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雨のちハンターだまり♪
幸運のランポスフェイク《後》
その砲身から放たれた弾丸が、グリッと音を立てて
ドスランポスの身に食い込む。
「ギォォ!?」
遠距離からの攻撃のとまどうドスランポス。
しかし、次の瞬間にはつがいの二頭がそろってこちらに
猛進を開始した。
「来るぞ、ラクスちゃん」
「行きます!」
応戦するラクスともう一人の男。
彼女のランスが、突っ込んでくる獣をクチバシから貫く。
・・・はずの場所には、虚空があった。
(速い!?)
思ったときには、一頭が後ろにいた
次の刹那、ドスランポスの悲鳴が響く。
「大丈夫かよ!?」
「は・・はい、ありがとうございます。」
一頭はほぼ瀕死状態だ。首に大きな傷を負って、このままでも死ぬだろう。
問題は、残りの一頭だった。
ハンター達がエリア10と呼ぶ場所。
森の奥地に行く為にいつも通った場所。
そこにむかって、もう一頭が走り出した。
「追うぞ!」
「おう」
「はい」
威勢良く返事はしたが、心は不安でいっぱいだった
”あの子がいるかも知れない・・・・・”
ここにいる2人は、あの子の事を知らない。
例え無害だと知っても、何の躊躇もなく殺すだろう。
それを思うと、走る足が少し重く感じた。
長い細道を抜けた、開けた場所に出た。
ここには川も流れていて、飛竜類も喉を潤しに来る。
まさに、神秘的と呼ぶに相応しい雰囲気を持つ場所だった。
・・・ドスランポスの姿は見あたらない。
(どこ・・・?)
3人は、背中を合わせてあたりに気を配る。
甲高い雄叫びが聞こえたその次に、さっきのドスランポスが現れた。
----------目には怒りの雫をみなぎらせて。
「ギィェェエエ!!」
悲鳴とも、雄叫びともつかないその声で
5~6頭のランポスが出てきた。
どれも普通のものより一回りは大きい。
ドスランポスは、目の前の獲物をもう一度見定めた。
------コロスベキモノタチ。
その時、彼の頭にはそれしかなかった。
----何分か経って。
戦いは終わった。
青き狩人達はみな命を失い、その目は輝きを失っている。
ラクスはそれを見るだけで精一杯だった。
ましてや、剥ぎ取りなど出来たものではない。
仲間の2人の行動が信じられなかった。
「お、ここの部分の皮使えそうだな」
「鱗は、傷が入ってて使い物にならんか・・・・」
2人を眺めていると、気分が悪くなってきた。
返り血のついた顔を洗うために、川の少し上流に出てきた。
------綺麗な鱗の、先よりも一回り小さなランポスと目があった。
「クルククククゥ?」
甘えるように喉を鳴らして近づいてくる。
そう、あのランポスだった。
空色の獣は、近くまで寄ってきていた。
そこで、ラクスはやっと気付いた。
------自らの犯した事実を。
そして、その生臭い血糊を。。。
「・・・・来ないで」
”コナイデ”も、初めて聞く言葉だ。
いつものように、首をかしげてみる。
すると、彼女はこう叫んだ。
「来ちゃダメ!!」
彼には意味が分からなかった。
コナイデ、”キチャダメ”。
目の前の人の、今にも泣き出しそうな表情。
その時、彼は気付いた。
------仲間の臭いに。
それは、彼女よりもその向こう側から漂ってくる。
誘われるように、彼は駆けだした。
「ダメ・・・、そっちに行っちゃダメ!!」
彼女は必死だった、喉が破れるかと思うくらいに叫んだ。
しかし、彼は止まらない。
仲間の臭いのする方へ走り続けた。
すると。
男の話し声が聞こえる。
そして、きつくなってくる仲間の臭い。
徐々にそれが生臭いにおいに変わっていく。
彼は、走る速度をグンと速めた。
”イチニンマエダネ”。
なぜかあの言葉を思い出していた。
開けた場所に出る。
そこには、仲間達がいた。
一つ声を上げる。が、返事は・・・無い。
「クゥゥゥ?」
とまどいを隠せない声で、彼は近くの仲間をなめてやる。
一回り大きなそれは、なんと彼の親だった。
---------ユル・・・サナイ。
ユルセナイ!!
気付くと彼は、男の一人に飛びかかっていた。
突然の攻撃に、体勢を崩す剣士の男。
「まだ一頭いやがったか」
「伏せろ!」
その声とほぼ同時に、男の頭越しに弾丸が飛ぶ。
それは近距離にいたランポスを吹き飛ばし、さらに爆発による攻撃を加えた。
若いランポスの肉、皮は飛び散り
無惨な姿になっていた・・・・。
息を切らして帰ってきたラクスの目の前に、”それ”はあった。
----信じたくなかった。
信じられなかった。
目から涙があふれると同時に、任務終了の角笛が鳴る。
男2人は、もうその場にはいなかった。
最後にしとめた”それ”は、素材としての価値が無くなっていたからだった。
彼女は自らを責めた、判っていながらも任務を引き受けた自分を。
その時、肩をたたく人物がいた。
「どうしたんじゃ?ラクス」
「お爺さん、私……!!」
お爺さんは、飛び散ったランポスの亡骸を見て全て悟った。
「ワシも、昔は・・・」
「え?」
「ワシも昔は、ハンターじゃった」
「そう・・なんだ・・・」
突然の告白に、何が言いたいのか判らなかったが。
彼女は耳を傾けた。
「ワシはのぉ、あるリオレイアを美しいと思った。
彼女も、ワシを襲おうとはしなかった。
しかし・・・・・。」
そこで一息つくと、殆ど吐き捨てるように言った。
「彼女は、殺された」
「人と、モンスターは共存する事が出来ない事はないんじゃ。
それを根本から否定しているのは、ワシ等人間なんじゃから・・・・」
「・・・はい」
いつもは呆けているようなお爺さんの目が、
今まで見た事がないくらい鋭くて、遠かった。
-----まるで、昔の事を思い出すかのように。
そのあと、彼女はまた森に入った。
墓を作ってやるために。
一族全員の墓地に、最後の遺体は運び込まれなかった。
散らばったランポスは、二度とそこには入れないのだ。
それから、彼女はエリア10で何かを探し続けていた。
数日が経って、彼女が墓地に持ってきたのは
焼けこげた皮を使った、手作りのランポスフェイクだった。
それを埋めて、彼女は手を合わせた。
-----また会いたいよ。と、願いを込めて。
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