私の隠れ家
会社の近くにある、10人入れないくらいのカウンターだけのバー。看板というより表札のようなものが出ているだけで、タクシーの運転手さんも迷ってしまうような小さなお店。名前は秘密。だって隠れ家なんだもん。
何がお気に入りって、もちろんいろんなお酒がそろっているとか、カクテルを作る時に生フルーツジュースを使うとか、私の大好きなシェリーが置いてあるとか、具体的に上げるとキリがないんだけれど、一言で言うなら雰囲気。このバーの雰囲気がとても好き。アットホームなのに適度な距離感と緊張感。「落ち着いて飲める店」なんです。
バーに一人で行くようになって久しいけれど、一人で行くからこそ雰囲気が大切。一人だと複数で行った時には見えなかったものが見え、気にならなかったことが気になるようになる。このお店みたいに、常連さんも一見さんも、飲める人も飲めない人も、一人一人を状況に応じて大切に扱ってくれるお店ってそんなにない。いつ行っても居心地よく過せる。
この間行った時は、お誕生日のお客さんがいたようで、シャンパンのお相伴に預かった。自分の酒の好みもよく知っていて、勧めてくださったモエ・エ・シャンドンのマールは絶品だったし、シェリーはオロロソにちょっとだけペドロヒメネスを加えたちょい甘で出してくれるし、カクテルは甘さ控えめで作ってくれるしで、何も言うことはありません。
そうそう、ここのバーテンダーNさんは氷を包丁で切る。ロック用の丸い氷も包丁で削って作る。それを見るだけでも来てよかったな、と思わせます。


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