断専行は、任務懈怠について「悪意又は重大な過失」が認められる。会社の窮迫のために株主Dに生じた株価の下落といった間接損害なども「損害」にあたる。そして、株主Dも「第三者」にあたる。 したがって、Dは、Aに対し、責任追及できる(429条1項)。 (3)Dは、Aを株主総会決議により解任するという手段で経営責任を追及することができる(339条1項)。 そして、法定の要件を満たせば、解任の訴えにより同責任を追及することができる(同条4項)。 2 取締役B・Cに対する責任追及 (1)B・Cは、取締役会の構成員たる取締役(362条1項)として、Aの業務執行を監督する職責を負う(362条2項)。ところが、B・Cは、甲社では1度も取締役会が開かれていなかったのに、取締役会の招集を請求(366条1項)せず、Aの独断経営を放置した。そして、Aの独断をゆるし、3000万円の持ち逃げを防げなかった。よって、任務懈怠が認められる。 したがって、Dは、甲社に対し、B・Cに損害賠償責任(423条1項)を追及する訴えを提起するよう請求できる(847条1項本文)。また、要件をみたせば自ら代表訴訟によりB・Cの責任を追及できる(同条4項)。 (2)Dは、B・Cに対し、その任務懈怠によって自己に生じた損害の賠償責任を追及できる(429条1項)。 (3)Dは、B・Cを株主総会決議により解任するという手段で経営責任を追及できる(339条1項)。 そして、法定の要件を満たせば、解任の訴えにより同責任を追及できる(同条4項)。 3 監査役Eに対する責任追及 (1)Eは、監査役としてAら取締役の職務の執行を監査し、その適正を図るべき職責がある(381条)。 ところが、Eは、甲社では1度も取締役会が開かれていなかったのに、取締役会の招集を請求(383条1項)しなかった。そして、Aの独断をゆるし、3000万円の持ち逃げを防げなかった。よって、任務懈怠が認められる。 したがって、Dは、甲社に対し、Eに損害賠償責任(423条1項)を追及する訴えを提起するよう請求できる(847条1項本文)。また、要件をみたせば自ら代表訴訟によりEの責任を追及できる(同条4項)。 (2)Dは、Eに対し、その任務懈怠によって自己に生じた損害の賠償責任を追及できる(429条1項)。 (3)Dは、Eを株主総会決議により解任するという手段で責任を追及できる(339条1項)。 そして、法定の要件を満たせば、解任の訴えにより同責任を追及できる(同条4項)。 4 名目取締役・監査役 なお、BCは、以前からAに雇われていた修理工であり、名目取締役である。また、EはAの妻であり、名目監査役といわざるをえない。としても、「取締役」「監査役」に選任された以上、上記責任を免れない。 小 問 2 金銭交付前の場合 1 株主DのAに対する請求 (1)Aが、取締役会に諮らずに、本件不動産購入を独断で決めたことは、「法令に違反する行為」(360条1項)にあたる。そして、会社資金3000万円が流出すれば、会社は資金繰りに窮することになり、「著しい損害が生ずるおそれ」がある。したがって、Dは、法定の要件を満たせば、Aの行為の差止請求ができる(360条1項)。 (2)次に、Dは、Aが「法令に違反する行為」をしたことを理由に取締役会の招集を請求できる(367条1項)。 2 監査役EのAに対する請求 (1)Eは、Aが「法令に違反する行為」をし、会社に「著しい損害が生ずるおそれがある」ので、Aに対し、行為の差止請求ができる(385条1項)。 (2)また、次に、Dは、Aに「法令に違反する事実」(382条)があることを理由に取締役会の招集を請求できる(383条2項)。 以上
2007年06月26日
商法H18-2【問題】 大阪市内で電化製品販売業を営むY株式会社の代表取締役Aは,デジタルカメラの某人気機種を安値で大量に調達しようと考え,何度か取引をしたことのある「東京都内に本店のあるZ株式会社の大阪支店営業部長甲山一郎」と自称する人物(以下「B」という。)に対し,売主を探してきてほしい旨の依頼をしたところ,Bから,「Y社振出しの約束手形を所持していると仲介者として行動しやすい。売主との話がついたら返すから,取りあえず貸してほしい。」と言われたため,取引銀行から交付されていた統一手形用紙を用いて,その振出人欄に「Y社代表取締役A」と記名して銀行届出印ではない代表者印を押捺し,手形金額欄に「3,000,000円」と記入したものを,受取人欄,満期欄及び振出日欄を空白にしたまま,Bに交付した。 ところが,Bは,その受取人欄に「Z社大阪支店」と記入して満期欄と振出日欄も補充し,裏書人欄に「Z社大阪支店長甲山一郎」と記名捺印した上,これを割引のため金融業者Xに裏書譲渡し,その割引代金を持ったまま姿をくらました。その後の調査により,東京都内にZ社は実在するものの,同社には,大阪支店はなく,甲山一郎という氏名の取締役や従業員もいないことが判明した。 XがY社に対して手形金の支払を請求した場合,この請求は認められるか。【答案】 1 形式的資格 XのY社に対する手形金支払請求が認められるか。 (1)所持人Xに「裏書の連続」(77条1項1号、16条1項)による形式的資格がは認められるか。 (2)裏書人欄の「Z社大阪支店長甲山一郎」は、受取人欄の「Z社大阪支店」が代表関係を表示して署名したものであるから、まったく問題はない。 (3)Z社には大阪支店は実在せず、甲山一郎という取締役や従業員も存在しない。しかし、裏書の連続の有無は手形流通促進の見地から外形にしたがって判断するので、その不在は、裏書の連続をさまたげるものではない。 (4)よって、Xには、裏書の連続による形式的資格が認められる。 2 見せ手形 (1)AはBに見せ手形を求められて交付したにすぎず、手形債務負担の意思はない。そこで、手形債務は発生していないのではないか。 (2)手形行為も法律行為であるので、振出しによる交付契約によって手形債務は発生する。そうすると、Aは手形債務負担の意思により振出交付したわけではないので、手形債務は発生していない。 3 白地手形 もっとも、Y社代表取締役AからBに交付された手形は、受取人欄・満期欄及び振出人欄(75条5号・3号・6号)が空白であるものの、商慣習法上認められる白地手形として有効に振出されたかにも見える。 (1)そこで、白地手形と手形要件を欠く無効手形との区別が問題となる。 (2)両者は、外観上区別がつかない。そこで、白地補充権が与えられている場合に白地手形になるとして区別すべきである(主観説)。 (3)Aは、Bが仲介者として行動する便宜のために手形を交付したにすぎず、白地補充権は与えていない。したがって、白地手形ではなく、無効手形である。 4 権利外観法理 以上からすれば、本件手形は、手形要件を欠く無効手形であり、振出し交付による債務の発生もない。 しかし、白地手形として有効に振出された外観があるので、これをつらぬくと高度の流通証券である手形の取引安全を害し、妥当でない。そこで、権利外観法理によって所持人を保護すべきである。 (1)そこで、 1)虚偽の外観があり、 2)その作出につき手形債務者たるべき者に帰責性があり、 3)外観の虚偽につき手形権利者が善意無重過失で取得したときは、手形債務者は外観どおりの責任を負うと解する(77条2項、10条類推)。 (2)本問では、1)白地補充権のないBが補充することで有効な手形の外観がある。2)Y社代表取締役Aが統一手形用紙の振出人欄に記名押印して交付したのだから、Y社には帰責性がある。 しかし、Xは金融業者であり、手形割引はお手のものである。その後、Z社大阪支店や甲山一郎の不存在が判明しており、その調査能力をもってすれば、手形取得時に、見せ手形、無効手形であることを容易に知りえたはずである。したがって、Xは、善意ではあるが、重過失が認められる。 以上より、Xは権利外観法理によって保護されず、XがY社に対して手形金の支払を請求した場合、この請求は認められない。 以上
2007年06月26日
刑法H18-1【問題】 病院長である医師甲は,その病院に入院中の患者Xの主治医Aから,Xに対する治療方法についての相談を受けた。 Xに対して恨みをもっていた甲は,特異体質を持つXに特定のある治療薬を投与すれば副作用により死に至ることを知っていたことから,Aをしてその治療薬をXに投与させてXを殺害しようと考えた。そして,甲は,Aが日ごろから研修医乙に患者の検査等をすべて任せて乙からの報告を漫然と信用して投薬を行っていることを知っており,かつ,乙がAの指導方法に不満を募らせていることも知っていたので,AにXの特異体質に気付かせないままその治療薬を投与させるため,乙を仲間に引き入れることにした。 そこで,甲は,乙に対し,「Xに特異体質があるので,特定のある治療薬を投与すれば,Xは,死に至ることはないが,聴力を失う。」旨うそを言い,Aの治療行為を失敗させることによってAの信用を失わせようと持ち掛けた。すると,乙は,これを承諾し,甲に対し,「AからXの検査を指示されたときは,Aに『Xに特異体質はない。』旨うその報告をする。」と提案し,甲は,これを了承した。 その上で,甲は,Aに対し,その治療薬を投与してXを治療するよう指示した。そこで,Aは,乙に対し,Xの特異体質の有無について検査するよう指示したが,乙は,Xに対する検査をしないまま,Aに対し,「Xを検査した結果,特異体質はなかった。」旨報告した。 Aは,本来,自らXの特異体質の有無を確認すべき注意義務があり,もし,AがXの特異体質の有無を自ら確認していれば,Xの特異体質に気付いて副作用により死に至ることを予見し,その投薬をやめることができた。しかし,Aは,実際には,その確認をせず,軽率にも乙の報告を漫然と信用したため,Xの特異体質に気付かないまま,Xに対し,その治療薬を投与してしまった。その結果,Xは,副作用に基づく心不全により死亡した。 甲及び乙の罪責を論ぜよ(ただし,特別法違反の点は除く。)。 【答案】第一 甲の罪責 1 甲が、乙と通じて、Aをして特異体質を持つ患者Xに特定の治療薬を投与させ、その副作用でXを心不全で死亡させた行為につき、殺人罪(199条)が成立するか。 (1) 甲は、Aが日ごろから研修医乙に患者の検査等をすべて任せて乙からの報告を漫然と信用して投薬を行っていることを知っていた。にもかかわらず、乙とつうじて「Xには特異体質はない」とAに信じこませた。その結果、甲の意図したとおり、Aは投薬し、Xは副作用で死亡した。 そうすると、甲の一連の行為には、Aを意図のまま道具として利用していることから、殺人罪の間接正犯の実行行為性が認められる。 ここで、Aは本来自らXの特異体質の有無を確認すべき注意義務があり、それを怠ったために指示通りに投薬してしまったという過失があり、業務上過失致死罪(211条1項)が成立する。しかし、他人の過失行為も支配可能であるから、甲には、道具であるAの過失行為を利用した間接正犯の実行行為性があるといえる。 (2)次に、甲の行為とA死亡の結果との間に因果関係が認められるか。 因果関係は、帰責の範囲を適正化するため、条件関係の存在を前提として、当該行為から当該結果の発生が相当であるときに認められる。そして、因果関係は客観的帰責の問題なので、行為時に存する全事情と一般に予測される行為後の事情を基礎事情とすべきと考える。 本問では、特異体質の患者Xに特定の投薬をすれば副作用によって死に至ることが基礎事情となる。そうすると、甲の行為からAの死亡の結果の発生は相当であるといえるから、因果関係が認められる。 (3)甲には、X殺害の構成要件的故意(38条1項)がある。 (4)よって、Xに対する殺人罪(199条)の間接正犯が成立する。 2 甲が、乙とつうじて、Aに「Xには特異体質はない」と信じこませ、投薬によるXの死亡に仕向けた行為につき、殺人罪の共同正犯(60条)が成立するか。 (1)乙には、「投薬によりXは聴力を失う」という傷害罪(204条)の故意しかない。そこで、ことなる構成要件間で共同正犯が成立するか。 共同正犯とは、「犯罪」を「共同」することであるから、ことなる構成要件間では原則として成立しないが、実質的に重なり合う場合には成立しうる(部分的犯罪共同説)。 殺人罪と傷害罪では、生命・身体の安全を保護法益とし、これを侵害する行為である点で実質的に重なり合っており、共同正犯が成立する。 (2)よって、後述する乙の傷害致死罪(205条)とのあいだでXに対する殺人罪の共同正犯(60条、199条)が成立する。 3 まとめ 以上、甲には、Xに対する、Aを利用した殺人罪の間接正犯(199条)と、乙とのあいだでの殺人罪の共同正犯(60条、199条)が成立する。両罪は、Aの生命という同一法益を対象とし、行為も重なっており、殺人罪(199条)包括一罪として評価される。第二 乙の罪責 乙が、甲と通じて、Aに『Xに特異体質はない。』旨うその検査報告をし、その結果、AをしてXに副作用の生じる投薬をさせ、Xを死亡させた行為につき、 1 まず、殺人罪(199条)は成立しない。乙には、殺人罪の構成要件的故意を欠くからである。 2 では、傷害致死罪(205条)の共同正犯(60条)が成立するか。 (1)甲の殺人罪ということなる構成要件間であっても、すでに見たとおり共同正犯は成立しうる。 (2)傷害致死罪は結果的加重犯である。そこで、結果的加重犯の共同正犯も成立するか。 思うに、結果的加重犯は、基本犯に加重結果発生の危険があるので重く処罰される。とすれば、基本犯の共同行為と加重結果に相当因果関係があるかぎり、結果的加重犯の共同正犯が成立する。 本問では、甲乙が共謀して、Xに対する傷害の共同行為を行っている。そして、共同行為とX死亡の結果と間に相当因果関係が認められる。そうすると、傷害致死罪の共同正犯が成立しうる。 (3)乙は、甲から投薬によりXが聴力を失うと聞かされたのに、Aの治療行為を失敗させることによってAの信用を失わせようと甲に加担したので、傷害罪の構成要件的故意(38条1項)がある。 (4)よって、Xに対する傷害致死罪(205条)が成立し、同罪の限度で甲と共同正犯となる。 以上[コメント]ブログをはじめて1年たちました。みなさん、いつもありがとうございます。答案はほとんど書きかえました。スッキリ構成するのがほねおりです。画像は、児島惟謙先生。
2007年06月24日
刑法H18-2【問題】 甲は,Xが個人として経営する電化製品販売店Y店舗において,同店舗の商品管理その他業務全般を統括する店長乙に対し,不正に取得した信販会社A発行で名義人Bのクレジットカードを使用する正当な権限がないのに,これがあるように装って同カードを呈示し,30万円のパーソナルコンピュータ1台の購入を申し込み,B名義で売上票に署名し,これを乙に渡した。 乙は,売上票を受け取った後,甲がBとは別人であって甲に同カードを使用する正当な権限がないことに気付いた。しかし,乙は,低迷しているY店舗の販売実績を上げるとともに店長としての地位を保とうと思い,甲に対する売上げを同カードによる正規の売上げとして処理することに決め,そのパーソナルコンピュータを甲に引き渡した。 