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これは探し物の消しゴムが見つかったというおはなし。
コロナ禍で似顔絵を描く機会が減っていたから?
2歳児に机をめちゃくちゃにされていたから?
どっちでもいいのだけれど、ともかくその夜は、どこを探しても消しゴムが見つからなかった。
諦め気味に絶対に消しゴムがなさそうな引き出しを探し始める。
あまりあけることのない、引き出しの一番下。
そこには、大量の500円玉と封筒が入っている。
忘れていたわけじゃないけれど、そういえばここにはこれが入ってるんだったと。
たまにひっくり返して、見るだけ見て、また一番下の引き出しにしまう500円玉。
じいちゃんがくれた500円玉。
私が「500円玉貯金をしている」と言ったばかりに、病院や薬局での支払いの際に出るお釣りをコツコツと貯めてくれた。
500円玉が数枚貯まると、私の名前を書いた封筒に入れて嬉しそうに渡してくれた。
歳を追うごとにじいちゃんの字は汚くなった。
年老いていくじいちゃんを直視したくなかったのかもしれない。
結局、500円玉はそのまま封筒ごと引き出しに。
それから数年。
変わらず引き出しには500円玉が入っている。
その時流れてきた音楽が宇多田さんの「桜流し」で、この巡り合わせの奇跡に泣けてきた。
ふと、引き出し横の道具箱に消しゴムを見つける。
そういえば消しゴムを探していたんだった。
こうしてまたじいちゃんの500円玉は一番下の引き出しで眠りにつく。
