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雨のちハンターだまり♪
キラの憂鬱
あー、かったるい。
謎の少年事件以来、ここ最近。なぜか常時だるい。
円卓の間に俺は居た。
卓上に足をクロスさせてふんぞり返って、その姿勢のまま地図を見ていた。
実は、俺は今。”卓上旅行”というものにハマっている。
地図を拡げて、想像と妄想の中で楽しむだけなんだが。
これがどうして、時間を忘れてしまうほど面白かったりする。
お気に入りの音楽なんか聞きながらだともう最高だっ!
何故地図なんて見出したかというと、だ。
怪我で安静にしている間、近くの棚にあった”ミナガルデ地理書”を読んだことがきっかけだ。
その本には冒険家達の、風土に関係するちょっとした書き物などが添えられていて、
読んでいるこっちさえ楽しませてくれた。
ま、そんなこんなで。くつろぎつつ。やっぱり、だるい。のであるが・・・・。
不意に扉が開いた。外の冷たい空気と共に、ジジ・・・村長が入ってきた。
「老人には堪えるの~。外は風がきつくていかん・・・・」
そう言うと、村長は俺には見向きもせずに暖炉の前へ歩いていった。
なんどか。暖かいだの、春が来ればのぉ、などと言っていたが、
急にこっちを向くと、村長はこう言った。
「おぉ、そうじゃそうじゃ。お主にラブレターが届いておるぞ!」
こう言ったときは、大抵ろくでもない手紙なんだが・・・・。
一応受け取っておくことにした。
もしかしたら、本当に。この格好いい俺様に(死語)
ラブレター。かもしれないからだ!
まぁ違ったがな、いつか来るさ。・・・・多分。
その手紙にはこう書いてあった。
【指名依頼用紙】
おいおいおいおいおいおい
ついに俺の時代!?
うっわー、ほかの村の村長からか、うわー・・・・。
とりあえず中身も見てみるか。
《ココット村のキラ殿へ》
貴殿のご活躍は、遠く離れた私どもの村まで届いております。
その腕を見込んで、村民一同からお願いが御座います。
最近、いままで目撃された事の無かったモンスターが次々と目撃されております。
その中に、浮遊するタコの様な怪物がいるのです!
なんといいますか、まことに筆舌に尽くしがたい姿形でありまして・・・・・。
怪物はなんと我が村の郊外、《忘却の塔》という場所に住み着いてしまっています。
村民の中には、その怪物を恐れるあまり村を出て行く者も多いのです。
どうかあの怪物の生態を調査し、この村の崩壊を救って下さい!
【ミルウェ村 村長 ランパート・ミトス と村民一同より】
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
(タコ・・・・・?)
言っておこう、大陸の人間はこのタコという動物を食さない。
それどころか「海の悪魔」と称して忌み嫌っている。
ってことも、この時初めて知ったのは内緒だ。
(タコって・・・・この絵からすると脚は8本もないが・・・)
考え込んでいた俺、そこに奴が。
ドアの向こうに、バタバタと駆ける音。
「キラ、おい!タコ!タコだ!」
(プチン)
「だぁぁぁれぇぇぇがぁぁぁぁタコじゃぁぁぁ!」
勢いよく開けたドアは、タイミングばっちりで奴の額に直撃した。
目の前で悶絶しているこいつは Krono 。
今やメンバーも3人となったが、まごうことなき飛燕の隊長だ。
飛燕ごとこのココット村にやっかいになるかわり、
混色狩人旅団の団員となり、相互依存している。
「おぉおぉふ・・・・、いってぇっ!」
「はっはっは、俺をタコ扱いした罰だ」
「違う、馬鹿者!これを見ろ」
【指名依頼用紙】
「まったく、当てられ損だな・・・・・」
と、額をさすりながら、クロノ。
(はぃ?)