そして,乙は,信販会社Aの担当者Cに対し,B名義の署名のある売上票を送付して,甲に対する売上げは同カードを使用する正当な権限のない者に対する売上げであるのに,同カードを使用する正当な権限のある者に対する売上げであるように装い,代金の立替払を請求し,その旨誤信したCをして,信販会社A名義の普通預金口座からX名義の普通預金口座に30万円を振り込ませた。 甲及び乙の罪責を論ぜよ(ただし,特別法違反の点は除く。)。【答案】一 甲の罪責 1 詐欺罪について (1)甲がB名義のクレジットカードを不正使用してX経営のY店舗から30万円のパーソナルコンピュータ1台を取得した行為について、詐欺罪(246条1項)が成立するか。 (2)詐欺罪が成立するには、意思表示の瑕疵を中核とする騙取罪たる本質から、 1)欺罔行為により、 2)相手方をして錯誤におちいり、 3)処分行為をさせ、 4)その結果、財産上の損害が発生する必要がある。 (3)ア まず、甲が、Y店店長乙に対し、不正に取得した信販会社A発行で名義人Bのクレジットカードを使用する正当な権限がないのに、これがあるように装って同カードを呈示し、30万円のパソコン1台の購入を申し込み、B名義で売上票に署名し、これを乙に渡した行為は、1)欺罔行為といえる。 イ 次に、錯誤におちいった加盟店が商品を交付する行為が、3)処分行為にあたる。そして、加盟店が錯誤におちいらなければ交付しなかった商品を交付したことが、4)財産上の損害である。 この点、加盟店は信販会社から立替払いを受けることから、加盟店には損害はないとし、被欺罔者及び処分行為者は加盟店だが、被害者は信販会社であり、信販会社に対する2項詐欺罪(246条2項)が整理するとの立場も考えられる。しかし、錯誤におちいらなければ交付しなかった商品の交付により、商品に対する加盟店の占有が害されていることから、商品喪失を財産上の損害、加盟店を被害者と考えるのが自然である。このように考えれば、既遂時期は商品交付時と早くなり、取り締まりの見地からも妥当である。 ところが、本問では、乙は、売上票を受け取った後、甲がBとは別人であって甲に同カードを使用する正当な権限がないことに気付いたので、2)錯誤はない。したがって、これにつづいて甲にパソコンを引き渡したことも、3)錯誤による処分行為、4)財産上の損害とはいえない。 よって、Xに対する詐欺未遂罪(250条、246条1項)が成立する。 2 有印私文書罪について 甲が、売上票という「事実証明に関する文書」を無権限でB名義で作成し、これを乙に交付した行為につき、順次、有印私文書偽造同行使罪(159条1項、161条1項)が成立する。 3 結論 以上、甲には、1)詐欺未遂罪(250条、246条1項)、2)有印私文書偽造罪(159条1項)、3)同行使罪(161条1項)が成立する。 2)は3)の「手段」であるから、この2者は牽連犯(54条1項後段)となる。これは1)の欺罔行為を構成するので、1)と2)3)の牽連犯とは観念的競合(54条1項前段)となる。二 乙の罪責 1 業務上横領罪または背任罪について (1)乙がカード不正使用客である甲に対してパソコンを引き渡した行為について、業務上横領罪(253条)と背任罪と(247条)のいずれが成立するか。 (2)横領罪は委託信任関係に基づく占有を要件とし、背任罪は信義誠実義務違反を本質とする。両者は背信性という点で共通しており、その区別が問題となる。 横領とは、不法領得の意思の発現行為であるから、権限逸脱行為をいう。これに対して、権限濫用行為は、その効果がいちおう本人に及ぶのであるから、不法領得の意思の発現である横領とはいえず、背任となる。 (3)乙は、Y店の商品管理その他業務全般を統括する店長として、商品を処分する権限を有する。とすれば、乙の行為は権限濫用行為にあたるとも思われる。しかし、甲がBと別人と気づきながらパソコンを引き渡すことは、もはや店長としての業務を統括する権限の趣旨を逸脱しているから、横領に擬すべきである。 そして、店長である乙は、「業務上」「他人の物」を「占有」している。 よって、Xに対する業務上横領罪(253条)が成立する。 2 詐欺罪について (1)乙が、甲に対する売上げ票をA信販会社に送付し、代金の立替払金300万円を振り込ませた行為につき、詐欺罪(246条)が成立するか。 (2)まず、乙が、Aの担当者Cに対し、B名義の署名のある売上票を送付して、甲に対する売上げは同カードを使用する正当な権限のない者に対する売上げであるのに、同カードを使用する正当な権限のある者に対する売上げであるように装い、代金の立替払を請求した行為は、1)欺罔行為にあたる。 これにより、2)Cはその旨誤信して、3)X名義の口座に300万円を振り込んだ。 (3)ここで、口座名義人Xが預金払戻債権という「財産上不法の利益」(246条2項)を得たかに見えるが、預金はいつでも引き出せ、現金(246条1項「財物」)を得たのと同視できるから、Aに対する詐欺罪(246条1項)が成立する。3 結論 以上、乙には、1)業務上横領罪(253条)、2)詐欺罪(246条1項)が成立する。両者は、「確定判決を経ていない二個以上の罪」として、併合罪(45条前段)となる。 以上(88行)[コメント]乙を横領にかえました。背任に誘導する問題と思ったんですが。背任の答案は、過去ログ(H18.7)です。いま見ると難点いっぱいです。横領を成立させるなら横領だけの検討でもよいという意見もありますが、船山せんせいは「横領か背任かは考えたい」といわれてます。口座入金を1項罪にするのは、地裁裁判例です(浦和地判平4.4.24)。
