平成16年1月16日～2月21日入院中の俳句
稚拙で恥かしいけど、指折り数えて言葉考えてるだけでも、少しは気がまぎれて痛みを忘れてました。
１ 消毒の 臭いに慣れて 一月目
２ 故郷に 切なき想い 置き忘れ
３ 熱き胸 隠し通して 天の川
４ 君に逢い 苦悩の始まり 密の味
５ 病にて 春を遠ざけ 一人逝く
６ 貴方への 叶わぬ想い シャボン玉
７ 寂しいと 言えずに結ぶ 口寂し
８ 歯ぎしりと 鼾と寝言に 睡魔泣く
９ 血圧の 測定数値に 一喜一憂
１０ 話好き 消えて静かな 回診時
１１ 消灯後 液晶の中で 会話する
１２ 濡れた肌 きみの若さに 目を伏せる
１３ 絡めあう 指先感じ 目を閉じる
１４ 唇に 触れて始まる 愛の詩
１５ 胸の先 ピクンと感じ 愛を知る
１６ 指先で 愛を奏でる 君の肌
１７ おくれ髪 細き首筋 見え隠れ
１８ 裾乱し 胸元はだけ 誘う女
１９ 掃き溜めで 一際輝 その瞳
２０ ぬるま湯に 慣れた生活 夢忘れ
２１ 愛故に 決断鈍る 我が心
２２ 子供より 親の世話あり 子無し親
２３ 愛しても 憎しみ消えぬ 親子かな
２４ 風花と たわむる姿 吾子想う
２５ 液晶の 文字は元気に 飛び跳ねる
２６ 主留守の 布団の白さ 際だてり
２７ 逢いたくて 声聞きたくて 駄々こねる
２８ 心だけ 重ねて結ぶ メールかな
２９ 食堂で 励ましながら 日が暮れる
３０ 食事時 顔ぶれ揃い 安堵する
３１ 手を借りて 入浴すませ 一眠り
３２ 愚痴言わず 泣き顔すてて 抗ガン剤
３３ 癌なんて この子らの為 負けるまい
３４ 食欲も 今は懐かし 拒食症
３５ 歩けたと 歩行訓練 嬉顔
３６ 年老いて 赤子の如く 笑み愛し
３７ 利かぬ手で 洗濯たたみ お手伝い
３８ いつからか あなたを待ってる この心
３９ 気づいたら 駆け出す想い 止まらない
４０ 気づかない 振りして逃げる 我が心
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