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気ままに読書感想・最近読んだ本紹介をしていきます。吉本ばななさんの小説「海のふた」海のふた (中公文庫) [ よしもとばなな ]内容紹介ふるさと西伊豆の小さな町は、海も山も人も寂れてしまっていた。実家に帰った私は、ささやかな夢と故郷への想いを胸に、大好きなかき氷の店を始めることにした。大切な人を亡くしたばかりのはじめちゃんと一緒に…。自分らしく生きる道を探す女の子たちの夏。版画家・名嘉睦稔の挿絵26点を収録。2006年6月25日読売新聞・朝刊「書評欄 」に掲載ベースは主人公まりと主人公の家へひと夏の間だけやって来るはじめちゃんという、二人の女の子の話。主人公は西伊豆の寂れかけた観光地である故郷を愛していて、生来の「かき氷好き」が高じて大学卒業後故郷の浜近くで「かき氷屋」を細々とやっています。西伊豆の海の宇宙のような豊かさや美しさ、そして不思議さ。驚異的な自然を前にしたときに人が感じるありのままの気持ち。やはり吉本ばななさんの本は対自然の描写がそれこそ自然体で素敵です。伊豆が舞台だからか、「TSUGUMI」とちょっと読感が似ていました。そして伊豆の自然は私も大好きなので、かなり楽しく読みました。読んでいる間は主人公たちの暮らしぶりや言っていることがさすがに綺麗すぎるんじゃないか、おとぎ話みたいに出来過ぎているんじゃないかと感じることもありました。が、読み通してみると、彼女たちはこんな風にありのままに純粋で、これでいいんじゃないか、と受け入れられた気がします。ストレートに心が綺麗で美しい女性二人の、ひと夏の日常を描いたお話なんだな、と。二人の心はそれこそ伊豆の海のように透明で真っすぐで明るいです。あまりにも純粋で綺麗な在り方にちょっと引っかかってしまうのは、自分が社会の中で生きていて心が疲れているからだよね・・・とも思ったり。感想はそれぞれかな?綺麗なお話、自然についての描写が読みたい人はおすすめです。主人公が言っている町が開発される前(恐らく80年代、70年代以前?)の伊豆の海中は本当に驚異的だったんだろうなと、そこも印象に残りました。日本各地がそうかもしれないけれど、もっと前の高度成長以前ぐらいまで戻ると、それこそ21世紀の現在とは自然の様子が比べ物にならないのかもしれない。見たこともない日本の自然がなぜか恋しくなるような気持になりました。
2024.04.16
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