2007年06月24日
民事訴訟法H18-1【問題】 訴状の必要的記載事項の趣旨を明らかにした上で,その不備を理由とする訴状の却下について,その裁判の形式と効果を踏まえて,説明せよ。 【答案】 1 訴状の必要的記載事項の趣旨 (1)訴状の必要的記載事項は、 1)当事者および法定代理人(133条1項1号) 2)請求の趣旨(同2号) 3)請求の原因(同3号) である。 (2) 1)の趣旨 当事者とは、判決の名宛人となるべき者をいう(形式的当事者概念)。 当事者は、管轄(4条)、除斥(23条1項)、忌避(24条)、回避(規則12条)、重複起訴の禁止(142条)、訴状の送達(138条1項)などの基準になる。したがって、当事者は、訴訟手続がスタートする訴状の提出(133条1項、訴えの提起)の段階で明確でなければならない。 被告に訴状が送達されると(138条1項)、二当事者対立構造が形成されるので、その時点で訴訟が成立する(訴訟係属)。 そして、訴訟手続のゴールは、確定判決の既判力による紛争の解決である。既判力は、原則として「当事者」にのみおよぶ(115条1項1号)。なぜなら、紛争解決には通常それで十分であるし、手続保障が与えられたことによる自己責任として正当化されるからである。 そうすると、既判力がおよぶ当事者は、訴訟手続のスタートから明確で、手続保障が与えられていなければならない。これが、当事者が訴状の必要的記載事項である趣旨である。 ここで、当事者に訴訟能力がない場合は、法定代理人が当事者の身代わり的立場で訴訟を追行することになる。これは、当事者の保護と訴訟の便宜のためである。法定代理人は、既判力のおよぶ当事者ではないが、当事者に代わって訴訟追行するものとして、訴訟の開始時点で明確でなければならない。 よって、法定代理人がいる場合には、訴状の必要的記載事項となる。 (3) 2)の趣旨 請求の趣旨とは、原告がいかなる判決の主文を求めるかの記載をいう。 たとえば、「被告は原告に金100万円及びこれに対する支払済までの年5分の利息を支払え。との判決を求める。」との記載をいう。 民事訴訟は実体法上私的自治の妥当する私人間の紛争であることから、法は、訴訟上も自己の権利をいかなる範囲でどのように実現するかを原告の意思にゆだねている(処分権主義)。そして、請求の趣旨と原因があいまって「訴訟物」が特定されることになる。 これによって、裁判所に審判対象が提示される。また、裁判所は、原告の申立てた範囲をこえて判決できない(246条、不告不理の原則)。被告に対する関係でも、防御の範囲を示して手続保障をあたえ、既判力のおよぶ客観的範囲(114条1項)を画することにもなる。 そのため、訴訟手続のスタートから明確でなければならないから、訴状の必要的記載事項となっている。 (4) 3)の趣旨 請求の原因は、請求の趣旨とあいまって「訴訟物」を明確にするものである。 すなわち、請求の趣旨が訴訟物たる抽象的な権利義務ないし法律関係であることから、その根拠となった事実を示して、具体的な主張立証の対象となる訴訟主題を明らかにする必要がある。これにより、たとえば、訴訟物は「甲乙間の本件売買契約にもとづく金100万円の代金請求権」というふうに特定される。これも、訴訟手続のスタートから、裁判所に審判対象を明示し、被告に防御の範囲を明確にして手続保障をあたえる必要から、訴状の必要的記載事項となっている。 2 その不備を理由とする訴状の却下 (1)裁判の形式 訴状審査をした裁判長の、命令による却下である(137条2項)。 (2)効果 訴えの提起(133条1項)が遡及的に無効となる。したがって、時効中断効(民法147条1号)は生じない。 本案に対する判断である判決とことなり、既判力は生じない。手続保障が与えられていないし、そもそも訴訟の成立すら存しないからである。 以上
2007年06月22日
民事訴訟法H18-2【問題】 株式会社Xは,Yとの間で中古の機械を代金300万円で売り渡す旨の契約(以下「本件売買契約」という。)を締結し,当該機械をYに引き渡したが,Yが代金の支払をしないと主張して,Yに対し,本件売買契約に基づき代金300万円の支払を求める訴えを提起した。 この事例に関する次の各場合について答えよ。 1 Yは,第1回口頭弁論期日において,(1)「Xとの間で本件売買契約を締結したことは認めるが,契約締結後に当該機械の性能では購入の目的を達成することができないことが判明したから,本件売買契約は錯誤により無効である。」と主張した。ところが,第2回口頭弁論期日において,Yは,(2)「Xと本件売買契約を締結したのはYではなく,Yが代表取締役をしている株式会社Zである。」と主張した。 