目指せ!シナリオライター

目指せ!シナリオライター

涙のち元気



登場人物
須永 元気 25才兵庫出身
加茂 努  25才長崎出身
中田 高志 26才神奈川出身
森山 涙  23才静岡出身
河合 陽子 23才静岡出身
黒田 和樹 48才埼玉出身

雨が降りしきる交差点の真ん中で立ちすくむ今にも泣きだしそうな女性。(片側は、こんでいる。もう片側には一台もな
い。)
パーンパーンパパーン(信号が変わっている。)
車のクラクションが鳴り響いている。女性は、意識がないのか動こうとしない。
そこへ、すいている反対側から一台の暴走車が見える。女性へ近づいているが、スピードを緩めようとしない。  
元気「危ない!」
元気が飛び込み、女性を間一髪救う。 
元気「大丈夫ですか?しっかりしてください。」 
女性「・・・。」     
元気「気がつきましたか?」
女性「(大声を出して泣きだす)」
元気、黙って胸をかす。  
女性、しばらく泣き続ける。 
元気「何があったんですか?危ないですよ。道の真ん中で立ち止まるのは。」
女性、泣きやみ、顔をあげ、元気をにらみつけ足早に近くの団地に向かい走りだした。 
元気「なんだろう?あの子?」
通行人達も女性を見て、何かを囁きだした。  
また、誰か呼んだのかパトカー数台や救急車が近づいてきた。 

涙のち元気

[会社〕[朝]
黒田部長「今日から、一緒に働く事になった森山 涙さんです。」
森山さんは、派遣社員ですが、前にはあの日本中央商事で働いていました。
我が社でも、貴重な戦力になると確信しています。」
ほとんどの社員が拍手を送る。しかし、陽子だけが、ただ、じっと涙を見つめている。  
女性社員A「すごいじゃない。あっという間におぼえるわね。さすが、大企業ではたらいてただけあるわ。」
女性社員があつまり、感心している。
洋子「どうしたの?陽子、気分わるいの?」
陽子「うん。少しね。今日早めにあがるよ。」

終業時間           
涙「お先に失礼します。」
洋子「お疲れさま」  
高志「涙ちゃん、もう帰っちゃうの?寂しいな。
涙「す、すいません。」                  
洋子「こんな奴の言う事、いちいち気にしないの!(高志を軽蔑した目でみながら)時間の無駄よ。(笑いながら)さあ、
帰った。帰った。」
高志「ひでぇー。その言われよう。涙ちゃん、お疲れさま。」
高志は、急にそそくさと出て行った。
涙「(少し、あぜんとしながら)お疲れさまです。」
洋子「(呆れながら)あいつは、また。」 黒田部長「中田ー。中田ー。何処行った?」涙と洋子、顔を見合わせて笑う。
数日が経過し、涙は、すっかり仕事をこなし、営業部の一員になっていた。 

定時。
涙「お疲れさまでした。」
涙は、お辞儀をして、足早に立ち去る。
元気「森山ちゃん、デートかな?あんなに急いで。」
陽子「そうじゃない。狙っても遅いわよ。狼さん。」 
元気「(少しカチンときて)誰も狙ってねえって。俺には、陽子がいるじゃん。」  
陽子「(顔を赤らめて)何、馬鹿言ってんの。」
努「ヒューヒュー、やはり二人は、そうだったのか。」
他の社員も次々にはやしたてる。
陽子「ちっ、違うったら。」
元気「あれっ?赤くなってるぞ。」
陽子が、元気の頬を張った。そして、陽子は、帰り支度をし、帰っていった。 
洋子「言い過ぎよ。」
元気「調子にのりすぎた。」
黒田部長「さっさと、席につけ。早くしなきゃ、私が帰れないじゃないか。」  
努たちは、慌てて席についた。

トイレ・会社
元気「今日、飲みに行かないか?」
高志「今日は、給料前だから、勘弁してくれ。」 
努「俺も、金が無い。」
元気「チェッ、最近付き合い悪いな。いいよ。一人で行くから!」

