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とにかく帯がすごい(笑)解説もされている島田荘司先生、さらに綾辻行人先生、有栖川有栖先生、法月綸太郎先生、みんな揃ってベタぼめ。そして、その賛辞を裏切らない、二重三重どころか、十重二十重に張り巡らされた謎と構成に、何度も騙される、幸せなミステリ体験でした。硝子の塔の殺人 (実業之日本社文庫) [ 知念 実希人 ]おそらく、ある程度のミステリファンなら、私と同じく、(全てでなくとも)断片的にはトリックを解けた気になれるところがあるかと思います。しかし、それすら、作者の掌の上。「読者への挑戦」が挿入されてからが、この作品の真骨頂。いや、そもそも、プロローグから魔法はかけられているのです。語り手とともに息を呑みながら、緊張感を味わいながら、進められていく物語に、読者は身を委ねるしかありません。そして、一瞬垣間見える希望すら覆していく、とんでもない展開に、騙されて、騙されて、騙されるしかないのです。まさにミステリの宝石箱であり、吃驚箱。イッキ読み必至の傑作でした。
October 28, 2025
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とんでもないミステリを書かせたら、右に出る者のいない麻耶雄嵩先生。この短編集シリーズも、本格ミステリの枠組みの中で、完全にお遊びなネーミング、ライトな文体と、軽く読みやすいように見せかけて、とんでもない犯人と、秘密を明かせない状況を設定することで、ダークな雰囲気の中、「答え合わせ」が出来ないモヤモヤした感情を抱かせてくれます。学校の名前が、私立ペルム学園。「探偵役」を担う「化石少女」の名前が、神舞まりあ。ネーミングから「遊び」感が伝わってきます。そして「あいにくの雨で」にも通じる、謎に陰謀と権謀術策渦巻く生徒会(笑)麻耶雄嵩先生は、どういう高校時代を過ごされたんだろう…てか、普通の学校の生徒会って、陰謀渦巻いてるのかな…?さておき、もちろん、しっかりとミステリな作品です。化石少女 (徳間文庫) [ 麻耶雄嵩 ]「化石少女」こと、この「名探偵」、勘は鋭く、推理の筋も通っているのですが…様々な理由から、彼女の「名推理」はお蔵入りになってしまうのです。この「真犯人」を糾弾できないという属性は、先生の書かれた「銘探偵メルカトル鮎」や「神様」の対極にあります。それに寄与する「ワトソン」役の「私」の存在も大きいわけですが、この関係性も、先生が様々な「名探偵」―「ワトソン」関係を描いてきたからこそ。カタルシスをもたらしてくれないどころか、モヤモヤがつのる構成も、最後の短編に向けての積み上げなのだな、と。そう考えると納得出来ます。麻耶雄嵩先生らしい、人を喰ったというより、人を喰うポップでダークなミステリ作品でした。化石少女と七つの冒険 (徳間文庫) [ 麻耶雄嵩 ]で、その続編。「後輩」も「探偵」も増えて、物語はさらにパワーアップ…と言いたいところですが、ダークでイビツな部分が加速しています。さすがは麻耶雄嵩先生。ミステリとしても難易度の高い謎が並びますが、前作以上に緊張感が増し、人間関係も複雑になっていることが、さらに問題をこじらせていきます。この物語に「解決」はあるのか。あるいは、「続編」はあるのか。読むほどに深みにはまる、さすがの麻耶雄嵩印作品でした。
October 24, 2025
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JR伊丹駅を降りてすぐ、ちょっとした高台があって、のどかな景色を楽しむことが出来ます。ここが有岡城跡。もとは伊丹城と呼ばれていましたが、織田信長配下の武将、荒木村重が、街をも巻き込んだ大改築を行い、有岡城と名付けました。そう、荒木村重が信長を裏切って籠城戦を行った、その中心地です。三木合戦のさなかの裏切りに、明智光秀や高山右近らも説得に向かいますが、村重が心を翻すことはありませんでした。そんな情勢の中で、村重の説得に向かった黒田官兵衛は、捕らえられ、幽閉されてしまいます。