Yの(1)及び(2)の各主張の訴訟上の意味を明らかにした上で,(2)の主張の訴訟法上の問題点について論ぜよ。 2 Yが,第1回口頭弁論期日において,「Xと本件売買契約を締結したのはYではなく,Yが代表取締役をしている株式会社Zである。」と主張したため,Xは,Yに対する訴えを取り下げた。その上で,Xは,改めてZを被告として同様の訴えを提起したところ,Yは,Zの代表取締役として,「Xと本件売買契約を締結したのはYであり,Zではない。」と主張した。 裁判所は,Zの主張をどのように取り扱うべきか。 【答案】 一 小問1 1 Yの各主張の訴訟上の意味 (1) (1)の主張は、被告Yが、原告Xの主張する、XY間での本件売買契約の締結および当該機械の引渡しの事実の主張をみとめた上で、機械の性能を理由とする契約の錯誤無効を主張するものである。 本問の訴訟物は、売買契約にもとづく代金支払請求権であり、その請求原因事実である売買契約の締結は、かかる事実が認められることによって利益をえる原告Xが立証責任を負う。 そうすると、(1)の主張は、相手方原告が立証責任を負う事実の主張をみとめた上で、これと両立する権利発生の障害となる事実を主張して、請求を拒絶しようとするものであるから、「抗弁」にあたる。 (2)(2)の主張は、被告Yが、原告Xの主張する、XY間の売買契約の事実を否定し、同契約をXZ間で締結されたと主張するものである。 そうすると、相手方の主張にかかる、相手方原告が立証責任を負う事実を否定した上で、これとは両立しえない事実を主張するものであるから、「積極否認」にあたる。 2 (2)の主張の訴訟法上の問題点 (1)(2)の主張は、先行する(1)の主張で認めたXY間の本件契約の事実を否定するものである。とすれば、「自白の撤回」にあたり許されないのではないか。 (2)ここで、「自白」とは、相手方が立証責任を負う主要事実につき、口頭弁論期日等において承認することをいう。 本件契約成立の事実は、訴訟物である本問売買契約にもとづく金銭支払請求権の請求原因事実であり、上述のとおり原告Xが立証責任を負う。そうすると、Yが、(1)の主張において本件契約成立の事実を前提とする抗弁を提出したことは、訴訟上の自白にあたる。 (3)自白の撤回は、自己責任と禁反言により、原則として許されない。もっとも、 1)相手方の同意があるばあい、 2)詐欺・脅迫など相手方又は第三者の犯罪行為によって自白したばあい、 3)錯誤にもとづき真実に反する自白をしたばあいは、例外的に許される。 本問では、1)・2)にあたる事情はない。したがって、3)にあたらないかぎり、自白の撤回は許されない。 よって、自白の成立した「XY間での本件売買契約」の事実は、不要証となり、裁判所は同事実を前提として判断しなければならない(179条前段)。 二 小問2 1 Yは、前訴において、Xと本件売買契約を締結したのは「Yではなく、Yが代表取締役をしているZ社」と主張しておきながら、後訴では、Zの取締役たる立場から、「Zではなく、Y」と主張する。 そこで、裁判所は、Zの主張をどのように取り扱うべきか。信義則(2条)に反し許されないのではないか。 2 信義則は、法の形式的適用が不当な場合、これを修正し、妥当な結論を導くものである。しかし、一般規定であり不明確であることから、1)矛盾挙動の禁止、2)権利濫用の禁止、3)権利失効の原則、4)訴訟状態の不当形成の排除、に類型化すべきである。 3 本問では、矛盾挙動の禁止にあたらないか。 (1) 4)矛盾挙動の禁止といえるには、(1)同一主体の前後の言動が矛盾すること、(2)相手方において先の挙動を信頼したことが保護に値すること、が必要である。 (2)本問では、前訴ではYは被告として、後訴では当事者Zの代表取締役として主張しており、(1)同一主体とはいえない。また、XはYの主張を受けて前訴を取り下げたが、Y主張にかかる事実の真否については主張立証がつくされておらず、Xがみずからの判断で取り下げたにすぎない。そうすると、Xの信頼はいまだ保護に値するとはいえない。 (3)以上より、矛盾挙動の禁止にはあたらない。 したがって、もしXからZの主張が矛盾挙動の禁止にあたるとの主張があったとしても、裁判所は、それにはあたらないものとして取り扱うことになる。 以上 (60行)
2007年06月22日
