第五章


             【臆病な暗殺者】

 翌朝、二人はあの騒がしい森を出て、街道のど真ん中を歩いていた。

「とととッ!ちょっとー!!危ないじゃないの~~!!!!」

自分のすぐ横を通った馬車に、リリアは怒鳴った。怒られる方が間違っている・・・。

「通る数が少ないからって、油断はしない方が良いって事よ。音が聞こえた
らすぐに避ける事、良い????」

「うぃ!フレアセンセー!!らじゃりました☆」

「え・・・?らじゃり・・・??何それ・・・。」

リリアのよく分からない言葉に、フレアは疑問符を浮かべた。

「まぁ、良いや・・・。それより、前方に人影☆」

「あらホント・・・。オーイ☆」

「・・・・・・・・・・・・・・・。」

「オーイ・・☆」

「・・・・・・・・・・・・・・・。」

「オーイ・・。」

「・・・・・・・・・・・・・・・。」

リリアが、遠い向こうで、街道のど真ん中に突っ立っている人物に手を振りながら、話しかけるものの、返事は無い。

「オ~イ・・。」

「・・・・・・・・・・・・・・・。」

「ぉ-ぃ・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・・・。」

「ぶっ殺すぞオラァッ!」

「!!!!!!!!!!!!!!!!」

リリアが暴言を吐いた途端、前方の人物の肩が大きく跳ねた。

「オーイ☆」

「は・・・・はいッ・・・。」

「返事がちっさいッッッッ」

「は!!!はいぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!」

声からして男らしく、しかも歳も近そうだった。

「そう、それで良いの♪」

「あうあう;;;」

怒鳴られた事に泣いているらしい。情けない光景だ・・。

「貴方は?」

少年の傍まで来て、フレアが聞いた。

「暗殺者」

「嘘こけ、あ・な・た・は????」

リリアが最初の部分を流し、フレアと同じ事を聞いた。

「暗殺者ですぅ・・・。」

「大嘘は止せ、死ぬよ?・・・・・・・じゃあ、名前は?」

「サンジュ・・・・。」

「そこだけ素直な訳だ・・・。あたしはリリア。」

「私はフレア」

「あのぉ、リリアさん?嘘ですよね??????」

「何がよ」

サンジュの質問にリリアは聞き返した。

サンジュは目をキョロキョロさせながら、質問の内容を言った。

「貴方が、南国の国の王女だなんて、嘘でしょ・・??」

「あぁ、あたしだけど?それが・・・???」

「うううううううううう嘘は止めて下さい!!!!!」

リリアの答えを信じない、否、信じたくないみたいだ。

「別に今嘘言って得するわけじゃ無いじゃない?ねぇ???」

リリアは隣に居たフレアに聞いた。

「ええ」

フレアはリリアに言った。そして、少年は顔を下に向けて

「それじゃあ、僕は、貴方の暗殺を命じられた訳ですか・・・。」

「はぁ?なんて??もう一度、リピートアフタミープリーズ♪」

「・・・ッ!?」

リリアには、サンジュの言った言葉が聞き取れなかったらしく、ふざけた口調で、もう一度言うように、サンジュに言った。しかし、フレアには聞き取れたらしく、その言葉がとんでもないものだと悟り、叫ぶように

「危ないッッッッ!!!!」

とリリアに言った。彼女は何が危ないのかさっぱり分からないらしく、気の抜けた反応を見せた。それが罠だった。サンジュは何処に隠し持っていたのか、素早く短剣を取り出し、リリアの背後に回った。そして、その短剣は、リリアの首筋を狙って風を切る。
リリアがそれに気付いたのは、刃物が自分の首に当たる寸前。遅すぎたのだ。

(ヤバッ・・・;;)

リリアは、自分が死ぬことを悟り、目を硬く瞑った。そして、首に、何かが当たる感触がしたかと思えば、それは自分の首に当たった瞬間、ぐにっと、曲がった。

「「はぁ・・・・・・?」」

それを見ていたフレアも、リリアと全く同じ反応を見せた。サンジュが持っているのは短剣。しかし、その短剣の刃物は、太陽の光を浴びても、全く反射しない。
錆びている訳ではない。しかも、硬く出来ているであろうその刃物が、ゴムのように、ビィィンと音をたてて震えていて、尖っているはずの先っぽは、丸くなっていた。

「やっぱり・・・・、僕には貴方を殺すなんて出来ませんよぉ・・・。」

サンジュは涙目になって言った。

「と言う事は、やっぱり、暗殺者だって事は本当だったのね・・・?」

フレアは目を細めて聞いた。サンジュは小さく頷いた。

「はい・・・。僕は、『紅き死神の魔』の暗殺者です。」

「!?・・・、紅き・・・っ死神・・・。」

「紅き死神の魔って?」

フレアの様子が変わったのを見て、リリアが聞いた。

「『紅き死神の魔』・・・。世界で最も有名な暗殺者組織、暗殺のターゲットにされた者は、絶対に生きてはいられない・・・。」

「はぁ・・・・って、そんなトコに、なんでこんな臆病なヤツが属してるワケぇ!?」

「・・・。」

「多分、そういう風に育てられたのね・・・。世間じゃ、『暗殺者=何も恐れない』で通ってる所が多いから・・・。性格はそのままで良い、ただ殺し方だけを教われ・・・。それが、貴方の教わった事でしょ・・・?」

