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2006.02.22
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七星亮太は瞬きを許されなかった。

「がはっ」
銃声が鳴り、倉橋刑事の拳銃から発射された弾丸は、大谷明の身体に喰い込んだ。
大谷が振り向き様の背中へ。
丁度、前から見ると心臓の位置の辺りになる。

「くそっ、救急車を呼べ!」
悔しそうに倉橋刑事が言葉を吐き捨てた。

どんな人間だろうと、どんな酷い奴だろうと、殺されることは間違えである。
そして、人が殺されるのを黙って見ていることなんて出来ない。

亮太は倉橋刑事の心情を読み取ったような気がする。

大谷はがっくりと両膝を地面につき、そのまま血が滲み出している背中から倒れていった。
亮太を含めて、沖山誠二、三井健二、穴吹秋の4人は身動きが出来なかった。
あまりの壮絶な展開に、意見も何もあったもんじゃなかった。
誘拐事件自体が自作自演ではないのかという疑惑が、実は、復讐劇の一部にすぎなかったのだ。
その黒幕はたった今この場で撃たれて、地面に崩れ落ちているのだ。

「ひゃっ、ひゃっ、ひゃっ。」
奇妙な声が聞こえる。
大路社長の口から発している。
「ばっ馬鹿め。このワシの命を奪おうとするからだ!ざ・ざまあみろ!」
大路社長はひゅーひゅーと擦れた呼吸音を出している大谷の腹を蹴った。


「大路!」
倉橋刑事が叫んだ。

「なんだ?ワシは被害者だぞ!命を狙われたんだぞ!貴様らはワシのような一般市民を守るのではないのか?」
醜い笑顔をさらけ出し、おぞましい声で笑う。

さすがの亮太も吐き気を覚えるくらいの不快感が身を襲った。


虫の息で大谷が笑い出した。
まるで最期の火のように細い声だった。

「まだ生きてるのか、この死に損ないがぁ。」

「警察とマスコミにな、ある書類が郵送されてきたよ。」
突然倉橋刑事が話し出した。
「それは、ある人物が、今まで行ってきた悪事の完璧な証拠書類だそうだ。」

「・・・・・・?」

「その中には既に時効になったものもあるだろう。だが、時効になっていないものもある。」

「・・・・そ・・そんな」

「つまりどういう事かと言うと・・。」

「大谷!貴様か!貴様が送りつけたのか!」

何をするにも保険は必要だ。
大谷は犯罪の限界を感じていたのだろうか、大路社長を失脚させるだけの証拠を集めていたのだ。
きっと、自分の親のことを立証できないことがわかって、今回の計画を立てたのだろう。
大谷の笑いはそういう意味だったのか。

「大路、あんたはもう終わりだ。」
倉橋刑事は冷静に告げた。

つづく。


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最終更新日  2006.02.22 21:18:57
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