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二宮金次郎爆破



朝、学校に着くとなぜか校門に二宮金次郎の像が建っていた。
なんだこれ。
こんなもん建てるくらいならもっとこう、学校にエスカレーターをつける、とか、教室に寒暖設備を整える、とかほかに使い道あっただろ。金を大事にしろってテメーらがいってるくせに。

「あわわわわ!!成田君だめです!そのお方に触れてはだめです!!」
「なんだ?どうかしたのか。これアレだろ?学問の神様。」
「違います!それは菅原道真です。勉強しました。このお方は二宮金次郎といって、爆弾魔なんです。」
「それは嘘だ。」
「本当ですよー。この前だって原山3丁目の二宮さん家が爆破してましたもん。」
「…それ大事件じゃねーか、流行のテロ?」
「テロ?うーん、あの爆発は本当にすごかったでしゅ。」

にしてはなんの噂も聞かねーけど。民家が爆発されたんならニュースになって当たり前だろ?
ってことは、またこいつのわけわかんねー勘違いだな。うぜ。

「でも昔流行ったらしいですよねー。アフロヘアーっていうんですっけ?あの爆発はほんとう、忘れられないですよー。」




ま、そんなとこだろーよ。






「うわーん、なんでなぐるんですかー!!?しかもグーで!!じゃんけんしてないのにー。」
「むかついたから。」
「ガキ大しょー成田君の暴力男ードメスティックバイオレンスー!」
「ドメスティック!?へんないいがかりつけんな。」
「ふへ?」



「おっはヨーグルトー友香ちゃん☆」
宇宙人女に抱きつく男、直樹。正気の沙汰じゃねぇ。
「はわ、おはヨードチンキ、松本くん。」
ヨードチンキってなんだよ。

「おはよー。」
またしても声。今度は、美波だった。
「美波、おはよ。」
美波は直樹と友香を軽くかわして、俺の隣に来た。
そして小声で話し出した。
「昨日の話、さ、信じるよ。」
「…そ。」
昨日、美波から電話があって、宇宙人女との関係を問い詰められた。本当に、たいした関係でもねーのになんでこんな言い訳みたいなことしてんだろーとか思ったけど、それで美波の気が済むなら、ま、いっか、みたいな気持ちで全部話した。
家に居候していることも。
「本当にたんなる居候で、彼女とかじゃぜーんぜんないんでしょ?」
「ちげーよ。彼女とかまじやめてくんない。間違いでも鳥肌たつんですけど。」
「あはは。……よかったー。」
「?なんで。」
「だって、成田、彼女大事にするタイプじゃん。私とあんまりしゃべってくんなくなるしー。前の彼女いたときとか全然で。寂しかったんだからーとか言ってみたりして。はは。」
「……………は、ばかじゃねーの。」


何言ってんだ、こいつ。



女ってやっぱわかんねぇ。





















「で、なんで待ってるわけ。」

放課後、文化委員の会議があって帰る時間が遅れた。
のに。

校門に女2人と男1人。それと、二宮金次郎。
お前ら何者。


「待ってやってんのにそーゆう言い方ないんじゃね。」
「つか、いつも直樹さっさと帰るくせになにしてんの。」
「俺は友香ちゃん送るつもりですからー。」
「…は。それはちょっと…やめたがよさげ…ちょ、美波、こっちこい。」
「なに?」





「お前知ってるよな。あの宇宙人が俺ん家にいんの。なんで直樹、家にかえらせなかった?」
「だってー友香ちゃんと2人ってなんか、会話に自信なかったんだもん。」
「じゃあ待つなよ。」
「だってー。」
「あーもう、いい。ったく。直樹、直樹にバレたらどうなる?全校生徒に広まるっつの。」

