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~ワーカーズ・コレクティブ学習会~●新しい女性の働き方第986回 2007年11月23日~ワーカーズ・コレクティブ学習会~●新しい女性の働き方 今日は女性の新しい働き方を学習する「ワーカーズ・コレクティブ学習会」が開かれました。 グループホーム結いのきのお楽しみ行事、お掃除や草むしり、献立作りをしている「グループホーム結いのきを支える会」とたくろう所を運営している「助け合いの会」のメンバーが、自分たちのボランティアと労働を分けて行うことを考えたのが約2年前でした。 そのメンバーらは、生活クラブやまがた生活協同組合が新しい高齢者事業を始めるのをきっかけに、「食事作りワーカーズ」と「お掃除ワーカーズ」を作ろうとしています。 来年8月開所予定のNPO「結いのき」ディーサービスと、再来年1月開所の高齢者生活共同運営住宅「グループリビング」のお食事作りとお掃除を機会に、ワーカーズ組織を作ろうという機運が盛り上がり、この学習会のきっかけです。 今日集まったのは30人の組合員と市民たちです。 ワーカーズとは何か?「ワーカーズ・コレクティブとは今までにない働き方で、雇われるのではなく一人一人が出資し、経営し、営利を目的とせず、労働も担い、暮らしやすいまちにするため、市民による事業を行う「働く人たちの協同組合」です」 講師には食事ワーカーズを長年運営されている大沢靖子さん。「ワーカーズ・コレクティブネットワークジャパン」のメンバーです。 さあ、これから女性たちはこのワーカーズの立上げを目指してがんばるようです。 楽しみがまた増えました。 2007年11月25日 日曜 記 ■(文中の敬称を略させていただきました)~ワーカーズ・コレクティブ学習会~ ●新しい女性の働き方つづく 「熱い夏の日~山形マンガ少年~」第49回にご期待下さい!! 「山形マンガ少年」まとめてご覧いただけます。 第一部「はじめちゃんの東京騒動記」のホームページ第二部「旅立ちの歌」のホームページ
2007年11月25日
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~米沢市長選挙~●期日前投票の対応に怒り第987回 2007年11月24日~米沢市長選挙~●期日前投票の対応に怒り 午前中に市役所に出向き、グループホームのおじいさんやおばあさんと期日前投票をしてきました。 大雪も上がり晴天のせいか、会場は投票に来た有権者が列を作り並んでいました。 おじいさんやおばあさんの介助に付いた職員は、選挙管理委員会の職員(?)に、「私たちが責任を持って行いますから!」 とその場から離れるようにいわれて戸惑ってしまいました。 責任とは介護に対してなのか、 それとも投票に関してなのか わからないままでした。 その光景を見た私はグループホーム職員には、「介護保険事業者なのだから責任があるので、おじいさんやおばあさんに何かがあったら大変だから、すぐに介助できる範囲にいるように」 と指示をしました。 グループホームの責任者のユーミンは、「市民派を名乗る現市長の体制がこの有様か!!」 と怒り心頭。 理由は、次のとおりです。 責任って言う割には、おじいさんたちの介護条件を確認していないこと。 介護職員たちには法令遵守があり、やたらに介護を代わることは責任上どうなのか。 選挙管理委員会がいう「責任」の根拠と範囲を確認しないでしまった自分たちの責任はどうすればよいのか。 グループホームの事務長は、「介助者がおじいさんやおばあさんに候補者を指名記入させることを防ぐために、ボクたちを離そうとするのはわかるのだが、あまりにも米沢市は短絡すぎないか。おじいさんやおばあさんの症状や介護の実態を訊くことに欠如している」 と呆れ顔でした。 高齢者が24%を超す米沢市です。 あれだけ期日前投票に障害者や高齢者の有権者が来ているのだから、正面玄関やエレベーター付近にも介助人を置いたり、投票会場にももっと親切に対応する職員たちがいてもいいのではないかと思って帰ってきました。 2007年11月24日 土曜 記■(文中の敬称を略させていただきました)つづく 「熱い夏の日~山形マンガ少年~」第49回にご期待下さい!! 「山形マンガ少年」まとめてご覧いただけます。 第一部「はじめちゃんの東京騒動記」のホームページ第二部「旅立ちの歌」のホームページ
