ネオリアヤの言葉

ネオリアヤの言葉

タケシのケイス~その2「あ、勘弁」



「吸う?」
「あ、サンキュ」
「…まだ蒸してるのかな」
「? …外のこと?」
「うん」
「まだ梅雨時期だからね、真っ盛りってとこじゃないの」
「だ、よね」
「嫌いなの?」
「…好き?」
「好きじゃないけど、これから夏本番て感じがするから、嫌いじゃないよ」
「変わってるねー」
「…そうかな」
「そうだよ。梅雨が嫌いじゃないなんて人、私、初めて会った」
「…セックスのあとの会話が梅雨になる人、俺、初めて会った」
「ははは、だって十分に汗かいてるじゃない」
「それはそうなんだけどさ」
「…こういうとこ、あんまり来馴れてない」
「馴れてると云われてもナンダケド」
「馴れてそう」
「俺? …普通にね」
「ねえ…いつもこの辺なの?」
「…訊いてどうするの?」
「別に、なんとなく」
「ふぅん…」
「…」
「…ここは初めてだよ」
「そう。こんなとこにホテルがあるなんて、私知らなかった」
「そうなの? ここら辺はホテル街なんだよ?」
「うそ…」
「や、ほんと」
「…知らなかった」
「あんまり来ない?」
「…そうだね。買い物も違う場所だし、ここって十代が多くてゴミゴミしてるから、自分から進んで来ることはあんまりないかも」
「じゃちょっと勉強になった?」
「あはは、そうかもね」
「よかったね」
「へんなの…。なんか…さっきの里芋の煮つけしょっぱかった気がしない?」
「…確かに。里芋全体に味が染み過ぎてたね」
「だよね…のど乾いたちゃった」
「…それって理由は別にあるんじゃないの?」
「…エッチ」
「そう? 君だって十分エッチだと思ったけどなー」
「あなたほどじゃあ」
「ま、俺がエッチなのは認めるけど」
「…エッチに見えないワケじゃないのに、あんまりそういうこと感じさせないよね、普段」
「いつも、そんなにあからさまな雰囲気出してる?」
「そうじゃないって云ってるつもりなんですけど」
「あ、それはごめん」
「謝ることないけど…。エッチそうだとか、そうでもないとかさあ…そういうことを考えてなさそうというか…日常では全く別の次元で生きてるって感じ」
「考えてることは同じだけどね」
「…いつもエッチなんだ」
「そうね」
「云うかな普通」
「今さら隠したってしょうがないよ」
「…今さらね」
「? 何探してるの」
「ん…アイスクリーム」
「…ないでしょう」
「やっぱりそうか…」
「っていうか、普通探さないよ」
「どうしておかないんだろうね」
「…」
「だって、夏だよ? ビールよりも全然売れるとおもうよぉ」
「…ビールの方が俺はいいな」
「それと同じ理由でアイスがあってもいいのに」
「…まあ、あってもおかしくはないね…そういえば置いてるとこ知らないかも」
「ほらねーおかしいよねー」
「や、別におかしくはないけど」
「…」
「ほっぺたふくらんでるよ」
「いいの」
「…面白いね」
「…なにが?」
「けっこう女の子って、セックスするとくたっとなる子が多いからさ」
「男の人だっているわよ。もう俺の女だ、みたいな人」
「…」
「私もそういうの苦手だから…どんなに好きでもあまり寄りかからない」
「へえ…で、ビール飲む? アイスのかわりに」
「いらなーい。飲む?」
「…飲もうかな」
「飲むの、好きなんだね」
「おいしいじゃない」
「ま、それはそうなんだけど」
「たまに昼間も飲んでるよ」
「…仕事中?」
「うん」
「バレないの?」
「さあね…特に何も指摘されたことないからなあ…。昼ごはん食べながら一杯飲むと幸せになるよ」
「軽犯罪に近いよそれ」
「もちろん、会議とかが入ってない日に限ってだけど」
「それはよかったよかった」
「飲まないの?」
「…仕事したくなくなるから」
「俺だってそうだよ」
「ダメじゃん」
「でも、みんな仕事してる昼間だからこその旨さがあるんだよな」
「…確信犯なのか」
「あたりまえだよ」
「…」
「…」
「おいしい?」
「うん、おいしいよ」
「そう」
「…」
「ねえ」
「?」
「何か訊きたいこととかない?」
「…?」
「私のこと。質問、なんでも訊いてくれていいわよ」




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