刑事訴訟法 平成18年第1問【問題】 警察官Aは,甲に対する覚せい剤譲渡被疑事件につき,捜索場所を甲の自宅である「Xマンション101号室」,差し押さえるべき物を「取引メモ,電話番号帳,覚せい剤の小分け道具」とする捜索差押許可状を得て,同僚警察官らとともに,甲宅に赴いた。 玄関ドアを開けた甲に,Aが捜索差押許可状を呈示して室内に入ったところ,その場にいた乙が,テーブル上にあった物をつかみ,それをポケットに入れると,ベランダから外に逃げ出した。これを見たAらは,直ちに乙を追い掛け,甲宅から300 メートルほど離れた路上で転倒した乙に追い付いた。Aは,乙に対しポケット内の物を出すように要求したが,乙がこれを拒否したため,その身体を押さえ付けて,ポケット内を探り,覚せい剤粉末が入ったビニール袋を発見した。Aは,乙を覚せい剤所持の現行犯人として逮捕し,その覚せい剤入りビニール袋を差し押さえた。 以上の警察官の行為は適法か。 【答案】 1 Aが覚せい剤粉末入りビニール袋を発見した行為 (1)この行為は、甲宅から300メートルほど離れた路上で行われている。そこで、捜索場所を「Xマンション101号室」とする本問令状の執行として適法か。 乙は、令状の執行開始後、テーブル上にあった物をポケットに入れてベランダから逃げ出したので、捜索場所内にあった「差し押えるべき物」(219条1項)を隠匿したとの合理的疑いを生じさせる。 したがって、Aらが直ちに乙を追いかけ、持ち出した物の捜索をしようとしたことは、令状執行の実効性確保のため「必要な処分」(222条1項、111条1項)であり、「捜索すべき場所」(219条1項)の延長として適法といえる。 (2)次に、乙のポケット内を探ったことは、室内にいた被疑者以外の第三者の身体を捜索するものである。そこで、捜索すべき「場所」の令状の執行として適法か。 捜索すべき「場所」と「身体」を区別する法の趣旨から、本問令状の執行として令状に記載のない「身体」を捜索することは原則として許されない。しかし、捜索場所内にいた第三者が、「差し押えるべき物」を隠匿したと合理的に疑われる場合には、「場所」の捜索の実効性の確保のため、身体まで捜索を執行することはやむをえない。 本問では、捜索場所内にいた乙が、「差し押えるべき物」をポケットに隠匿したと合理的に疑われる場合にあたる。よって、乙のポケットを探ったことは、令状の執行として適法である。 (3)もっとも、本来であれば、隠匿した物の提出を求めるのが相当である。にもかかわらず、ポケット内の捜索にさいして、Aが乙の身体を押さえ付けた行為は、適法か。 Aは当初乙にポケット内の物を出すように要求した。しかし、乙は拒否した。乙が、隠匿・逃亡したこと、令状記載の「差し押えるべき物」が容易に隠匿・隠滅可能なものであることからすれば、捜索目的を遂げるため、このような有形力の行使もやむをえない。よって、「必要な処分」といえる。 (4)以上より、Aが乙のポケット内を探り、覚せい剤粉末が入ったビニール袋を発見した行為は、適法である。 2 Aが乙を現行犯逮捕した行為 Aは、乙がポケット内に覚せい剤粉末が入ったビニール袋を有するのを現認しており、乙を覚せい剤所持の「現行犯人」として逮捕した行為は、適法である(憲法33条、法212条1項、213条)。 3 Aが覚せい剤入りビニール袋を差し押えた行為 (1)Aが乙のポケット内から発見した入りビニール袋を差し押えた行為は、令状執行としては不適法である。覚せい剤は、「差し押えるべき物」に記載を欠くからである。 (2)もっとも、逮捕現場の差押(220条1項2号、憲法35条参照)として適法である。 以上
2007年06月20日
刑事訴訟法 平成18年第2問【問題】 甲は,交差点において赤色信号を殊更に無視し,かつ,重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転し,通行人を死亡させたとして,危険運転致死罪で起訴された。 公判において,検察官は,事故を目撃したAを現場に立ち会わせて実施した実況見分の結果を記載した司法警察員作成の実況見分調書の証拠調べを請求したところ,甲の弁護人は,「不同意」との意見を述べた。 その実況見分調書には,(1)道路の幅員,信号機の位置等交差点の状況,(2)Aが指示した自動車と被害者の衝突地点,(3)甲の自動車が猛スピードで赤色信号を無視して交差点に進入してきた旨のAの供述,が記載されていた。 裁判所は,この実況見分調書を証拠として取り調べることができるか。【答案】1(1)司法警察職員が作成した本問実況見分調書を証拠として取り調べることができるか。(2)実況見分とは、五官の作用によって物の性情を認識する強制処分である検証を、任意処分として行うものをいう。その結果を記載したものが、実況見分調書である。 実況見分調書は、裁判所の面前での反対尋問を経ない供述証拠である伝聞証拠である。そこで、被告人の同意(326条1項)なきかぎり、証拠能力が認められないのが原則である(伝聞法則、320条1項)。なぜなら、供述証拠は、知覚・記憶・表現・叙述 の各過程で誤りが混入するおそれがあり、反対尋問権(憲法37条2項)の行使による吟味を経なければ、誤判ひいては不当処罰による人権侵害の危険があるからである。(3)もっとも、実体的真実発見(1条)のための証拠利用の必要から、反対尋問に代わる信用性の情況的保障があるばあいに、例外的に証拠能力を認めている(伝聞例外、321条以下)。 実況見分調書については、明文はないが、「検証の結果を記載した書面」(321条3項)に含められる。なぜなら、実況見分は、捜査機関の訓練を受けた専門家によって行われる点で検証とおなじであり、令状の有無で信頼性が変わるわけではないからである。 本問では、検察官の証拠証拠調べ請求(298条1項)に対し、被告人甲の包括的代理権を有する弁護人が「不同意」としている。