2007年11月24日
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~山形マンガ少年~ 第三部 『熱い夏の日』●第48回 後藤和子ことごとう和第986回 2007年11月23日~山形マンガ少年~第三部『熱い夏の日』●第48回 後藤和子ことごとう和 三人の前に立っていたのが、たかはしよしひでだった。それも小学生らしいい男の子を連れている。「なんだあ~手塚先生じゃないんだ~」 鈴木があきれた声で言った。「なんだとはなんだべえなあ~」 たかはしはいかにも失礼な!、と、いう顔をして言った。 長岡孝子との一件で、たかはしらしくない態度に怒りと違和感を持った三人だったから、なおさらあきれた顔を見せてしまった。「たかはしセンセイ!その子どもはなんですか?」 と、井上が訊いた。「なんですかではなく、誰ですかだろう?」 たかはしはそう言ってから、「多田ヒロシ クンだ」 と、少年を紹介した。少年はマンガ好きで、たかはしが勤務する薬品メーカーの上司の子どもだと言った。「たかはしセンセイ!大事な話があるときに、関係者以外を誘ってもいいんですか?」 井上は少し怒りを込めて言うのだった。「大丈夫、大丈夫。多田クンは小学生だから、傍に置いとくだけだから……」 と、あっさりと質問をかわすたかはしだった。 八文字屋書店二階には参考書類とレコード販売、そして喫茶室があった。 喫茶室に入ると、ウエートレスの二人が四人を待つように席に案内するのだった。 五人の席からまっすぐに手塚のサイン会の模様が見えた。 一人ひとりに声を掛け、色紙にマンガとサインをして握手をする手塚治虫は笑顔を絶やさなかった。 マンガの神様手塚治虫はこの山形でも長蛇の列だ。 井上も鈴木も宮崎も黙ってサイン会の模様を眺めていた。その手塚があとわずかの時間で井上らに「大事な話」をするという、だんだん緊張度が高まっていくのがわかっていた。 たかはしだけがのんきに多田少年をあやすように、ワイワイ話をしていた。「遅れてしまってごめんなさい!」 短い髪を後ろで縛り、そばかす顔の少女がやってきた。「オース!よく休みとれたなあス!?」 たかはしが立ち上がって言った。 たかはしは少女を席に案内した。そして二人で話し始めるのだった。 誰なんだこの娘は?紹介ぐらいしろよなあ、と、鈴木が聞こえるように言った。 少女はハッとして、鈴木に向かって、「ごめんなさい。後藤和子です」 と、自己紹介をした。 井上は、えっ!と声を立て、「旭丘光志先生のアシスタントをしている『後藤和子』さんですか?」 と、訊き直した。「そうです」 細い目をいっそう細くして少女が答えた。「ボクは井上です。井上はじめです!」 井上は立ち上がって頭を下げた。「ああ、あなたが井上クン?こんなに若いんだあ~」 と、後藤が言って口に手を当てた。 後藤和子はたかはしらが主宰するマンガ同人会のメンバーのひとりだった。この春に高校を卒業して、劇画家旭丘光志のアシスタントになった。 井上は旭丘光志が少年マガジンに原爆被害者の悲劇を描いた「ある惑星の悲劇」に感動して、旭丘に電話でその感想を述べたのだった。 そして今回の「山形まんが展」にぜひ「ある惑星の悲劇」を展示することをお願いした。その交渉に再び電話を旭丘に電話をすると、電話に出たのが後藤和子だったのだ。「井上クン、ごめんね。まんが展に『ある惑星の悲劇』を出品できなくって。講談社との関係で部外に出せないんだって」 後藤は気の毒そうに井上に謝った。「とんでもないです。キャプテンスカーレットの原稿のお陰で子どもたちは喜びました!」 傍にいた鈴木和博が言った。「わーっ、そう言ってもらえるとうれしいわ」 親しみやすい人だなあ……と、井上は思った。 2007年 8月20日 月曜 記 ■(文中の敬称を略させていただきました)~山形マンガ少年~ 第三部『熱い夏の日』 ●第48回 後藤和子ことごとう和つづく 「熱い夏の日~山形マンガ少年~」第49回にご期待下さい!! 「山形マンガ少年」まとめてご覧いただけます。 第一部「はじめちゃんの東京騒動記」のホームページ第二部「旅立ちの歌」のホームページ
