Alice In Eutopia

Alice In Eutopia

 一月




 一日

横断歩道で青になるのを待っていた。
黄色い蝶がひらひら頭上を通り過ぎる。
タクシーが停まった。
いえいえ、蝶をつかまえようとしてたんです。




 二日

電車の中で物思い。
ディズニーランドやディズニーシーがあるのなら、
「 ディズニースカイ 」 もないとね、と。
航空自衛隊から戦闘機借りてミッキーをペイントし、
キャッチフレーズはこうだ。
「 さぁ! ぼくと一緒に音速の壁を超えようよ! 」




 三日

「 ワタシ、今、不機嫌 」
テレビを見ながらまたヘンなことを言う。
「 ときどき言うよ 」 元カレがそう言ってたっけ。
私の胸にもたれかかった彼女の髪がほっぺにふれる。
風呂上りの危険な匂い。
この前は、ムネをもんだ。
あとすこしでひじがこめかみに当たるところだった。
さて、今日はどうしよう。




 四日

青空を見ていたら、足に何かがぶつかった。
ラジコンの車だ。
子供がわざとぶつけてきたんだな。
あたりを見回すが誰もいない。
すると、悲鳴がきこえる。
手にした車からだった。
よく見ると中にリスが五匹。
「あ、ごめんなさい」あわてて下に置く。
猛スピードの蛇行運転で走り去った。
突然、子供たちがかまいたちのように走り抜ける。
よく見るとリモコンを持っている。
キャハハと楽しそうに車を追いかけていった。










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