「フランス人はプライドが高いと言われていますが」
「今や情報通信が発達した時代では、各国の個人差の方が国民性の違いよりも大きいのでは」と家主が答えているのを側で聞いていた。めったに見せないよそ行きの顔で、当たり前のことをさも難しそうに、「やはりこの国の学校では自分の考えていることを如何に表現し、他の人の意見を以下に批判、評価するかということを教えていますからね」
「まあおしゃべりの人は多いですね、だから、やはり言葉やコミュニケーションに対する感覚が違ってくるのでしょうね」
「よく聞くことすが、プライドが高くて英語を知っていても話さないとか」
「昔、おそらく30年、40年前のフランスでしょうね。今では若い人は英語ができなければ、日本でいう大企業には入れないし、文化自体がアメリカナイズされています。ファーストフードや冷凍食品の消費が普通になり、ワインの消費量が年々減少し、テレビではアメリカの番組が人気になっています。しかし、政治はまだまだ、フランス独自の道を示し、社会福祉政策が重要な要素になっています」 と話はじめると止まらなくなるの家主のタチの悪いところで、相手の思惑も無視して続けている。
時々小生の顔をチラチラみては、「幸いにもお前は考えていることを言わないな」と安心している様子であった。