2007年11月23日
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~米沢市長選挙~●市職員と市民の常識が問われる選挙第985回 2007年11月23日~米沢市長選挙~●市職員と市民の常識が問われる選挙 この数日間、米沢市長選挙で私の周辺はてんてこ舞いです。 まずはマスコミの方から「情勢をどう分析されますか?」と電話がありました。 現市長さんの安部三十郎さん以外の支持者からも同様の質問です。 また、市役所のAさんからは「安倍市長は続行になるよ。なっぜって、我々は働きやすいもの。彼はイベントなどのお祭りには力を入れるが、根幹の改革や改善には無頓着だからね。 マニフェストも一番遅かっただろう?それも野村陣営の猿マネだ(笑い)。 それに比べて野村研三さんが市長になられたら大変だ。 彼は本気で改革を行うよ。彼の4年間のブランクは彼を変えてしまった。つまり本気で市民のことを考えている。 (市の職員にとって)これはありがた迷惑だ。組合風にいえば労働強化と合理化が一緒にやってくるようなものだからね。 なんだかんだいっても我々は安倍市長を応援する!」 私はこの話を聞いて唖然としました。 「一期目だから何もできない安倍市長だ」というのがもっぱらの世論だと思っていたのに、何もできないから安倍市長を応援しようとする。 こんな米沢では本当の市民在民の行政も市政もできないのは明白だ。 この選挙は、市職員や市民の常識が問われる市長選挙になりそうだ。 2007年11月23日 金曜 記 安部三十郎さんのホームページ野村研三さんのホームページ■(文中の敬称を略させていただきました)つづく 「熱い夏の日~山形マンガ少年~」第48回にご期待下さい!! 「山形マンガ少年」まとめてご覧いただけます。 第一部「はじめちゃんの東京騒動記」のホームページ第二部「旅立ちの歌」のホームページ
2007年11月23日
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~山形マンガ少年~ 第三部 『熱い夏の日』●第47回 手塚治虫サイン会 その2第984回 2007年11月17日~山形マンガ少年~第三部『熱い夏の日』●第47回 手塚治虫サイン会 その2 サイン会の長蛇の列は絶えることはなかった。 手塚治虫はファンのリクエストに応じて色紙にマンガを描き、サインをして、握手をする。その一人のファンにかかる時間を気にする関係者たちは、もうイライラしていた。それもそうだ。かれこれ一時間をゆうに越していたからだ。「みなさ~ん。これにてサイン会の受付は終らせていただきま~す!ありがとうございました」 八文字屋書店の店員が大きな声で言った。そうは言っても既に受付を終った者たちだけでも五十人以上はいるだろうか。「先生!手塚先生。このままですと、予定時間になってもサイン会は終わりません。何とか早くお願いします」 小太りの男性はそう言って、大村に目で合図をした。 大村は手塚のサイン会を見守る井上たちを見つけて、「井上クン。申し訳ないけど約束の時間を三十分ほど、いや一時間ほど延ばしてもらっていいですか?」 と、申し訳なさそうに言った。「ボクたちはかまいません。こうやって見ているだけで勉強になります」 ありがとうと大村は言って、小太りの男性に話しかけた。そして手塚にもそのことを伝えたようだった。手塚はうん、うんと頷きながら井上らの方を見て、ニコッと笑顔で微笑を返すのだった。 井上も鈴木も、そして宮崎も、目が点になって気をつけをした。三人の背筋がピーンと伸びると同時に汗がス~ッと引いていった。「手塚先生がオレたちに微笑んだぁ……宮崎……夢じゃないよなあ」 鈴木は焦点のさだまらない目をしながら言った。「夢じゃない……オレも見た。なあ、井上?」 口にこもったような声で宮崎が言った。 井上は黙って頷いた。 時間はどのぐらい経っただろうか、大村が再び三人に声をかけてきた。「どうもすいませんねえ。もう少しなのでみなさん、喫茶室でお好きなものを注文してお待ちください。