この二人を中心に、物語は展開していきます。黒牢城 (角川文庫) [ 米澤 穂信 ]最初から最後まで、ただならぬ緊張感が漂う作品でした。この独特の緊張感は、常在戦場の状況が背景にあること、そして、何より城主村重と囚われの身である官兵衛の独特の関係性から来ています。軍の士気にも関わりかねない不可解な事件に対し、村重が配下の者を使いながら状況を把握し推理を展開するも、苦悩の末に官兵衛に相談し、「解決」に至る、という一連の流れは、戦況が悪化していく中で、切実さを増していきます。一方で牢に閉じ込められ続けている官兵衛もまた…。村重も、決して「無能な城主」ではなく、真っ当で思慮深い人物として描かれ、時代背景も含めて丁寧に描写されているので、歴史モノとしても読み応えがあります。そして、村重がそんな人物として描かれているからこそ、「牢に閉じ込められた安楽椅子探偵」官兵衛の知恵が輝くのです。これらキャラクターの魅力に加えて、魅力的な謎、合理的な解決、その先への提示。どれをとっても一級品です。あらためて、この作品の受賞歴を見ると、直木賞に加えて、各賞総なめ状態。第166回直木三十五賞受賞第22回本格ミステリ大賞(小説部門)受賞第12回山田風太郎賞受賞「このミステリーがすごい!」2022年版国内編 第1位「週刊文春ミステリーベスト10」2021年国内部門 第1位「ミステリが読みたい!」2022年版国内篇 第1位「本格ミステリ・ベスト10」2022年国内ランキング 第1位(史上初となる4大ミステリランキング制覇)「2021年歴史・時代小説ベスト3」(『週刊朝日』)第1位そりゃ、面白いわな、面白いしな、と思います。さて、この後、織田信長が天下に手をかけながらも命を落とし、秀吉、家康と時代が進むことを我々は知っています。では、その流れの中で、村重はどんな人生を歩むのか、官兵衛の運命はどうなっていくのか。歴史は小説より奇なり。最後まで二人の「運命」から目の離せない、歴史×推理の極上のエンターテインメント小説でした。
October 23, 2025
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古代エジプトという舞台。エジプトの神々が信仰によって力を持つ世界観。ピラミッドという密室で起こる殺人。次々に繰り出される魅力的な謎。いわゆる特殊状況下ミステリではあるのですが、謎解きはとても丁寧で、世界観にハマった後は、とにかく謎の答えを知りたい一心でページをめくりました。2023年の第22回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。ファラオの密室 (宝島社文庫) [ 白川 尚史 ]物語は、主人公が死んで冥界に行くところから始まります。冥界にて、己の心臓を取り返してこいと命じられ、現世に戻った主人公は、限られた時間の中で、自分の命を奪った犯人、そして心臓の行方を捜すべく奔走します。消えたミイラの謎、ファラオによる「宗教改革」の行方、「異教徒」の女の子の運命、主人公に隠された秘密、様々な思惑と謎が絡み合い、訪れる数々の危機。果たして主人公は、「犯人」を見つけ、無事に己の心臓を取り戻すことが出来るのか。そして「女の子」の運命やいかに。この作品の作者の経歴も異色で、話題となりました。東京大学工学部卒業後、2012年に株式会社AppReSearch(現 株式会社PKSHA Technology)を設立し、2020年に取締役を退任。現マネックスグループ取締役兼執行役。才能に満ち溢れているなぁ、としか言いようがありません。とにもかくにも、面白さに脱帽の一冊でした。==========余談ですが、特殊設定ミステリと言えば、世代的にこの作品が思い浮かびます。生ける屍の死(上) (光文社文庫) [ 山口雅也 ]価格:858円(税込、送料無料) (2025/10/22時点)楽天で購入生ける屍の死(下) (光文社文庫) [ 山口雅也 ]価格:858円(税込、送料無料) (2025/10/22時点)楽天で購入「死者が蘇る世界」で人を殺すとはどういうことかという、とんでもない謎をひっさげての名作。久しぶりに読んでみたくなりました。