廊下(夕方)
涙と元気がぶつかる。元気の手に、やわらかい感触が。
涙「キャッ。ご、ごめんなさい。」
元気、慌てて手を離し、立ち上がる。
涙は、軽く会釈して走りだす。
努「あーうらやましいな。」
高志「あー畜生。何でお前ばかり運がいいんだ。陽子とも初めて会った時も同じ感じだったな。もう、やる気なくなった。
帰る。」

営業部(数十分後)
黒田部長「中田ー、中田ー何処行った?」
努と元気顔を合わし、笑う。
努「何か、お前匂うぞ。どこかで嗅いだ匂いだな。涙ちゃんの匂いだな。かがせろー。」
元気「やめんか。気持ちわるい。」
元気もどこかで嗅いだことのある匂いのような気がした。元気、努と別れ、にぎやかな夜の町へと消えていく。

会社(日替わり)
陽子「元気、あんた何か匂うよ。また、飲んでへんなとこ行ったん・・・。」
陽子、足早に出ていく。

会社(定時)
涙「お疲れさまです。」
努「おつかれさん」
女子社員A「たまには、残業できないの?派遣はいいわね。私もなろうかしら。」
次々に女子社員達が囃たてる。
涙「(もうしわけなさそうに)す、すいません。」 
元気「(女子社員Aをチラッとみて)じゃあ、辞めりゃいいじゃん。何様のつもり?」
女子社員A「な、なんですって。」
努「元気に言われて嫌だろ。涙ちゃんも同じ気持ちなのわからねぇ?あっ、そうか分からねぇから言ったんだよな。」
女子社員達が、静かになる。 
高志「もっと、人の気持ちを考えろっての。じゃあ、お先。」 
(数分後)
洋子「あっ、お帰りなさい。部長。」
黒田部長「何を騒いでるんだ。早く仕事しないか。俺が帰れないじゃないか。中田は、いるか?」
元気「もう、帰りました。」
黒田部長「あいつは、仕事頼もうとすると、必ずいないな。(努と元気をみて)また、頼むわ。」
努「あーあ、またかよ。」
元気「自分こそ、人の気持ち考えろっての。」

元気・自宅アパート 
元気、来たばかりのメールを見ている。
{今日は、助けてくれてありがとう。涙}
{(返信)あいつらが、ゆるせなかった。何かあったら助けてやる。何でも言ってな。涙のち元気なんちゃって。}

会社(日替わり)
涙と女子社員達が、仲良く話している。
涙が、元気達にウインクをした。
元気達、微笑み返す。

営業部(定時)
涙「お先に」
女子社員B「お疲れさま。」
女子社員C「お疲れさま。明日ね。」
陽子「お先に。」
高志「最近、あいつ、いつも定時だよな。」
努・元気「お前が言うな。」
洋子「でも、何か最近変だよ。陽子。いつも無理して明るく振る舞ってるような気がする。短大時代からそういうとこあっ
たし。」
高志、黙って帰ろうとする。
元気「待て。どこへ行く気だ?」
高志「いや、その。体調がよくないから。」
元気・努「(高志を睨む)・・・。」
高志「(思わず、顔を背ける)・・・。」
高志、ハンカチを取り出す。その時、白い紙が落ちる。
元気「何だ。これ?」
高志「そ、それは・・・。」
元気、紙を広げる。
【黒田部長、三時から六時まで会議。ねえ、今日は、イタリアン食べたいな。祐子。】
努「秘書室の祐子ちゃんじゃないか?」
元気「また、女口説きやがって。」
洋子「よくやるわ。ねえ、狼さん。」
元気「あっ、またあの野郎。いつのまに。」