俺が歩き出すと、美波もあわててついてきた。

「あの、ごめんね、成田。」

そんなしょぼくれた顔されると、いつもの美波じゃねーみたい。
ゆるさねーわけにもいかなくなんだろ。反則だっつの。美波反則負け。

「もう、いいから。」

美波の頭をかるくたたいた。

















「へー、同棲ですか。」
「違う!勝手に上がりこんだ居候だ!そこ勘違いすんな!」

直樹の目がいてぇ。
言葉のキャッチボールも、俺がグローブをはめる前に投げられたカンジ。しかもボールじゃなくバット。

「聞いてたけど、なんか、リアルにショックー。」

美波もなんかあらん方向に思考を繰り広げている。

残念ながら、そんな甘やかな生活はいとなわれていない。
「そですかー?美波ちゃんも一緒に住みますかー?」
「ここは俺の家だ。てめーが勝手にしきってんじゃねえ。」
「はうー。ごめんなさい。」


「もう、いいじゃん。とりあえず接続ってこれであってる?」
「てめー直樹ー!!!勝手に人のゲーム機で遊ぶな!赤と白の差込口が違う!」
「まじで。」










「ふ、この私に勝てると思っているのでしゅか!はーははははは!」
「この、宇宙人のくせに…さてはてめー俺のゲーム勝手に使ってただろ!」
「ドキ!し、しりませんよ!なにを言いますかこの成田君は!美波ちゃん、必殺コンボで皆殺しでしゅ!」
「え?必殺コンボ…・?なに、これギャーしんじゃうーまっちんストップ!いまボタン探し中だから!」
「問答無用じゃー!!」
「松本君なんてヒキョーなんですかー!こうなれば松本君一斉攻撃です!」
「いや私やられてるから。」
「必殺!」


なんか、みんな宇宙人のペースに乗せられてないか…?



「ジュース飲むだろ?」
「サンキュー。俺お茶がいい。」
「おっけ。」



パタン


「キャハハハハ」


居間から笑い声が聞こえる。
美波も宇宙人と仲良くなったみたいで、それはそれでまあよかった。
なんかいらん勘違いしてたみたいだし。
直樹もさっさと宇宙人おとせばいーんだ。そんで家から出てってくれればいいのに。




ガチャ

「ただいまー。」

「あ、母さん、友達来てるから。」
「あら、お菓子とかお茶お出しした?」
「今やってる。」
「お母さんやるから、いってていいわよ。」
「そ。じゃよろしく。」


ちょうどいいころあいで母さんが帰ってきた。
俺が居間に入ると皆が一斉にコッチを見てくる。

「母さん帰ってきたから。ジュースは後で運んでくれるって。」
「サンキュー成ママ」
「わけわかんねぇ呼び方すんな、直樹。」











「そいえば聞いてくださいよー成ママ。」
「お前、うつってるぞ。」

俺のツッコミに、宇宙人女は構わず続ける。

「今日ガコに二宮さんいたんでしゅよー。」
「ええ!?そんなわけないじゃない。今日お家大変だったみたいなのよ?」

会話のズレが明確。こいつら言葉足らずなんだよ。

「二宮金次郎の銅像が建ってたってことだろ。で、母さんは何言いたいの。」
「ほらー原山三丁目の二宮さん。あそこのお家爆発しちゃったんですって。あ、ココだけの話なんだけどね。」
「家?髪型じゃねーの?」

宇宙人女と目があう。すぐさまそらした。

「髪…そうね、髪も爆発…って、まじめに。家の近くに爆弾しかけられてたみたいよ。被害は奇跡的に小さかったらしいけど。物騒よねー。皆帰るときは気をつけてね。」
















「はうー。怖いですねぇ。爆弾魔…。」

二人を見送りながら、宇宙人女が変な顔をしていった。

「つか、まじだったんだな。爆発…。」
「いえー、私知らなかったですよ。髪のほうしか。」
「…まさか、お前がしたんじゃ…」
「えええ!?私じゃあんなアフロ技術取得できないですよー。」
「そっちじゃねぇ。」


会話がうまくつながらない。
こいつはやっぱり人間じゃねえ。















それから約2ヶ月間、この地区の二宮さんが被害にあう事件が多発した。
俺は成田だからなんの火の粉もこねーんだけど。
実のところ、昔の彼女の苗字が二宮だったりして、結構心配していたりする。
ただ、別れてちょっとしかたってねーし、別れた原因があっちに彼氏出来たってことだったから、俺がどうこうするのもおかしいな、みたいな。

はぁ。俺うざい。




なんて考えていると、耳に入る『二宮さん被害』。
また、二宮さんの誰かの身に何か起きたらしい。
犯人もよくやるよな。なんで二宮さんなんか狙うんだよ。そーゆう趣味か?




「加奈子ー聞いたよ?大丈夫なん?」
「うん。つか、金より、お母さんの大事にしてたものいっぱい盗まれちゃったみたいで…。まじありえない。」
「最悪じゃん。お母さん平気?」
「あんまり。ずっと寝込んでる。」
「まじ、犯人見つけたら死刑だよ!死刑!」
「はは。」
「………ってかさ、もしかして犯人…。」










ガララッ


教室の戸を開けると、皆の注目を浴びた。

なんだよ。遅刻じゃないのに、見んじゃねーよ。

しかし、視線は俺が席に着くまで続いた。

だから、なんだってーの?


「成田…。」

美波が小声で話しかけてきた。

「成田が一言違うっていっちゃえば大丈夫だと思うし。」
「…はぁ?何の話してんの?」
「だから…」

「なぁ、成田。お前二宮事件の犯人とかじゃねーよな。」




「は?何言っちゃってんの、直樹。」
「だよな。俺は信じてっから。」
「あ、私も信じてるし!成田そんなやつじゃないもんね。」




そゆこと。



俺が疑われてるってわけね。でも、なんで?


「だって…うらんでるんじゃない?二宮さんのこと。」
「…なんでこの地区の二宮さんにうらみもつんだよ。俺どんな人間だと思われてるわけ?」
「加奈子のこと…ほら、あっちに彼氏できて別れちゃったじゃん?成田と付き合ってんのに彼氏作っちゃったから、怒って仕返しにーって。」

ガタ!

思わず席を立ち美波をにらむ。
「そんなことするわけねーだろ。」
「わかってるって。私たちはわかってる。でも、皆がそうとは限んないじゃん。このクラスにも成田疑ってるやつけっこーいるし。」


は、と周りを見ると、俺たちの様子つか、俺を見ている奴が多数。
ちくしょ、馬鹿じゃねーのこいつら。


「ありえねーだろ。」




「ありえませーん!!」「ウキー!!!」


教卓で突然騒ぎ声がした。
宇宙人女が教卓に足を乗せて、なにかしている。猿事件のときにクラスメイトになったサル助(名付け親:宇宙人女)もいる。

「成田君を犯人だと思ってる奴!馬鹿じゃないのですか!!!」
「ウキー!」

て、俺…?


「クラスメット疑うなんてあなたたち本当にこの星の人間ですか!」
「スケールでけえよ。」
「成田君は黙っててください!」

こんな遠くからの俺のつっこみがアイツに届くほど、クラスは静まりかえっていた。


「…だって、ほかのクラスの子達いってるしー。」
「そーだよ。それに動機あるし。」
「彼女に仕返しとか、結構女の敵ーみたいな。」


どうやら敵は女に多い模様。
加奈子って結構人気あるからかしんねーけど。俺を敵にして団結しようとするのはやめてくれ。
俺は別に加奈子のこと怒ってるわけでもねえし。今の彼氏にどうこうしようとか、別れさせようとか思ってねぇから。


そのことを伝えようとしたら。



「ムキー!みなしゃん!私よりも成田君と多くの時間をいたくせにどしてそんなこと言うのかー!!こーなったら真犯人を見つけてやりましゅ!」

宇宙人女が俺のほうを見ていった。

俺を巻き込まないでくれますか。




チュドーーーン!!

校門あたりから、爆発音が響いた。

「な、何?」

皆窓に近づく。ベランダに降りる奴もいた。
俺も窓から覗いた。



二宮金次郎、爆破。




「…二宮さん…事件。これもか?」



皆が俺をみつめた。



「俺じゃねえだろ。」

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