じゃじゃのめ

じゃじゃのめ

御子


命の誕生をこの目で見ました。

オイデは私のアパートのタンスにもぐりこみ
前日からあまり外に出なくなり
午前中ごそごそやってるなあ
と思ったら…

これです!

どの子が一匹目だったかは忘れましたが、
一匹目を生んですぐにその子をくわえてタンスから出てきました。
まだ袋に入ったままの子を。

初めてそういう場面に出くわした私は、
”あ、こいつ子猫を食う気だ!ねずみか何かだと思ってるに違いない!”
と真剣に思い、半べそをかきながら
「離せー、離せー」と母猫から取り上げようとしたんです。
でも何をしてもどうしてもくわえて離さない。

もう仕方ない。こんな猫をかこった私の業だ。
と、それから繰り広げられるであろう地獄絵図を思い浮かべながら、
”お前の業もすべて私が受け止めてやろう。食うなら食え!”
と、悪魔の母猫オイデを解放し、悟りの境地で、
息を呑んで固まっていると・・・
ペロリ!
オイデはその子がくるまれている袋を食べ始めるではないですか!
内心”ぎゃあー”と思いながらことの顛末を見守っていると、
その袋はその子のおへそのところで本体につながっていて
そこまで食べると、オイデはその子の体をなめ始めました。

産声
ピィーピィー…

そこでやっと気付きました。
あ、そう言えば、動物は出産するとき出るほかのもろもろ
自分で食べるって!と。

そのあとの子は
オイデが凶暴な私を恐れてか、
一匹生んで勢いづいてうろうろしなくても
狭いタンスの中で生むのに十分だったせいか知りませんが、
のこり3匹、時折ことこと言いながら無事産み落としました。



tanjou



inochi



ikiru

新しい世界が4つ生まれました。

              oide & her kids@Ayutthaya, Thailand 1997

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