(六時)
黒田部長がもどってきた。また、いつもの光景が繰り返される。

クラブ・ハート(中)
店員「お久しぶりですね。」
元気「仕事が、忙しくて。」
店員「かわいい子、入ったんで紹介しますね。」
元気、店内の匂いが以前、涙の服の匂いが同じだと気が付く。
店員「紹介します。ヨーコさんです。」
ヨーコ「初めま・・・。」
元気「よ、陽子。」
陽子「このこと、誰にも言わないで。」
元気「何があったんだ?こんなとこで働いて。」
陽子「うん。実は、以前、元気の服の匂いを嗅いで、涙がここで働いているのがわかったの。」
元気「森山さんとどういう関係なんだ?」
 陽子「そ、それは・・・。」
元気「言わなきゃ、わからないだろ。一人で抱え込むなよ。」
陽子「じ、実は、涙は私の幼なじみなの。私は、短大に入るため上京したんだけど、彼女は、実家の豆腐屋の手伝いす
るって、伊豆に残ったの。」
元気「それから、連絡は、取ってたの?」
陽子「短大の時は、取ってたんだけど。仕事始めてからは、あんまり。部長から、紹介されたときに、彼女の変わり様に
驚いたわ。私の事、気付いてるはずなのに、よそよそしかったり、何か変なの。実家に電話したら、豆腐屋は、ご両親
が、おととし、事故にあって店を閉めたらしいの。それから、彼女は、」
店員「すいません。陽子さん、おねがいします。」
元気「あっ、指名するよ。」
店員「お客さん、指名なんて珍しいですね。でも、すいません。ご指名のお客さんでして。」
元気「お前、営業してんのか?」
陽子「仕方ないでしょ。お仕事なんだから。あー、妬いてんの?」
元気「何、馬鹿な事、言ってんだよ。」
陽子「ふふっ。ありがとう。話聞いてくれて。また、明日ね。」
立ち上がって、席へ向かう陽子のドレスの後ろ姿に見とれた。 店内は、いつのまにかにぎやかになっていた。

営業部(日替わり)
高志「お前、また匂うよ。また、飲みに行ったな。」
元気、隣の席の陽子の服の匂いを嗅ぐ。
陽子、元気に肘鉄一発。
元気「痛ぇー。」
陽子「あんたみたいに同じ服、着て来ないわよ。」
涙が、出勤してきた。いつもどおりの元気な声。
涙「おはようございます。」
どこからともなく、「おはよう」が飛びかう。
涙は、二人の方へも、笑顔で「おはようございます。」
元気「おはよう。」
陽子は、バツが悪くなったのか、席を立つ。
涙は、気にする素振りなく、自分の席に付く。

会社(定時)
涙「お疲れさまです。元気さん、食事にいきませんか?」
元気「ありがとう。でも、まだ仕事があるから。また、誘ってよ。」
涙「そうですか。じゃあ、また。」
高志「俺と行こうよ。」 
涙「また、機会あったら・・・。」

涙の団地。
(夜)
あたりは、交通量が多いのか車の行き交う音が激しい。
「ピンポーン」
「はーい」とドア越しから外を見る涙。
ドアをあけるのを躊躇する涙。
不安に待つ、元気と陽子。
だが、なかなか開けない。
元気、突然歌を大きな声で歌いだす。それは、よく、伊豆で陽子と涙が二人学校帰りに歌ってた曲だった。
 涙、ドア越しで泣いている。
陽子も泣いている。
何か下の方でも泣いてる声がする。 
急に、ドアが開く。
涙「下の公園に行きましょう。」
元気「き、君は。たしかあの時の。」
涙は、普段の濃い茶髪と違い、化粧もせず、髪もショートヘアである。まさに、交差点で助けた女性だ。

