女は、眠っていた。
夢の中の出来事を物語にした本を読んでいた。
そのうちに眠り込んだ。
ふっと目が覚めた時、れいのノイズがした。
最近しばらく無かったのに、何故また始まったのだろう?
愛用の小型ロボットに聞いてみる。
この小型ロボットはYes,No,としか応えない。
M氏が何ものかに依頼しているの? わたしが男と会わないように?
YES!
このところ、他の男と会うことなど女は考えていなかった。
陽気のせいか、少し眠い日を過ごしていたくらいだ。
玄関のドアフォンのスイッチを入れると、ザーザーと大きなノイズがする。
M氏の動向を調べると、海外に向かったようだ。
彼が海外に向かうとき、決まってノイズを仕掛けられる。
パノプティコンシステムで監視され、逐一女の動向はM氏に
報告が行っていた。
女は、自分を救ってくれる騎士を以前は求めていた。けれども、
今では、もうM氏に所有される道を選ぼうとしている。
所有されるか解放されるか?
心の深いところで、女は所有されることを望んでいたのだろうか?
M氏は、女を小型にした人形を持ち歩き、
いつも自分のモノだと認識している。
それは大変小さな人形で、数体ある。
数人の女たちを所有しているわけだ。
そのうちの女が自分に背くと、人形に痛みを加える。
不思議なことに、女たちは、それで苦しむ。
M氏から逃げる手立ては無いと思える。
支配されるということは、こういうことなのだと、絶望が頭をもたげる。
女は、M氏の恋人でいることにしょうと考える。
彼を愛することにしょう。
彼に尽くすようにしよう。
彼の為だけに生きるようにしょう。
そう決心すると、外科に向かった。
女は医者に、「わたしの心臓をロボットの心臓と取り替えて下さい」
と依頼した。それは、大変な手術料だったけれど、
女はその手術を受けた。ついでに顔も少々変えてみた。
すると、女は、随分楽になった。
苦しまなくなった。
M氏のことだけを考えて日々暮らしているのに、
なんだか支配されているようには感じなかった。
それは、女にとって、とても不思議なことだった。
今日も良い日を~![]()
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