「ん?なんだその顔。 ぁ、お前にも来てたのか」
クロノが、机の上に置かれていたキラ宛の依頼用紙を見付けて言った。
「とにかく、これはどうやら飛燕宛に来てる。
ドラグーンもこれを受け取っていた」
「マジか、俺たちやっぱり有名☆」
(マジか、俺だけじゃないのか!ちくしょう・・・・)
「まぁ良く聞け、罠かも知れないという事だ。
今も俺たちを追う手は数多、用心して受注するに越した事はない」
なるほど、さすが隊長。と納得することしばし
「そしてだ、もう1つ気になるのが・・・・・」
クロノは、少し間を空けて言った
「この依頼書、ココットに4通来ていた」
「も1人は?」
「わからん。だが俺に渡しに来たとき、村長があと3通持っていたのは確かだ」
その時、ドラグーンが入ってきた。
「あ、いたいた。探したよ」
「これで3人、か。さて、鬼が出るか蛇が出るか・・・」
「何?もう1人いるわけ?」
クロノとキラが、同時に頷く。
「鬼も蛇もないがな」
・・・・・・足音。
「ぉ、来たのかもな」
ガチャ
「どうも~」
現れたのは、黒いフォールドが印象的な HAL だった。
「おお、ハルさんでしたか」
「え?何?」
「いえ、なんでも。
それではこの依頼、このメンバーで成功させましょう!」
「「「了解!!」」」
舞台は、ナルビナ地方・ミルウェ村近辺へ移る・・・・・。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
山岳地帯
ここは荒涼とした平原から少し北へ、
「ノース・エルザンポ山脈」の一部である、「天山ランパート」だ。
なんでもナルビナ地方では、この山の名前にあやかって
男子には「ランパート」の名を付ける事がたびたびあるそうな。
で、この山岳地帯、かなり寒い。
ランパートの頂上は標高4520m。そこに塔はあるのだが、
何故か《忘却の塔》に近づくにつれて気温が安定してきた。
手も、指先までしっかり機能する様になり、俺たちは《塔》内部へと足を踏み入れた。
ドラグーンが、少し楽しげに言う。
「いかにも怪物の巣窟ですょ~、って感じだね」
そこはクモの巣張り放題、虫なんて足の踏み場もないくらいうじゃうじゃー!
もうだめだ、これは、この感覚は怖さが顔に出てる感じだ。
「どうしたの、キラさん?」
優しいハル嬢が心配して声をかけてくれた。
ってのに、声が引きつってる。
「あ、ははははは。ナンデモアリマセンヨ!」
「ならいいんだけど」
「キラ、なんか変だぞ。まさかお前・・・・」
「バッカ言うんじゃねぇ!怖くねぇぞ!怖くないからな!」
「「「はぁ・・・・」」」
まぁこのあたりはご愛敬だ。
入ってすぐから思ってたんだが、やけに虫が多い。
いや、怖いから多く思うとかじゃなくって。本当に多い。
一歩進めば羽虫が散り、暗がりで明かりを付ければ変なのが飛んでくる。
(実際、抜け道を探そうとしてドラグーンの顔にデカい虫がダイビングしてきた)
そして、その虫1匹1匹が通常より2回りほど大きい。
今回調査の対象になっている通称:「タコ」と何か関係があるのだろうか・・・。
しばらく行って。
旧ローマの大衆浴場のような場所に出る。
といっても広さは比べものにならないほど小さいが・・・。 (塔・地図切り替わり後の場所)
あらゆる場所の柱が、崩れたり朽ちてひび割れたりしている。
やはり相当古い建造物らしい。
ハルが、「面白い物を見付けた」と言って3人の前に持ってきた。
「ホラ、雷光虫!」
それは確かに雷光虫の姿をしていた。
淡い黄色で発光する体、堅い前羽。
しかし・・・・・・・。
「デカいな」
俺が言うより早く、クロノが口にする。
「本当だ、おっきいね。コレ、どこにいたの?」
ドラグーンはさっきから、何か見るたびに目を輝かせている。
「え?う~んとね、・・・あっちだったかな?」
「行ってみる?これは役に立つと思うんだ」
俺は反対したんだが、賛成可決で行く事になった。
雷光虫には様々な用途がある。
そして雷光虫の中にも種類があり、
小さな種類は「照明器具」に。