団地の公園。
誰もいない。
会社帰りのサラリーマンが行き来している。
車は、相変わらず行き来がはげしい。
涙「どうしたの?陽子。今頃、私の心配?元気さん、つれて来ちゃって。」
元気「俺は、タバコでも買ってくるよ。」
涙「元気さん、いてください。元気さんには、たくさん助けられてるから。聞いていてほしい。二人きりだと、仲直りできな
いかもしれない。」
陽子「涙(泣きだす)。」
涙「私、あなたが上京しても私の事、思ってくれると思ってた。はじめの頃は、休みになると、よく帰って来て遊んだよ
ね。次第に帰って来なくなって、連絡もなくなった。やはり、みんな東京出るとこうなるのかな?」
元気も神戸から上京して久しい。
自分にもあてはまるようで、家族や友達の顔が浮かぶ。
陽子「・・・。」
涙「両親、亡くなったとき、誰も頼れなかった。支えてくれる人もいなかった。それで、あなたに電話したけど、ほとんど留
守電だし、たまに出てもろくに取り合ってもらえなかった。どうすることもなく、東京出て、水商売したの。やっと、少しお
金貯めて、日本中央商事に入社したの!でも、夜の仕事も続けてて、ある日、会社にばれて・・・。」
元気「それで、うちにきたのか?」
涙「あの時、せっかく、会社入ったのにあのことでみなにいじめられて、しまいには追い出されて、人が、信用できなくな
って、そんな時、あなたが助けてくれた。あなたの名刺見て、この会社に決めたの。もう一度やってみようかなって。お
礼言えなくてごめんなさい。」
陽子、聞いていて、恥ずかしくなり、泣きだす。
元気「俺、名刺渡したっけ?」
涙「あのあと、お礼言おうと戻ったの。そしたら、名刺だけが落ちてた。でも、陽子がいるとは、思わなかった。すぐ、わ
かったけど。はじめ、話し掛けて来たとき取り合わないと決めたの!いまさら友達顔してって感じで。でも、それから、毎
日、私に電話や家に尋ねてくれた。そして、無理してお店で働きまで・・・(泣きだす)。」
陽子「ごめんなさい。涙。私、自分の事ばかり考えてて、情けなくて。私だったら、元気みたいな行動とれたかな?ただ、
見ているだけだったかも。ごめんなさい。ごめんなさい。」
洋子「許してあげて。私は、短大からの陽子の親友なの。陽子も、東京の生活いっぱい器用な子じゃないし、人に頼れ
る子じゃないから。涙ちゃんの事は、忘れてなかったよ。」
涙「わかってるわ。私の思い込みが過ぎてただけ。ごめんね。陽子。」
陽子「ありがとう。涙。」
後ろに努や高志も隠れていたが、出てきた。

涙「でも、これで終わりね。お水の事もばれたし。」
陽子「涙・・・。」
黒田部長「そんなことは、ないぞ。うちのムードメーカーがこんなことで落ちこんでどうする?」
涙「部長、ありがとうございます。(泣きだす)。」
みな、次々に部長を見る。
涙が家に向かって走りだした。白い封筒を持って降りて来た。
涙「明日から、ゴールデンウィークだし、伊豆に帰ろう。」
高校の同窓会の葉書きを陽子に見せた。
 陽子「涙、ありがとう。」  

 涙「涙のち元気。だよ。陽子。ねっ。元気さん。」
元気「俺も、神戸に帰ろう。飲みに行ってる場合じゃないや。そっ。涙のち元気。なっ。努。」
努「俺も、長崎に帰ろう。パチスロの場合じゃない。涙のち元気。母ちゃんの手料理恋しくなってきた。なっ。高志。」
高志「俺も、鎌倉帰ろう。女遊びできねぇや。女の周りの人の気持ち考えないと。自分の気持ちばかりじゃな。真面目に
恋しよう。分からないやつは、かわいそうだけどな。涙のち元気。ねぇ。部長。」 
黒田部長「悲しいな。誰も仕事の事、言ってくれなかった。俺は、中田に絶対残業させるぞ。涙のち元気。なっ。洋子
君。」
高志「そりゃ、ないよ。」
一同、大笑い。
洋子「みんな、帰るとこあっていいな。私、東京だし。絶対、今年中に彼氏つくるぞ。涙のち元気。」
一同「涙のち元気。」
ここで音楽流れる。
帰り道。二人きりであるく。陽子と元気。
元気「そういえば、陽子の涙のち元気。はなんだ?」
陽子、元気の頬にキスをする。
陽子「あなたと付き合う事。涙のち元気。ねっ。元気。」
二人は、キスをする。そこを、明るい月が二人を祝福するかのように照らす。
ここで、音楽流れる。
---終---

ホームへ戻る
MYシナリオへ戻る


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: