(宅地造成地の人口の貯水池の丘陵にに咲くシデコブシ)
私の散歩道は
昨年の秋から冬にかけて
冬らしい沁みるように痛い北風の日は数える程しかなく
だらだらと秋から春の気象状態で
早春にさく花々はことごとく
だらだらと咲き続けていた。
痛いようなカラカラに乾いた春の風の中に
春の息ぶきをかすかに感じる
あの繊細な日本の早春の感動が消失していた
しかし、この一週間ばかりは
まさに冬が到来し
肌を刺す風が痛く肌に刺す。
日本海側の地域に雪を降らし
からからになった冷たい風が中央高地を越えて吹き降りてくる。
暖かさにつられて早めに咲き始めていた
シデコブシは
その花びらを寒さに震わす。

野生のシデコブシは
愛知・岐阜・三重の3県の丘陵地にある湿地のみに自生する
春を告げる花
数百万年前、現在の伊勢湾から
この地域に存在していた「東海湖」と呼ばれる湖底に堆積した砂礫層の湿地に
「コブシ」から分化した「シデコブシ」
こんなにも長く生きながらえてきた
野生シデコブシは
今は息き絶え絶えに絶滅の危機にある
湿地と太陽の陽がよくあたる所を好むシデコブシは
樹高が低いために
手入れされなくなった里山の高い木の増大で
枯れてしまったり
山ごと根こそぎに破壊する宅地開発でその自生地が消滅したり、
残った自生地も個体数の減少で
近親交配の影響が、繁殖力や子孫の生存率を低下させて、
現在は、シデコブシは絶滅危惧種に指定されている。
(花びらは寒さで縮んで震えている)
この私の散歩道のシデコブシは
巨大な宅地開発で、三つのため池はすべて消滅し
その代わりに一つの貯水池が作られた
その貯水池の丘陵の湿地に植えられたもの
何本か植えられたが
これ一本が生育している。
この春は、
花を咲かせ始めた頃に
冬将軍に見舞われて
花びらは開ききれずに縮こまっている。
あの伸びやかで繊細な
うすピンク色の花びらは、この春はない。
(東京近郊・市川市に天空に伸びて咲くコブシ。その昔、シデコブシはコブシから分化した
写真:By Danjose)
東京近郊のコブシがこのように高木のため
太陽をいっぱい受けて咲き誇り
子孫を生存させ続けているけれど
低木のシデコブシの花は
廃れ行く里山の人々の暮らしと共に
手入れされず荒れるままの里山の高木の下で
消え行くしかない。
2007年春、
このシデコブシの風景は
まさに日本の今の社会の姿だ.
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