ほんとうにすいませんね」 そして井上の耳元で、「ファンの人が手塚先生を追いかけてくるといけないので、先に行っててください。手塚先生はいったん控え室に行き、ファンがいなくなったところで喫茶室に行きます」 と、言って、三人がすぐにも喫茶室に消えることの指示をするのだった。 時代の人、手塚治虫先生の偉大さゆえに、井上はファンの心理がよくわかっていた。 自分たちだって、たまたまなにかの間違いでこの場にいるだけで、サイン会に並んでいるファンらとはなんら変わりない。 それよりも、自分たちがいつの間にかファンの立場からプロの世界に足を踏み込んでいるようで、それが夢のようだった。 このまま手塚先生に連れて行かれるのじゃないか……そんな錯覚すら感じる井上だった。 「お待たせしました!」 その声で現実に引き戻され、後ろを振り向いた三人だった。 2007年 3月23日 金曜 記 ■(文中の敬称を略させていただきました)~山形マンガ少年~ 第三部『熱い夏の日』 ●第47回 手塚治虫サイン会 その2つづく 「熱い夏の日~山形マンガ少年~」第48回にご期待下さい!! 「山形マンガ少年」まとめてご覧いただけます。 第一部「はじめちゃんの東京騒動記」のホームページ第二部「旅立ちの歌」のホームページ
2007年11月17日
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~山形マンガ少年~ 第三部 『熱い夏の日』●第46回 手塚治虫サイン会第983回 2007年11月10日~山形マンガ少年~第三部『熱い夏の日』>●第46回 手塚治虫サイン会 井上らはレコード売り場の側にある喫茶室に入った。 三人はアイスコーヒーを注文した。喫茶室からは丁度真正面にサイン会が見渡せる。 「アッ!手塚先生だあ!!」 鈴木が大きな声を上げた。 長身のベレー帽姿の手塚治虫がさっそうと現れた。 同時に階段の列が左右に動き、今度は上下に動いた。「サイン会が始まった……」 三人は喫茶室を出て、サイン会に向かった。子どもたちの奇声が手塚治虫を囲んでいた。「みなさ~ん、押さないでください!」 小太りの背広姿の男性が叫んだ。書店の店員も階段に並ぶ人々が押し合いにならないように注意を与えていた。 手塚は黙々と色紙にマンガを描いて、サインをしていた。手塚の側には虫プロ商事の大村が付いて、サインを求める人々にやさしい笑顔で対応していた。「手塚先生だ!ホンモノだ!」 鈴木は感動と驚きをそう言って表現した。 人並みをかき分けて、三人はようやく手塚治虫を遠くから見ることができた。「……」 宮崎はどんぐり眼(まなこ)をさらに大きくして瞬きもしないで、手塚を見た。 井上は手塚の色紙に向かう姿を見て、あの手塚プロでの手塚治虫先生の後姿を思い出した。 それは広い制作室で、電気も付けず太陽光線だけの明かりの中で、ひとりコツコツと原稿を描く手塚の猫背の後姿だった。 あの時は、ボクと手塚先生のふたりきりの瞬間だった。 そう、井上は心の中で言った。 手塚先生は孤独で体全身を振絞って原稿を描いていたように思えた。「スイマセンが火の鳥とレオは時間がかかるのでご遠慮くださ~い!」 小太りの男性と大村が並んでいる人たちに向かって言った。 鈴木が、「オイオイ、手塚先生はリクエストに応じて直筆でマンガを描いているぞ!すごいなあ……」 と、驚いた。「滅多にないことだなあ。今日の人は得したなあ」 と、宮崎が言った。 手塚は一人五分位で色紙にマンガとサインを描いた。それを受け取った子どもや親はさらに手塚に握手を求め、礼を言って去るのだった。いづれも色紙は大事に抱き締められていた。誰もがその光景を羨み、目で後追いをするのだった。 十人、二十人とサインは終っていく。しかし、手塚の描くペースは衰えない。 井上は手塚が使っているぺんてるペンとぺんてるサインペンに注目をしていた。 ペン先からは、魔法のようにすらすらと線が湧き上がってくるように絵を描いていく。その技術がおもしろく、すばらしく見とれてしまうのだった。 「火の鳥をお願いします」 女子大生に見える髪の長い少女が言った。「ごめんなさいね。火の鳥はご遠慮願っているんです……」 小太りの男性スタッフが言った。 しかし、「アッ手塚先生!