しかし、321条3項の要件をみたせば、実況見分調書を証拠として取り調べることができる。(4)ところが、本問実況見分調書には、問題文(1)~(3)の事実が記載されている。 そこで、これらの部分も実況見分調書と一体として証拠能力が認め、取り調べることができるか、それとも、独立の供述証拠としてべつの伝聞法則の適用を受けるかが問題となる。 思うに、伝聞法則の適用を受けるかは、反対尋問による吟味にさらすべきか、すなわち、供述内容の真実性が要証事実となるかで判断すべきである。 以下、(1)~(3)について、個別に検討する。2(1)について これは、五官の作用によって道路の幅員、信号機の位置等交差点の状況という物の性情を認識した結果を記載したものであり、まさに実況見分結果の内容である。よって、321条3項により証拠として取り調べることができる。(2)について これは、実況見分において自動車と被害者の衝突地点の特定・調査がAの指示によって行われたという事実を記載したにすぎず(現場指示)、また衝突地点の厳密な特定が有罪認定のためにとくに重要なわけではないから、供述内容の真実性が要証事実となるものではない。よって、実況見分の結果を記載したものとして321条3項により証拠として取り調べることができる。(3)について これは、甲の自動車が猛スピードで赤色信号を無視して交差点に進入してきた旨のAの供述内容の真実性が要証事実なので、独立の供述証拠(現場供述)として、321条1項3号の要件をみたしたとき、証拠として取り調べることができる。 以上
2007年06月20日
刑訴で、「伝聞法則」(320条)というのがあります。ここはすごく大事なので、いま、勉強しています。伝聞証拠は、原則として証拠能力が否定されますが(伝聞法則)、(1)証拠利用の必要性と(2)信用性の情況的保障により、例外的に証拠能力をみとめていくことになっています(321条以下、伝聞例外)。(2)信用性の情況的保障は、反対尋問権(憲法37条2項)の行使によるチェックにかわるもので、証拠利用の許容性を担保するといえると思います。ところで、パパは、1人でトイレができない女の子につきそって女子トイレに入れるのでしょうか(1)つきそって入る必要性はありますね。(2)許容性は? 家のトイレならまったく問題ありません。じゃあ、外では? 1人用で他の人とかちあう心配がないとか、ドアの向こうで複数の個室に分かれており、蛇口のまえでかちあう可能性があっても、お店の人に「今ならいいですよ」と確認をえるとか、絶対的特信情況、相対的特信情況にたとえうるものがケースバイケースで考えられるのではないかと思いました。もっとも、パパが女の子を男子トイレの個室につれていくという手もありそうです(法326条同意書面)。
2007年06月18日
梅雨入りしました。去年は2日目雨でしたね。あわただしい毎日ですが、「ゆっくり急げ!」で1歩ずつやるべきことをやって行きます。あ、ここは、「合格だけを考えろ!」でしたっけ。刑訴百選、アペンディクスも出まくりですね。
2007年06月15日
2007年06月10日
鈍感力チェックテストです。「あなたの結果は…… 鈍感力は70点。自分のミスには過剰反応 【あなたは自分に自信があるタイプ。】周囲が批判的な意見を口にしたり、悪口を言われたりしても馬耳東風。自分を信じて方向転換することはありません。その点では、たしかに鈍感力にすぐれています。ただ完全主義な面があり、自分自身がわずかでも失敗するとかなり落ち込みそう。あなたも人間です。多少の失敗はあって当然。些細な失敗にも鈍感になり、すぐ立ち直って。」完全主義、あたってそうです。論文に向けて勉強がすすまない原因もそこらへんにあるのかも?ちょっと気持ちがいっぱいいっぱいになってますが、合格発表もあったので、ポイントをしぼり、効率的にやっていきたいです。
2007年06月07日
論文のほうが進みません。 5月中にもう下三法1周してるつもりやったのに。 答練もいまいち。 3+1計画はどこ行った?(笑) 6月になったので、これからがんばります!
2007年06月01日
あと7週間ですね。 論文まで日がないので、発表前に3+1仕上げるつもりだったのに、今まで 中途半端で反省です。 はしかは赤い発疹がでると聞きました。 もしかしたら、かかって治ってたかも知れないです。
2007年05月27日
2007年05月23日
こんな写真撮ってて、記念受験みたいですね(笑)手抜き更新の嵐です。
2007年05月21日
司法試験委員会の人が撮影していた隣で撮りました(笑)。 試験の設営状況を撮ってるんでしょうか。
2007年05月18日
60日後、論文試験がまたここであるんですね。
2007年05月16日
みなさん、おつかれさまでした。試験直前から体調がわるく、更新の気力がないので。。7月に向けて、気持ちを切り替えてがんばります!
2007年05月14日
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