October 22, 2025
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名作は書き出しから名作なのだと、文庫版の解説を手掛けた森見先生が書かれています。それどころか、名作は題名から名作なのかもしれません。平積みしていた頃から、文庫になるのを楽しみにしていました。そもそも本屋大賞にはずれなし。期待通りなんてありきたりではなく。期待を遥かに超えた面白さでした。成瀬は天下を取りにいく (新潮文庫) [ 宮島 未奈 ]読めばきっと、人の目を気にせず、自分の信じた道をまっすぐに進んでいく成瀬から、目が離せなくなるはず。それにしても、すごい小説。読んで言いたいことが多すぎて、言葉が渋滞してしまいます。何から言えば良いのだろう…?構成の話?様々な人物から語られる「成瀬」の活躍。それぞれのエピソードが絡み合い、つながっていく心地よさ。これぞ構成の妙!東大の話?東大のオープンスクール中に池袋往復するのは、ちょっとさすがにないかなぁ…とかつまらないツッコミをするのは野暮でしょう。それよりも、東大を目指す女の子と、「成瀬」の対比がすごく腑に落ちてしまうのです。登場人物たちの東大合格を祈念したいところです。京大の話?解説の森見登美彦先生も京大卒ですし、万城目学先生も京大、綾辻行人先生や麻耶雄嵩先生も輩出した京都大学に、この宮島未奈先生まで加わって、もしかすると「成瀬」まで加わるかもしれないなんて…。京都大学、おそるべし、です。散髪の話?漫才の話?西武大津店の話?それぞれで延々と話をすることが出来そうです。それなりに知識のある関西人なので、「膳所」を「ぜぜ」と読むことくらいは知っていましたが、西武大津店なんて知らないですし、「うみのこ」も知らない、江州音頭なんて聞いたこともありません。それでも、読み終えて、まるで自分も「成瀬」たちと一緒に「膳所」で過ごしたことがあるような、そんな気分にさせられるのです。そんな「成瀬」が落ち込むとき、私たちは「成瀬」が超人なのではなく、私たちと等身大の人間なのだと気付かされます。それでも、彼女の生き様は、私たちを前向きにさせてくれます。疲れているなら、落ち込んでいるなら、元気が出ないなら。是非、彼女の真っすぐな生きざまに、勇気と元気をもらってください。本当に楽しく素晴らしい作品でした!次作を読むのも楽しみにしています。成瀬は信じた道をいく [ 宮島 未奈 ]成瀬は都を駆け抜ける [ 宮島 未奈 ]
October 19, 2025
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判型の面白さに惹かれて手に取りました。なにせ、スマホを模したサイズ、しかも題名が「スワイプ厳禁」なわけですから。スワイプ厳禁 変死した大学生のスマホ [ 知念実希人 ]知念先生の本、ということで、ミステリとしての安心感もあったのですが…。ミステリ的な仕掛けもあるのですが、結構ホラー寄りのお話でした。この作品だけでも「謎」は残るものの、ホラーとして完結している…でも、これで終わるわけがないのが知念先生。きちんと続きがあるのです。それが『閲覧厳禁』閲覧厳禁 猟奇殺人犯の精神鑑定報告書 [ 知念実希人 ]判型としては文庫より大きいサイズ。『スワイプ厳禁』の謎まで回収しながら、ミステリとしてもっと大きな「仕掛け」が施されています。前作から引き続いて深まっていく謎、冒険によって明かされていく「真実」、その先に待つ「犯人」と「真犯人」。読み終えて、改めて見直した時に、仕掛けの巧妙さにうならされます。両方薄くて読みやすいのも有難い。たまには「スマホ」を離れて、スワイプせずにページをめくる、というのも良いかなと思います。
October 17, 2025
