翻訳学者犬徒然草

何故家主はカルメル修道院に(四)

thonetvienne Thonet
家主の言う「19世紀の傑作の椅子」とは、世界でおそらく初めての大量生産された組み立てキットの椅子で、曲げ木細工を考え出した アールヌーヴォーのThonet である。西洋ブナの木を蒸気で曲げ、今のIKEAのように、キットで世界中に売り出したそうである。今でも古物市で多くみつかるが、籐張りの座部分が破れていると座れない。その座れない椅子を家主は何故か昔から集めていたらしい。小生はこの椅子はあまり好きでない。軽いので、小生が跳び乗ると不安定で椅子と共に床に転がってしまうのである。それに籐張りの部分に小生の爪が引っかかり、外すときに籐を切ってしまう。誰も居ないと老母などは冷たい床上ではなく、快適にこの椅子の上で一日中寝ていたこともある。それを最近、家主は何を思ったのか、物置からこれらの椅子を出してきたのである。相変わらず小生たちが座れる場所に置かれているのであるが、今は老母も小生も無関心。家人からは籐の座部分が破損していないと、適当な柔軟性があり座り心地が良いために、苦情はなし。家主は「自然なカーブと使いよさを追求した日常生活に至高の喜びを与えるもの」と。椅子にまで喜びを感じるようであるが、とても小生たちには理解できない不可解な家主でもある。 
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