「・・・はい。」

「裏をかいたって事ね・・・。」

リリアが珍しく真剣になった。

「あ、でもさぁ、殺し方を教わる事で、性格って変わらない訳?かなりキツイ修行をさせられたんなら、元々臆病でも、自然に性格変わると思うんだけど???」

「臆病になるくらい、厳しく修行をさせられたら???」

「は?何それ・・・。」

「そのまんまよ、厳しすぎる修行をさせられたのなら、そのうち、厳しくした者にだけでなく、周りの人間まで怖くなる。世間で生活してない人間なら尚更ね・・・・。」

「な・・・なるほどねぇ・・・・。」

「僕は・・・・。」

サンジュは顔を下に向けて言った。今にも泣き出しそうな声だ。

「僕はこれ以上、あの組織には居たくないっ・・・、皆僕だけに冷たくしてぇっ・・・、そっ・・・そんなの嫌で・・・。だからッ」

「・・・・・。」

「うん!よし!!良いわ。」

「リリア???」

「暗殺者組織から抜け出す、この臆病者の手助けをすんのよ☆」

「お・・・臆病者は余計です・・・・。」

サンジュはボソリと呟いた。

「何ですって???」

「い!!いえいえ!!!」

サンジュは手を横に振りながら言った。

「・・・・という事なんだけど、良い???」

「う~ん、まぁ、ダメとは言わないけど、どうやって抜け出させるの???」

「え・・・????」

「奴らは違っても暗殺者。当然、普通以上の知識や力を持っている・・・。むやみに組織に乗り込めば、私達二人にだって奴等の暗殺ターゲットになるでしょう・・・。策を立てない訳には・・・・。」

「それもそうだけど・・・・う~ん・・・・。」

「・・・・。」

リリアは何を考えているのか、腕を組んで唸りはじめ、サンジュは辛そうな顔をしている。
二人の様子を見たフレアは、ハァ~と、大きく溜息を吐いた。そして、

「術学10、軍学10・・・・。」

と、二人に聞こえるくらいに呟いた。二人は頭上に『?』を浮かばせていた。そして、リリアが、

「何??それ、新しい魔法の呪文???」

と、聞いた。フレアはリリアを見て、

「先生が評価した、私の成績結果の一部。1から10までの点数で、一番成績が良かった物の二つ。・・・ついでに、これで何か分かる事は???」

いきなり質問に、リリアはまた唸りはじめた。

「えーっとー、術学って、魔法系の科目の事だよねぇ、んで、軍学っていうのは、戦闘とかの作戦を考える時の為の科目の事だよねー、・・・これで分かる事って言われてもなぁ・・・・。ん?もしかして、もしかすると!!!」

リリアは何か思い付いたかのように、フレアを見た。

「その、『もしかして』です☆」

フレアは笑顔で言った。

「ははーん・・・。さっすがフレアティーチャー☆やっぱり、貴方の頭脳には敵いませんわー☆オホホホホホホホホ☆」

「いえいえ、自分の得意分野を生かすのは基本中の基本ですから~☆うふふふふふふふ~☆」

主役二人、非常に怪しい会話を繰り広げていた。その中に入る事の出来ないサンジュは10mは引いておきたい気分だったが、辛抱して待っていた。

「と言う訳よ、臆病暗殺者少年サンジュ君。今から、この、天下のフレアティーチャーが、貴方を組織から脱出させる策を考えて下さるらしいわよ~☆」

「まあまあ、リリアお嬢様は御世辞が御上手なことで~♪」

「いえいえ、御世辞なんかではありませんわ~☆オホホホホホホホ~☆」

「うふふふふふ~♪」

「あ・・・あのー・・・;;;」

二人の様子を、サンジュは汗ダラダラで見た。

「「なんだね」」

(二人の口調が変だ!!!!!!)

サンジュは内心叫びながら聞いた。

「策っていうのはどんな策なんでしょうか???;」

「あぁ、そうね。えっと、サンジュ君?組織には、何人くらい暗殺者がいるの???」

フレアはサンジュに聞いた。何故そんな事を聞くのかと、サンジュは思ったが、素直に答えた。

「20人、位でしょうか。組織と言っても、それほど大きくはないし、無駄な戦力はいらないと『紅の神』は言ってたし・・・・。」

「紅の神・・???」

出て来た言葉に、フレアが反応した。

「組織のリーダーです。女性で、凄く頭が優れる人で、片耳に、真っ赤な珠の付いたピアスを付けているから名付けられたと言われています。」

「なるほど・・・・。どうやら、それを片づけた方が早く終わりそうね。」

フレアは、そう呟いた。

「じゃ、どうやって入り込むかだけどー・・・。まず―――」

臆病な後書き(意味不明):::::::::::::::::::::::::

はい、中途半端ですけど五章終わり!!!!!!!
リリアはともかく、フレア壊れ過ぎ!こんなキャラちゃうのに!!!
新キャラ登場サンジュ少年。
ついでにですねぇ、この世界の教科は、武学、術学、軍学、国学、数学、科学、世学、音学、美学、技学・・・くらいですね。多すぎです。
それでは、長々と続けてしまいましたが、ここまで読んで下さってありがとうございます☆

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