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Command.0 B


行き先も知らないのに決めたのはまずかったかな…なんて思いつつも、知らない方が楽しいかも…!というお気楽な思考がヨリーナにあった。

「ヨリーナ!留学するんだって?」
寒そうに、マフラー、コートを着込んだ女の子が、ハルシア家の窓を開けて言った。
クラスメートのレーナ・カルテットである。
「うん。そうなの。情報速いね。」
「田舎だからね。」
レーナは二コリと笑った。
「そうそう!社会のアルペス先生が呼んでたよ。」
レーナは言った。
「アルペス先生が…?」
社会のボストル・アルペスと言えば話が長いで有名だった。
ヨリーナはあからさまに嫌な顔をした。
「ヨリーナ。」
「うん?」
「…いつ、行くの?」
レーナは顔を伏せて、言った。
「明日、か明後日ぐらいだと思うけど。」
「そっか。じゃ今日した方がいいね。」
ぱっと顔を上げて、
「ヨリーナの留学お祝いパーティー。」
と微笑んだ。
「ありがとう!」



            ◇




 まさか冬休みに入ってまで学校へ行く事になるとは思わなかった。
ヨリーナは急ぎ足で校舎へ入る。職員室には多くの先生―といっても四人だけど―がいた。
「アルペス先生おられますか?」
近くにいた国語教師のララ・ピージュに尋ねる。
「あら、ハルシアさん。留学決まったそうね。頑張ってね。アルペス先生ならあちらよ。」
ララは窓側にいる少し小太りの男を見た。
「ありがとうございます。」
ヨリーナは頭を下げ、その男の所へ向かった。


 「君の行くかもしれない所を今、歴史書で調べていたんだが…どうやらソコは“魔女狩り”というものをやっているらしい。」
ボストルは真剣な顔をしていたが、ヨリーナにはその言葉の意味が分からないので驚き様が無い。
「あの…魔女狩りってなんですか?」
「俺も調べはじめでよくはわからんが、大木に身体を固定し、火あぶりにするそうだ。」
「…私の行く所は原始人が住んでいるんですか?」
「否、しっかりした文明があるそうだ。」
「はぁ。」
けっしてそうは聞こえないが…と思ったが、思うだけにした。
「まぁ、その世界へ行く確立は20%に満たないそうだ。深く考えない方がいい。」
なら言うな、と思ったが、折角の好意を踏みにじるわけにもいかず、愛想笑いをしておいた。
それから永遠に続くかと思われる長話を聞く羽目になったのである…。




             ◇



 「ヨリーナ~留学オメデトー!!」
レーナの掛け声で、皆一斉にクラッカーを鳴らす。
中から飛び出した紙テープなどがヨリーナの頭に降りかかった。
「あはっ。ありがと。頑張ってくるね。」
ヨリーナの目にはうっすらと涙が溜まっている。
「ちょっとちょっと、ヨリーナ。泣かないでよ。」
クラスメートのクリスト・ロイスが言った。
今日のお祝いに集まったのは、レーナ、クリストを初めとするクラスメート数者、それに担任のレイニ・ノイーズにボストル・アルペス、そして理化学教師のマイケル・ドギルバードだ。
バイオは来ていなかった。
呼んでないけど…。
「ヨリーナ、手紙送ってね!」
クリストはヨリーナの持っていたガラスコップにミラクル・カクテルを注いだ。
味はその名の通り、ミラクルである。
「うん!」
注がれたカクテルを一口、飲み込んだ。
「うーん…ミラクル…。」
カクテルを見、呟いた。
「よっしゃー!王様ゲームやろーぜー!!」

そんなこんなで、ヨリーナの留学お祝いパーティーは大盛り上がりで、夜中まで続いたのである。



「じゃーねー。」「うん。ありがとう、今日は楽しかった。」
ヨリーナは帰ってゆく友者達に手を振った。
「それでは私達もこれで。」
レイニが言った。
「今日は本当に有り難う御座いました。」
ホワイトがペコリとお辞儀をする。
「こちらこそ。なんだか昔を思い出してしまいましたわ。」
ホホホ、とレイニは笑った。
そんな2人のやり取りを尻目に、ヨリーナはマイケルと話をしていた。
「ハルシアさんは、理化学ではとても優秀だった。私の自慢の生徒だったよ。」
ヨリーナは微笑んだ。
「カエルの解剖は全然だったけど。」
マイケルの言葉に、ヨリーナは苦笑した。
「でも、科学は好きでした。」
「そうだね…。あんなに科学の授業をイキイキとした目で見ていたのはハルシアさんぐらいだったから。」
マイケルは何かを思い出すように空を見上げる。
そして、ふふっと笑った。
「いつも、メテオポリス君を攻撃していたね。」
「あれはバイオが悪いんですよ。いっつも何かとネチネチ言ってくるんですカラ。私に何の恨みをもっているんだか…」
はぁっと、ため息をつく。
「うらみ…か。」
マイケルは微笑んだ。
「どうかな?」
「?」
「いやいや、なんでもない。なんだか、もう2人の漫才を見れなくなるのかと思うと寂しい気がするよ。」
「漫才って…。私は嬉しい気がしますけど。」
ホッペをプゥっと膨らませた。
そんなヨリーナをマイケルは優しい目で見ていた。

「では、この辺で失礼させて頂きます。」
レイニが頭を下げ、どうやら区切りがついたようだ。
ボストルも一礼して、家から離れる。
マイケルもホワイトに会釈し、ヨリーナに向かって小さく言った。

「門出に幸多からんことを。」

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