★Latchkey Child★

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Beautiful Color


「綺麗な色」

僕の世界に真っ白しかないように。

彼女の世界に真っ黒があふれているように。

人にはいろんな色がある。

どうしても手に入らない色もあるし。

簡単に自分には手に入るのに

他の人がのどから手を出してもお金をいくらだしても

手に入らない色もある。

どうしてこんなにいろんな色が世界にあふれてるんだろう。

僕のママは、僕とは別の色をもってる。

ママと僕の色はまったく別の色。

どうして?親子なのに。

僕が好きになった君は

僕の色とはぜんぜん違う色。

みんな綺麗な色がついてる

赤や青、黄色や緑色。

なのに僕だけなんで白なんだろう。

何色にも染まることができるはずなのに

まだ誰の色にも染まっていない。

そして僕は

誰の色にも染まりたくないんだ。

だって白が僕の色なら

それはそれで仕方ないから。

でも

僕が今好きな貴方の色が

どうしても貴方の色が

僕の目に映る。

貴方の綺麗な色、瑠璃色。

見るたびに、見る角度を変えるたびに

いろんな色へと変化する。

ねぇ、どうやったらそんな色になれるの?

そう聞く僕に君は笑顔で「普通にだよ」っていってくれた。

君と歩いていると分かれ道になって

君は「この分かれ道を向こうにいけばなれるかもね」といった。

また会おうねといって僕らはわかれた。


でもね、君とバイバイしてから

僕の白い世界が脅かされている

汚いあいつらの手によって君みたいな色になりたいのに。

どんどん真っ黒になりそうで

怖くて

痛くて

つらい

バイバイしてわかれた分かれ道に

なきながら帰ってきたら

悲しそうな君が待っていたよ

「どうしたの?」なんて聞いてくれない。

ただ悲しげに僕を見てる。

僕は

君の悲しい顔なんてみたくないのに

どんどん涙があふれていて

君の悲しみが

僕につきささる

ごめんなさい・・。

きっと僕が瑠璃色になるのを待っていたのに

僕はこんなに汚れてしまったよ。

もう真っ黒に近い灰色

ボロボロの服を着て

泣きながら君を見た。

君は

美しい瑠璃色を輝かせ

泣きながら

そっとつぶやいた

「どうする?」って。


僕は

ねぇ、僕はどうしたらいいの?

僕の色を誰かなおしてよ。

何色でもいいんだ。

でももう黒でなければ


この世界に僕がいたということが

誰かがおぼえてくれているなら

それで僕はいいよ。

僕は、赤い涙を流して

そっと黒いからだを傷つけた

君は、僕の手にそっと瑠璃色の手を重ねて。

蝶のような羽根を広げて

冷たい凶器で

僕を解放してくれた。

もう

僕は黒色にならないよ。

綺麗な赤色になれるんだもの。

大丈夫。

君のおかげで

僕は瑠璃色ではないけれど

綺麗な色になれた。

ありがとう。


愛する君へ。


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