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オリエンド鈍行殺人事件 (ハーパーBOOKS+ ハーパーBOOKS+ HBP7) [ 藤崎 翔 ]何も考えずに、気楽な暇つぶしとして読める、とてもためにならない良い短編集でした。読書はエンターテインメントです。もちろん、ために読む本もありますが、暇な時間を楽しく彩るのというのも読書の大切な効用だと思います。合計10編収録の短編集。「タイムスリップ・リアリティ」「勇者たちのオフ」「君のためなら死ねる」「ファーブル昆虫記を読んで」「オリエンド鈍行殺人事件」〈ショートショート〉「過保護」「猫じゃらしとマイクロチップ」「流れ星」「こっくりさん」「崖」では、〈ショートショート〉以外の作品について触れていきましょう。「タイムスリップ・リアリティ」題名通り、リアリスティックなタイムスリップもの。大人の感性で高校生のノリに直面すると…という思考実験がとても楽しい。タイムスリップの「条件」が提示されていないので、この先の展開、というのもあり得るのかもしれませんが、短編としては、ここで「おしまい」なのが綺麗なオチだなぁと思います。「勇者たちのオフ」楽屋モノ的でややもすれば冗長に感じられる前段から一変、緊張感あふれる中盤、熱くそれでいて冷静で現実的でもある終盤へと、緩急をつけながら話が展開していきます。牧歌的な題名からは想像できないラストにうならされました。「君のためなら死ねる」作中の言葉を借りるなら、徹頭徹尾「キモい」作品。作中人物の思考も嗜好もあまりにも酷く、「キモさ」のオンパレード状態。同情の余地のない作中人物の身に起こるラストは、本人にとって本望と言って良いものなのかどうか…「ファーブル昆虫記を読んで」こんなにも”伏線”について、分かりやすく丁寧に説明してある文章を私は見たことがありません。そしてこの”伏線”が、良い仕事をしてくれるのです。まさに実践。ネタバレになってしまうので、詳しく語れないのが残念です。「オリエンド鈍行殺人事件」本のタイトルにもなったこの作品は、名探偵不在の「オリエンド鈍行」で起こった事件が、様々なハレーションを起こして、次々と(本筋の事件ではなく)乗客それぞれの問題を解決に導いていきます。はたして、そもそもの難題は解決するのか。暗い話やホラーにせず、きれいに着地させるあたり、「お梅ちゃん」シリーズを彷彿とさせます。お梅は呪いたい (祥伝社文庫) [ 藤崎翔 ]お梅は次こそ呪いたい (祥伝社文庫) [ 藤崎 翔 ]どの作品も楽しく時間をつぶさせてくれました。頭を空っぽにして時間を過ごしたい時におススメです。
October 13, 2025
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It's showtime!エンターテインメント全開のミステリ映画でした。かっこ良い福山さんを見る映画…ではあるのですが、福山さんが有村さんに「おじさん」と呼ばれ続けるのが面白い。ストーリーの中で実際に「叔父」ー「姪」関係なので、そう呼ばれるわけですが、この設定のおかげで、妙な恋愛関係的要素がなく、楽しく見ることが出来ました。映画的な演出である、ということは重々承知の上で、ミステリが好きな身としては、気になる点も少々。・お金にうるさい設定の主人公が仕掛ける「ショータイム」が、お金が入ってくるわけでもないのに贅沢すぎる。・「名探偵みなを集めてさてと言い」のシーンで、殺人以外の様々な「秘密」がバラされ過ぎる。・マジシャンとしてのテクニック(素晴らしいのですが)の使われ方が、なんとなく犯罪スレスレ。・結局「メールの件」が解決していないのが気になる。・動機にいまいち納得いかない・ヒロインの気持ちを考えると、探偵助手をしている場合ではないのではと思ってしまう。原作を読むと、これらの点は上手に処理されていて、そんなに違和感ないのですけれど、映像になると…まぁ、映画的な演出として、こうなってしまうのは仕方ないのかな、と納得はするのですけどね。冒頭のマジックシーンとか、時折挿入されるカードの演出とか、アニメのシーンとか、映像ならではで、原作をより魅力的にしてくれていますし、役者さんたちが原作のイメージを上手く落とし込んでくださっています。細かいことは気にせず、福山さんかっこ良かった、役者さんたち上手だった、青春映画のシーンとかとても良かった、という話をするのが良いのでしょうし、別にそれで十分だという気はします。ロケ地が岐阜、ということですが、とても景色が綺麗で、原作にある「名もなき街」だけど、「名声」に頼らなくても良いものはたくさんある、というメッセージとシンクロしているのが、とても良いなと感じましたし、この景色を大画面で見ることが出来たことが、TVスペシャルでなく、映画で見る価値の一つになっていると思います。なお、見終わった後に、思い返すと、音楽が「ガリレオ」で再生されてしまうのですが…(苦笑)さてはて、いろいろ文句言いましたが、楽しい映画でした。次回作にも期待したいなと思います。ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人 (光文社文庫) [ 東野圭吾 ]ブラック・ショーマンと覚醒する女たち [ 東野圭吾 ]
October 11, 2025
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福山雅治さん&有村架純さん主演で映画化されて話題の作品。映画化作品は「映画が先か、小説が先か、それが問題」なわけですが、今回は映画が先になりました。ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人 (光文社文庫) [ 東野圭吾 ]映画についての評価はさておき、この作品で謎を解くのは「推理する名探偵」ではなく「心理戦を仕掛けるマジシャン」。もちろん、動機の謎や、登場人物の不可解な行動など、張られた伏線が回収されていくのはさすがで、ミステリとして十分に面白いのですが、ラストの謎解きシーンも含めて、「推理」ではなく、会話劇で情報や犯人をあぶり出す形になっているのも、ちょっと変わった形式のミステリとして楽しめます。映画との比較になると…映画の批判に聞こえると不本意なのですが、映画的な演出の結果、ミステリとしてあるいは主人公のキャラの不自然さが目立ってしまっていたので、小説版の方が違和感なく楽しめたなぁ、と。でも、映像演出としては、というお話は映画評の方で。有栖川有栖先生とか、二階堂黎人先生とか、法月綸太郎先生とかの本は、ほぼ全部持っているのですけれど、東野圭吾先生の本は、(好き嫌いではなく、タイミングの問題で)実はあまり持っていないのですよね…。『ナミヤ雑貨店の奇跡』も名作ですけど、いわゆる狭義の「ミステリ」ではないですしね…。ナミヤ雑貨店の奇蹟 (角川文庫) [ 東野 圭吾 ]『ガリレオ』とかは楽しく見ていたのですが、小説は読んでないですしねぇ。ガリレオ Blu-ray BOX【Blu-ray】 [ 福山雅治 ]また時間が出来たら読まなきゃだなぁ…。
October 10, 2025
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もう、これしか言葉が選べません。最高でした。アリアドネの声 (幻冬舎文庫) [ 井上真偽 ]主人公は、災害救助用ドローン「アリアドネ」の操縦士。ミッションは、震災によって、地下に取り残されてしまった三重苦(見えない・聞こえない・喋れない)の女性を救出すること。音声機能も、照明機能も、意味を持たない「暗闇」の中で、彼女をどう救うのか。次々に襲い掛かる困難、想定外の事象、手に汗握る救出ミッションに一気読み必至です。どう困難を解決するかというお話だけでも面白いのに、さすがは井上真偽先生、仕掛けられる「謎」が半端ありません。物語が進むにつれて大きくなる違和感、不信感。そして、それらの「謎」を、小気味よく解決する最後のどんでん返し!面白い、だけではなく、心を揺さぶる極上のエンターテインメント。秋の夜長を彩るにふさわしい、珠玉の一冊です。もちろん、ドラマ化もされた『探偵が早すぎる』もお忘れなく!探偵が早すぎる DVD-BOX [ 滝藤賢一 ]探偵が早すぎる (上) (講談社タイガ) [ 井上 真偽 ]探偵が早すぎる (下) (講談社タイガ) [ 井上 真偽 ]
October 9, 2025
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