大きな種類は主に「武器や防具」に用いられるのだが、
さっきのはどうみてもそういった《規格》から外れた大物だ。
もしかすると新しい武器や、機械が作れるかもしれない。
虫は苦手だったが、心は期待に小躍りしていた。
そう・・・、あれが出てくるまでは・・・・。
「このへんだったよ~」
ハルがビッグ雷光虫を見付けたのは、床が完全に浸水している場所だった。
お陰でグリーブやレギンスの中がびしゃびしゃ。
でもそれだけして手に入れる価値は十二分にあるのだ。
しかしその場所に到達した途端。
あたりが静まりかえった。
元々静かだったのだが、水音さえも聞こえなくなったのだ。
「何事だ・・・・?」
「なにかいるね、みんな気をつけて」
シキ・・・・シキシキシキ・・・・・シキシキ・・・・シキシキシキシキ・・・・・・・
目の前の暗穴から、鳴き声の様なものが聞こえてきた。
かと思うと、ハルの捕まえていたビッグ雷光虫が答える様に鳴きだした
その音はどうやら首の付け根から鳴っている様だった。
シキシキ・・・・シキ・・・・・
そしてまた何も聞こえなくなった。
俺はハルさんに
「俺が守るから大丈夫☆」
と言ったつもりだった。
ハルがきょとんとした顔でこちらを見ている。
そして何か口にした。
しかし、全く聞こえなかった。
気付くとクロノが銃に弾を込めていた。
いつもなら音で気付くのに、今は・・・・・・・・
あれ?・・・音だ、音が聞こえてない!
「オイ!完全無欠にサイレントだぜこれ!」(聞こえてないって)
「何これ、何も聞こえないよ!?」
「やだー!」
「ちぃッ・・・」
各々何か喋るのだが誰にも何も聞こえていない。
おっと、落ち着けキラ、史上最大のギャグを使って受けなかったのも仕方ないさ。
ビッグ雷光虫が気になり、ハルの手元をちらりと見る。
するとまだ首を鳴らしている様だ。 (聞こえていないが)
俺はふと閃いた。
〔ハルさん!その雷光虫を潰して!〕
身振り手振りで猛烈にアピールする。
やっと伝わったのか、宙に投げ上げた雷光虫を思いっきり斬った!
その瞬間
ザアザアザアザアザアザアザアザアザアザアザアザアザアザアザアザアザアザアザアザア!
と、ものすごい轟音が耳を劈く・・・・・、っておい、洒落にならんぞ!
「うぉぉぉぉぉ、五月蠅い!黙れこなくそっ!」
「任せろキラ!」
クロノが込めていた散弾が火を吹き、事態は3秒で静まった。
一体今のは・・・・?
「音波の相殺か・・・・」
安心した顔と裏腹に、開いた瞳孔。
これは時々、戦闘時に見せる【マジ】の目だ。
ドラグーンは今まさにその目をしていた。
「音波の相殺ゥ?」
そう。
ドラグーンの説明ではこうだった、
どうやらこのビッグ雷光虫たちは、危険を感知すると首元から音を出す。
その音の波動を巧みに操り、外敵の出す声などの音波を打ち消す周波数で鳴きわめく。
つまり、風で風を受け止めて、風力をゼロにする感じだ。
すると、風はそこで止まり無風地帯が作られる・・・・と。
それが音で起こると、サイレントゾーンが作られるのだ。
よぅ判らんが、そんな感じだ。
(俺にしては頑張って理解したつもりだ)
そして、この音には攻撃の作用全くはない。
ということは聞こえなくした上で何か攻撃方法があったわけで・・・。
とりあえず、クロノが散弾を装填してくれていてよかった・・・・・。
あのままなら、ビッグ雷光虫の大群に襲われていただろう。
水路を抜けて・・・・・。
視界が広がった。
そこからはもう今までとは別世界の様、
見かけた事も感じた事もない花が咲き、虫が舞い、風が吹く世界。
なぜか気味が悪くて、身震いした・・・・・。
巨人のモノかと疑うほどの、大きな螺旋階段を2つほど登り
円形の広場に辿り着いた。
見渡す限りの空に・・・・蒼い所など1つもなかった・・・・・。
フワ。
突如辺りを陰らせる巨体。
4人の見上げた先に、それはいた・・・・・。
《次回更新を待て》
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