もう描いている~ダメですよ~先生……時間がかかるから……」 スタッフが断るよりも早くに、手塚の手は色紙に火の鳥を描いていた。 火の鳥の頭を描き、長い首をス~ッと描く。 そして胴体に向かう。 そして左側の翼を大きく描き、右側の翼は一部胴体に隠れるように描いた。 長い脚に大きな足で絵としての安定をつけた。 流れるような線だった。火の鳥が色紙の中から羽ばたくような、すばらしい火の鳥だった。 手塚のマンガの描き方を、身近に見られただけでもとても勉強になった。まさに手塚は……、「神の手だ!!」 井上はそうポツンと言った。 その瞬間、手塚は井上を見た。 目と目が合った。 井上の全身に電気が走った。 オレの言葉が手塚治虫には聴こえたのだろうか。それともオレの視線を感じて見たのだろうか。 井上にはそう思う一方で、そんなことより、 マンガの神様 手塚治虫の神の手の技をこの目で見ることができたことと、目と目が合ったそのことだけで満足だった。 2007年 3月21日 水曜 記 2007年 3月22日 木曜 記 ■(文中の敬称を略させていただきました)~山形マンガ少年~ 第三部『熱い夏の日』 ●第46回 手塚治虫サイン会つづく 「熱い夏の日~山形マンガ少年~」第47回にご期待下さい!! 「山形マンガ少年」まとめてご覧いただけます。 第一部「はじめちゃんの東京騒動記」のホームページ第二部「旅立ちの歌」のホームページ
2007年11月10日
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~山形マンガ少年~ 第三部 『熱い夏の日』●第45回 八文字屋書店にて第982回 2007年11月3日~山形マンガ少年~第三部『熱い夏の日』>●第45回 八文字屋書店にて 四人は八文字屋書店に着いた。 書店の入口には「手塚治虫サイン会」の看板が堂々と立っていた。 井上らはその看板の文字を一字一字目で追った。Γいよいよきたな」 鈴木が緊張した面持ちで言った。 井上は八ン力チで顔の汗を拭き、黙って頷いた。「井上センセイたちは先に入ってでくだっか」 たかはしが言った。「人と侍ち合せをしてっから」 そう言って、たかはしは歩道を人混みに消えて行った。 井上と鈴木、宮崎の三人はゆっくりと書店の中に入って行った。 広い店内は紙とインクの臭いで覆われていた。たくさんのお客が所狭しと押合って見える。米沢の書店では見られない光景だ。 ごったがえした店内を三人は恐る恐るゆっくり歩いた。店内正面に階段が見えた。 階段には長蛇の列が二階まで続いていた。二階正面には机が置いてあり、そこにも立て看板「手塚治虫先生サイン会」がド~ンと目立っていた。「あそこに手塚治虫先生が座るんだ」 宮崎賢治がポツンと言った。「さあ、行ってみよう」 鈴木和博が吸い込まれるように列の左側を昇って行った。それに続く井上と宮崎だった。 列に並んでいるのは親子連れと十代や二十代の若者が目立つ。その中に所々に中年男性もいた。手塚治虫の幅広い人気を物語っている。 みんな八文字屋書店の袋を持っていた。そう、この書店で手塚マンガの書籍を購入した者が、このサイン会の資格があるのだった。「オレたちには並ぶ資格はないんだ」 淋しそうに鈴木が言った。「いいべした。後で先生に会うがら、そんどきにサインをしてもらうべ」 と、宮崎は自分たちが持参した手塚の本を思い出して言った。 階段を昇りきるとサイン会の机の傍に、一見で関係者とわかる都会風の背広を着た小太りの男性とスポーツ刈りが似合うカッコいい男性が立っていた。 井上はスポーツ刈りの男性に声をかけてみた。「あの~、手塚治虫先生の関係者の方ですか?」 すると待ってたとばかりに、「あっ! 井上くん? ■(文中の敬称を略させていただきました)~山形マンガ少年~ 第三部『熱い夏の日』 ●第45回 八文字屋書店にてつづく 「熱い夏の日~山形マンガ少年~」第46回にご期待下さい!! 「山形マンガ少年」まとめてご覧いただけます。 第一部「はじめちゃんの東京騒動記」のホームページ第二部「旅立ちの歌」のホームページ
2007年11月03日
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