★Latchkey Child★

★Latchkey Child★

片翼


君がいないとわかってから

また何年か月日がながれる

君のために、朽ちた翼を投げ捨てて

僕は、君のために歌う。

君のため・・・・?

そう思っていた僕の歌は

いつの間にか自分のためになっていた

自分の言葉を見つけていた

自分の言葉で伝えたかった

あのときの気持ちも、涙も、魂も

全部、全部

君というすばらしい乙女にささげたかった

君は僕の代わりに天へ帰る

それは神様が決めたこと

僕らは逆らえない

僕は、また朽ちた翼をむしりとる

それは、僕が望んで朽ちていったものだから

君がいなくなったのは

君が望んだことでもあるから

君が望んでいなくても

きっと神様はそうしただろう

君は、神様から片方の翼しかもらえなかった

きれいな、涙をポロポロこぼしながら

君は、不器用な飛び方で天に帰る。

隣に友を従えて

両の翼を抱きかかえて

友は、君を救うだろう

君の方に生えていない翼の代わりになり

君の代わりに、詞をつむぎ

朝方、こっそりやってきて

僕の枕元においていく

そして、僕は目覚め

君の捧げた詞を眺め

君へのありったけのアイを歌う

この詞にこめて

それが僕の

唯一君にできる

アイの証。

遠い空の下

いるはずのない君へ

僕の、歌声とどいてますか?

大粒の涙は

雨となり

僕の傷を癒すだろう

僕の声と重なり

歌う君の声は

やさしい風となり

僕を抱くだろう

今の僕には

君を見ることはできない。

それでも、

君から見える僕である以上

僕は君に恥じる生き方はしたくないんだ

だから、

また、朝方にやってくる友に頼んでおくれ

バラを一輪

僕の枕元においていたあの華を

そっと奪ってくるようにと

白いバラは

僕の血をすって

真っ赤に染まり

君へのアイを

つむぐよ。

だから

いまは

もう少しだけ

僕の歌声を聞いていて。

僕のもとへ降り立てる

その日がくるまでは




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